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day3.9 クリスマスの終止符、のつもりだった

クリスマス



47万円という俺にとっては大きな授業料を払った後でも、俺の心にはあの夜の余韻が消えずに残っていた。

普通なら二度と近づかないはずだった。

それでも俺の手は、あいとの連絡を絶てずにいた。

あの日、あんなに楽しそうに一緒にいた彼女。

「巧くんと一緒に飲めるのが嬉しすぎる!」とはしゃいでいた姿が、脳裏に焼き付いて離れない。


『お店の人に、すごく怒られちゃった.....』


あいは、自分の不始末で店に迷惑をかけたことをひどく悔やんでいるようだった。


『あんなに潰れるまで飲んだの、初めて。本当に楽しくなっちゃって。巧くんに迷惑かけて、お店からも、ちゃんとお詫びをするように言われてるの』


俺の中には、彼女を置いて帰ってしまったという後ろめたさが、おりのように沈んでいた。

連絡を絶てずにいた俺に、クリスマスの当日、彼女から誘いが届く。


『会いたい。寂しいよ。.....今日、短い時間だけでいいからきてくれない?お店からのお詫びも兼ねて、私はそのまま上がっていいって言われてるの』


さらに、彼女はこう付け加えた。


『今日こそは、一緒に帰りたい。少しだけ払ってくれれば、それで大丈夫だから』


(……お店にも迷惑かけちゃったし、お詫びがてら、最後に行こう)


俺は自分の中で、一つの結論を出していた。

今日、あいの顔を立てて、一回だけ店にいく。

そして、これでおしまいにする。

「もう店には来ない」と、今日直接伝えて、きれいに終わらせよう。


一晩で50万円近くも落とした客に対して、店が怒るはずがない。

そんな冷静な損得勘定は、今の俺の頭にはなかった。

ただ、自分が彼女を救う騎士ナイトであるという、都合のいい錯覚が、思考を支配していた。


「わかった、行くね。」


『ありがとう、着いたら連絡して』


俺は、彼女が仕掛けた「お詫び」という名の華麗な罠に、自ら首を突っ込みに行った。

普段は降らない雪の降る繁華街を、自分が主役のドラマの舞台だと勘違いしながら、お店に向かった。



-------


領収書


¥0

計¥0


TOTAL¥520,000



これで最後にしよう


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