主流になりつつあるミックス犬
コロナ禍でおうち時間が増え、元々あったペットブームにさらに火がつきましたね。
ショップにならぶ生体のプライスポップには驚きの価格が表示されています。
生体価格はその時々の人気で変わり、不動の人気を誇るトイプードル、チワワ、ダックスフンドは割と一定価格だったと思います。
大きな変動があったのは、コロナ前に突如人気の出だした短頭種。
パグ、フレンチブルドッグ、ブルドッグ、あとはボストンテリアあたりでしょうか。
その時でだいたいの相場が30万ほどだったと記憶しています。(ブルドッグ除く)
もちろんショップによって違うのですが、トイプードルで20万前後。毛色によっても変わり、人気のアプリコットとレッドよりはあまり出ないブラック、チョコ、シルバーは割高です。
ダックスだとあまりショップで見ませんが、ワイヤーヘアーは高いんじゃないかと。チワワだと毛色の珍しいブルーマール。
そんな感じで、毛色や血統によっても左右される価格ですが、今じゃ以前の2倍ほどに高騰しているんです。
その中にはもちろん、題材としたミックス犬も含まれるわけです。
さて、ミックス犬。
少し昔なら一括りに雑種、と呼ばれていました。ですが、その雑種のほとんどは雑種×雑種の、本当に元の血がわからない「君の祖先は何の種類ですか?」というもの。
今回スポットを当てたのは純血種×純血種のミックス犬。言ってしまえば雑種ですが、一代前にはちゃんと登録されている純血種同士を掛け合わせたものです。
ずいぶんと人気になり、主流となってきていますね。
ショップに並ぶのは当たり前、いつのまにやら犬種の呼び名があるのが当たり前。
ここまで人気になる前、10年ほど前かな。
純血種に比べると需要はなく、本当に安価に並べられていました。
だってトイプードルやチワワを見にショップに行くのに『チワワ×ヨークシャーテリア』なんて「え?」としかなりません。
たしか、10万ちょっとくらいで売っていた気がします。今じゃ驚きです。
そんなミックス犬が、純血種と並んで同等の人気を誇っている。
そのブームに火をつけたのはゴールデンドゥードゥルじゃないかな、と思います。
ゴールデンレトリバーとプードルの掛け合わせです。プードルはトイプードルではなく、スタンダードプードルという大型犬種。
あんなの、ただただ可愛いです。ゴールデン持ち前の人懐っこさ、プードル持ち前の賢さ。
他にも掛け合わせてみたいと思う人が出てくるわけです。
日本では目立って見た目個性の強いミックス犬はあまり見かけませんが、海外だと大胆です。
ピットブル×シェパードや、ハスキー。中国だとシャーペイやチャウチャウも掛け合わせちゃう。
見た目のインパクト、すごいです。かわいいんですけど、わぁ。となります。
なので、日本はちゃんと売れるものをちゃんと売り出してるんだなぁ、と思います。
つまり、見た目のいいものを生み出させているんだなぁ、と。
これは純血種でもそうなんです。
ブリーダーさんの所にいるワンちゃんって、みんな見た目がよく性格がいいです。
どちらも遺伝しますから。そういった個体を繁殖させるんですね。
かわいい純血種×純血種、間違いなくかわいい子が生まれます。
では、ミックス犬。
見た目のいい純血種同士を交配させます。
さて、どんな子が生まれるでしょう?
例えばトイプードル×マルチーズ。
きっと可愛らしいでしょうね。どちらかの血に偏っても、相応の可愛らしさがあります。
先に出しましたゴールデンレトリーバー×プードルも、同じことが言えます。
じゃあ、チワワ×パグは?
どんな子になるでしょう。小さなパグ? 鼻の潰れたチワワ? それって、かわいいの?
チワワ×パグは割と飼っている方がいますので、見たことのある方は多いと思います。
それでも可愛らしい子、売られているのは可愛らしい子。
私の知っているチワワ×パグは細身で足の長いパグです。毛質はパグより柔らかめでチワワが入ってるんだなぁとわかります。
見た目が当たりの子だったんだな、と。
ミックス犬が流行っている今、それ以前にはたくさんの失敗があったと思います。
あまりにもかけ離れた顔立ちの掛け合わせ、長頭種×短頭種。犬種で言えば、ダックスとパグなど。
大きさの違いもそうですね。どうやって交配したんだろ? と疑問に思う子もいます。
それらを経て、可愛らしい子がショップに並んでいますね。
私はそれを否定する気は一切ありません。
ただ、気づかないといけないべきことが増えたなぁと思うのです。
血が二つ混じったということは、純血種の罹りやすい病気は薄れているかもしれません。種別だとマルチーズで心臓病。
でも、変わらず気をつけなければいけないこともあります。トイプードルの膝蓋骨脱臼はマルチーズもなりやすいです。人気の掛け合わせですので、片一方の知識だけでは足りないです。
チワワ×パグは、普通のチワワより暑さに弱くなります。
トイプードル×ダックスは見た目からも、ヘルニアに気をつけなければなりませんね。
シーズー×マルチーズは、マルチーズの活発さが出てシーズーの穏やかさが霞んでしまうかもしれません。
チワワ×ジャックラッセルテリアは、テリアの遊び好き・狩猟好きの性格が思いっきりチワワとは正反対でしょう。
ミックス犬って、純血種と本当に違うんです。
「しゃくれて可愛くない」と思っても、掛け合わせを見ればシーズーが入ってるかもしれません。シーズーってアンダーショットが多い種類なんです。
思っていた性格と違うというのも、元々の本能からきている場合もあります。
そういったことを、ミックス犬だけでなく純血種を迎える際にも、理解した上で家族に迎えなくちゃいけないですね。
ミックス犬、本当に多くなりました。
好きこそ物の上手なれの通り、犬種はすごく頭に入っています。学生時代に学んだ分、仕事で出会った分。
吠え声もだいたいどの犬種か当てられます。これは仕事で培いました。
でもね、ミックス犬はわからないんです。
散歩している子、トリミングしている子。
あれはなんだ……? が増えました。
毛質、歩き方、最悪は骨格まで見ます。座ってる姿勢でようやくわかる時もあります。
とにかく舐め回すように見て、たぶん片っぽはあの犬種、とわかるくらいで。
私の知識が通じなくなったな、と悔しくもあり、楽しくもあり。
あぁ、犬が好きだなぁ、としみじみ思うのです。(最後になんの話)