1. 憧れの放送委員
わたしが通っていた小学校では、5年生から委員会に入ることになっている。どの委員会に入りたいか希望を聞くアンケートが配布され、他のみんなは何かしら希望する委員会に入れた。しかしわたしとMくんだけは希望すらしていない委員会に入ることになったのだ。わたしは体育委員で、Mくんは学校行事の運営に関わる運営委員になった。わたしは体育が得意かと問われるとそうではないし、運動会も嫌いだった。そんなわたしがなぜ体育委員に選定されたのか、正直今でも謎だ。けれど体育委員になったからには、ぶつくさ言いながらも1年間任務を全うしようとした。
小学6年生になり、委員会決めの時期がやってくる。わたしは放送委員に立候補し、オーディションを経て放送委員の座を勝ち取った。昨年はやりたくもない体育委員だったので報われた気持ちだった。しかし放送委員になったは良いものの、のちに事件が起きてしまう。
その日はわたしは当番ではなかったけれど、給食時間の校内放送の真っ最中に雑談して誰かが笑ってしまい、それが校内中に垂れ流しになった。リクエスト曲で嘉門達夫の「鼻から牛乳」や美川憲一の「さそり座の女」やつボイノリオの「金太の大冒険」など笑いを誘うような曲を流したわけではないものの、雑談中におかしく思って笑ってしまったようだ。
放送委員の顧問だったK先生がすかさず放送室に駆け込み、放送は強制終了になった。それから昼休みに放送委員全員が集められて放送室でK先生から説教を受けたのは言うまでもない。K先生の説教を聞きながら、わたしはどんなに面白くても放送中は絶対に笑うまいと心の中で思っていた。