物知り少女の平穏
まーつーばーらーせーんせー。このフレーズならもしかしたら、松原先生をオトせるのでは?あざとく、キュートに言えばイケるのでは!?
……な~んて言ったら見つかるとおもった?残念!見つかりませんでした(泣)
あれぇ?おかし~なぁ~職員室に居ると思ったのにいねぇし、どこ行ったん?
う~ん…放課後ならいるでしょ。多分。
俺はそう思うと買った昼食を一人悲しく食べた。慣れって怖いね。
さ~て放課後になったし菓飾ちゃん…探すかぁ…。
っと、噂をすれば前方に見知ったシルエットが!
よし、ならば某ル○ンのようにか~ざ~りちゃ~んと言って飛び込めば!……いやなに考えてんの俺?それもう犯罪じゃん。社会的に死ぬじゃん。……普通に行こう。……ん?菓飾ちゃん誰かと話しているのか?だったら後に…だが、俺は足を止めた。見覚えのある姿が見えたからだ。
あれは…昼休みに見たメガネっ娘?松原先生と仲良かったのか。
俺は条件反射で隠れてしまった。ほら…俺って陰キャじゃん?コミュニケーション取ってない人が一人でもいると隠れちゃう体質なんだよ。……俺よく前のモブ三人衆相手に出来たな。自分を誉めよう。
「松原先生。頼まれていたもの出来ました。」
「うん。ありがとう。新島さん。」
そう言うと松原先生は新島と呼ばれた女子生徒からプリントの束を受け取った。
菓飾ちゃん重そうだし…しょうがない…あの新島って生徒に五条へ渡してくれるか聞いてみるか。
よし、知らない人に話しかけるときは第一印象が大事だ。教師として浮くような存在にならないように…と思ったところで話しかけようとすると…
「何かご用ですか?孤識先生。」
「ジャンガリアンハムスター?!!」
い…今起こったことをありのまま話すぜ!俺は確かに新島から死角のところに隠れたはずなのに、知っていますよ?と言わんばかりにこちらを向いているではないか?!何で?どうして?俺の陰キャ力が負けた…だと!?
思考力がいつもの3倍くらい巡るのを感じて立ち尽くしていると
「先生が着ている白衣の裾が隠れるときチラッと見えたので」
なにこの子…エスパー?
俺一言も言ってないのに聞きたいことが筒抜けだと言うのか!?
俺は驚きつつ、冷静な顔で言った。
「あぁ、実は神埼のクラス担任から五条にプリントを届けるように言われたのだが、2-4は松原先生が担任だろ?だから届けようと思ったのだが大変そうなので、同じ委員会の君にちょうど出会ったからお願いしようと思ったんだ。」
俺の行ったことに嘘はないと悟ったのか新島は快く了承してくれた。
「いいですよ。五条君に渡せばいいんですね?」
「お…おう」
まさかこんなに素直とは…こんなにいい生徒いたんだなぁとジーンと感動していると
「先生。私達委員会に共通していることはなんでしょう?」
突然、問題が出てきた。俺には5年ぐらい掛かりそうな問題だな。
適当に答えればあてるだろ…。
「…う~ん……1年の頃から友人だったとか?」
新島は少しめを丸くして
「正解です。よく分かりましたね。」
うそ~ん、当たっちったよ。でもなんで急に2-4の委員会共通点を言ってきたんだ?
……分かってはいる。だが不思議と俺の口からは言えなかった。
「五条君、優しいですよね。」
「あぁ、そうなんだろうな」
俺は知らない。五条が本当に優しいのか。あるいは、優しさという自分のステータスにしているのか。いや、優しいのだろう。でも俺はそれを優しさとは言わない。人によってはそれは他人を傷つける一言になるからだ。
よくドラマで真実がどうのこうの、伝えるのが優しさがうんたらかんたら、みたいなことがあるだろう。
伝えるのが真実というなら、きっと嘘は悪になるのだろう。でも、嘘で成り立つ真実もある。しかし、それは人が使うやり方じゃない。きっと、俺のような、底辺だから言えることだ。
……ダメだ、また俺の悪い癖が出た。哲学やら感情を深く考えてしまう。…それで苦労しているくせに。
考えを深くしていると新島が口を開く。
「…彼は、今の関係をバラバラにしたくないでしょうから。」
新島はまるで全て知っているような口調で話す。
俺が首を突っ込んでいることを、その先の真実まで。
「……先生。これは私からの相談です。」
だよな。それしかないのだろうか?彼女の事を解決するには…
「私達の関係が平穏になるようにお願いしたいんです。」
新島は明るく笑って、言った。
俺は理解した。
春が終わりそうなこの時期に窓ガラスから入る夕日は綺麗だったが、忌々しかった。
ひどくネタがないッス。




