序章
「さ、勝者…最強の者! 新たに輝く天空の星!」
魔法のスピーカーからのアナウンスがコロッセオ中に響き渡る。何万人もの人々がいる。
「この世界で最も輝く美しい宝石こそ、この男の子だ、ベラミー!! …【ベラミ・フォル・マティル】!!!」
最強の名が告げられるのと同時に—
「「「「「「オオオオオオ!!!!!!」」」」」」
コロッセオ全体に轟く歓声。
何万もの視線がこちらに向けられる。歓声もまた、その視線の先にいる者へ送られている。
つまり勝者、つまり…僕自身だ。
「…ったく、うるさいな」
口では文句を言いながらも、口元の笑みを抑えられず、空を指差して手を上げる。
それで歓声はさらに大きくなり、耳障りになるほどだが、今の僕はその苛立ちなど気にしない。
むしろ逆だ。
もっと大きくしろ、声が枯れるまで叫べ。
僕はこの称賛の声を、もっと味わいたい…!
僕が立っている場所は『武闘祭』の中心だ。
正確に言えば『武闘祭トーナメント最終戦』、名前『七英雄・武闘祭』と呼ばれるものだ。
その裏には、世界中の最高峰の教育機関七校による対抗戦があり、参加できるのは十二歳以下の子供のみ。多くも少なくもない。
これは「世界最強の子供は誰か」を決める、一生に一度きりの大会だ。
そして、その勝者は僕。
世界最強の子。
世界中が注目する、新たに輝く天空の星。
「…ハァ、ハァ、ハァ」
敗者は膝をつき、荒く息をしている。
「くそっ…!」
悔しさで地面を叩こうとする。
僕は一瞬だけ横目で見て、闘技場を去ることにする。
敗者は、その魂さえ焼き尽くしかねないほどの賞賛の音と向き合うことになる—
@@@@
「最強になりたい」―それは、物心ついたばかりの小さい頃から抱いていた最初の願いだった。まだこの世界について何も知らなかった頃のことだ。
そして、なぜ最強でなければならないのか、最強であることにどんな価値があるのかについては、自分でももうあまり覚えていない。
あまりにもおぼろげだからだ。
でもきっと、とても子供っぽい理由だったに違いない。決して深刻な理由なんかじゃない。
例えば、特権が欲しいとか、誰かに憧れられたいとか、そういうものではなかったはずだ。
とにかく――
僕は無邪気に最強になりたいと思い、まだちびだった頃から小さな木剣を振り始めた。
何度も何度も。休むことも、自分に猶予を与えることも、一日たりともなかった。
そして少し年齢を重ねた頃、ある重要な情報を知ることになる――
この世界には【ギフト】と呼ばれるものがある。
【ギフト】はよく知られている通り、神が人間に与える贈り物で、十二歳になったすべての人に、新年最初の日に一斉に授けられるものだ。
人―子供たちは全員、ギフト鑑定の装置で調べられ、自分が授かったギフトが何なのかを確認される。
もし[魔導士]や[騎士]のような、世界にとって非常に有益なギフトが鏡に現れれば、たとえ労働階級よりさらに下の最下層の出身であっても、
そうしたギフトに選ばれたなら―人生は劇的に変わる。
スラムの子供が[魔導士]のギフトを授かり、人生グラフが一気に跳ね上がって宮廷魔導士になった、そんな話も珍しくない。
それ以外にも有用なギフトは多く、[農業士]、[商人]、[航海士]などであっても、社会から十分に認められる。大きな価値を生み出せるからだ。
だが、優れたギフトやそこそこのギフトがある以上、歴史上には最低ランクのギフトも三四種類ほど存在し、人々からはむしろ『呪い』と呼ばれている。
例えば、人生の頂点にいたのに、ギフトを授かった瞬間に一気に転落した者もいる。
ギフトはどんなランクであっても、選ばれた者を多少なりとも成長させる。ただし、基本的には害はないとされている。
まだ子供だった僕でも、自然と理解していた。 この世界で最も平等なもの―それはギフトだと。
最低から最高へ、最高から最低へ。
誰であろうと、容姿がどうであろうと、性格がどうであろうと関係ない。神に選ばれ、ギフトを授かったなら―世界はその者に優しくなる。
この頃の僕の剣の技量も、積み重ねてきた体力も、ほんの短い時間―一ヶ月も経たないうちに、剣を握ったことすらない誰かに追い越される可能性がある。
ただし、そいつが自分より優れたギフトを持っていれば、だ。
今まで積み上げてきたものは、簡単に追い抜かれてしまう。
その事実を知った瞬間、僕は恐怖を覚え、毎日のように神に祈った―どうか、この幼い自分に最強のギフトを与えてください、と。
そしてついにギフト判定の日がやって来た。僕が十二歳になった、新しい年の最初の日に。
「えっと…授かったギフトは…」
....
「【愚者】..?」
「…えっ」
なんと-【ギフト・愚者】という、歴史上最悪とされるギフトを授かってしまった。
ベラミくんは運が悪いみたいだ




