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女騎士が転移したのは現代ダンジョンがある世界でした~矢印が導くその先には~  作者: くるまAB


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7/11

懺悔と決意

「そして同じ年にダンジョンが発生したんだ。あっという間に、日本中が色めき立った」

「創作が現実になっただの、未知への挑戦だの、好き勝手言われてな……中には、力を振るいたいだけの連中もいた」


「俺もそんな連中の一人だったのかもしれない。家族を失って、まともに考える余裕なんてなかった」

「気が付いたら、ダンジョンの中にいたよ」


「魔物にはまるで歯が立たなかった。逃げ回るだけで精一杯だった」

「出口を探して必死に前を見ていた、その時だ」


「……視界に、矢印が浮かんだ」

「矢印?と申しますと、あの矢印でしょうか?」

「あぁ、方角とかを示すあれだ」


「疑う暇なんてなかった。目の前のそれに、俺はそれに従った」

「そして少し進んだ先で、帰還石を見つけた。通常状態であれば即離脱出来る、便利アイテムだ」


「それで、助かったのですね」

「ああ。命だけはな」


「ダンジョンから出て、落ち着いてから思い出したんだ。じいちゃんの死に際のセリフとかその後の……ノイズ……?」

 (ノイズ……今日ダンジョンから出たときに聞こえた声?のようなものもあの時と同じ感じだった……どういう事だ。)


 

「……ま様、悠馬様!どうされました、いきなり黙り込んでしまって」

「あ、あぁすまない、気にしないでくれ。少し考え事をしてしまった」

 

「続けよう、そして俺は思ったんだ、きっとじいちゃんが言ってた"導く"ってこれの事なんだろうと」

 

「同じ頃、日本中で妙な話が広まってた。突然、頭の中に声が響いて、力を得る人間がいるってな」

「剣を握ったこともない奴が、なぜか達人みたいに動く。理由は分かないが、結果だけ、そして数だけは揃っていた」

「分からないというのは?他人には判別できないと」

「あぁ、声は本人にしか聞こえない、使い方も何となく体に染み込むそうだ」


「その話を聞いて思ったんだ。じいちゃんが、俺に何かを残したんだって」

「この矢印が、その“導き”なんだろうって」

「ただ、声も聞こえないし、使い方なんて何も分からなかった」

 

「それからは、ただひたすら矢印を追った。信じるしか、なかったからな」

「信じるしか……ですか」

 

「きっと、じいちゃんが俺に何かスキルのようなものをくれたんだと思った。だから、矢印の先には何かがあると思ってダイブし続けた」

「二人の予想通り、俺に戦う力はない、だからポーター、いわゆる荷物持ちとして色んなパーティーに同行した。そのうち『案内人』なんて呼ばれるように調子に乗ってたんだ」

「そうして矢印を信じて進んでいく日々の中で起きたんだ……事故が」

 そう呟いて悠馬は首を垂れる。

 

「事故……と申しますと」

「俺のせいで人が死んだ。そういうと事故ではないな、原因は……俺だ」

「後々分かった事だが『矢印は目標物までを直線的に示す』ってことだ」

「低階層はそれでよかった、方角さえ合ってればいつかは目的地へとたどり着ける。ただ階層が進むと迂回が必要だったり、トラップで危機を回避できずアクシデントが発生する」

 

「あの日もいつものように矢印に従って、次の階層への階段を探していたんだ。いつもと違うのは、俺が初めて足を踏み入れる階層だったって事だ」

「矢印に従った結果、背後から魔物に襲われたんだ、トラップだった。次々に襲われる仲間を尻目に、俺は帰還石で脱出したんだ」

「……あなたはパーティーの方を見殺しにしたのですね」

 

「そう……なるな」

「あなたは抗いましたか?それとも即座に脱出したのですか?」

 ノーラの冷たい視線が、悠馬に突き刺さる。


「もちろん抗ったさ!ただ武器もない、力もない!何が出来る!脱出寸前に見たあいつらの顔が頭から離れない!」

「そうですか、ただ仲間を見殺しにしていい理由には、なっていませんね!」

 静寂が部屋を覆う、悠馬は重い口を開き話をつづけた。

 

「その後、当たり前のように勧誘は減っていった。そんな中、やっとまともにダイブできたのが今日だ」

「それなのにこのざまだ。元々落ちてきていた俺の評判は今日底をつくだろう。俺と組むやつなんて誰もいない」

 きっと語りきれない過去があるのだろう、悠馬の目は少しずつ暗く、黒く沈んでいく。


「そこで私たちに同行したいと」

「そ、そうだ!頼む!守ってくれなんて言わないし、探索中俺は口を出さない!住むところがないならここに居ればいい、幸い部屋は余っているし料理だって俺が作ろう!」

「そして、同じように私たちも見捨てられる。という事でしょうか」

 

「そうならないように努力する……ただ同行させてくれるだけでいいんだ。ただ、俺は前に進むしかないんだ」

「その矢印の示す先が、死体の山だとしても、あなたは進み続けるのですか」

 

「分からない……わからない、けど!じいちゃんがくれた力を、呪いにしたくないんだ!進んだその先にはきっと何かがあるはずなんだ!なぁ、頼むよ!この通りだ!」

 机から一歩下がり、両の手をついて額を床へこすりつける。

 渾身の土下座、これを逃せば次のダイブはいつになるかわからない。そんな気持ちの入った悠馬の全力がそこにはあった。

 

「他責で打算的、なおかつ自己中心的。さらには戦う力もない、この世の負の全てを詰め込んだような性格ですね」

「ぐっ……」

 

「ただアリスリアお嬢様が許可を出した以上、私が結果を覆すようなことはできません」

「と、いう事は……」

 悠馬は恐る恐る顔を上げる、その目線の先にはノーラの蔑むような眼が見える。

 

「我々は帰還方法を、あなたはスキルの検証を。その対価として衣食住の保障。それでよろしいでしょうか、アリスリアお嬢様」

 そう言ってアリスリアの方へと振り返ると……。

 

「「ね、寝てる……!?」」


 話が長すぎたようだ。

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ここまでで第一章は終了です。

処女作として硬派な作品を執筆しました。

よくある無双、ざまぁ、ハーレム、奴隷、俺つえー的なものではないので、一体どのくらいの方が読んでいただけるか不安で仕方ないです(汗)

続きが気にある、連載希望の声を頂けるようであればと思い投稿しました。

皆様の忌憚なきご意見ご感想を頂ければ幸いです。

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