とっておきと震える手
神埼からストーカー相談された翌日、俺はボーッとしていた。
教師初めて4年初めての相談事がストーカー対処だなんて重い内容だこと。
俺はため息を吐きながら学校へ向かう。
マジでどうしよう……頭の中の警鐘ビービーだよ……俺のほうがヤバいか、サイレンウーウーだな。
「先生」
突然後ろから声が聞こえたのでオーバーリアクション気味に
「ファッ!?いつからそこに!」
後ろから誰かに声をかけられたらこの反応で返す。
俺のルーティーンだから仕方ないね。
「……なんですかその反応」
冷たい目で引いている。そうだよね俺もそう思う。
自虐ネタを脳内でしていると
「…まぁいいですけど…この前の話、覚えてますか?」
……やっぱり夢じゃないよな~この前となるとストーカーの件だろう
いつもなら余裕があり、冷静な神埼だが余裕がなく、不安な様子がうかがえる。
俺のイメージだと神埼は何事にも冷静で対処できると思っていたがこれが偏見というものか……人間の本能だな
「あぁ…覚えてる。さすがに生徒の悩み忘れるほど頭腐ってないよ」
目を丸くした神埼が言う。
「……意外ですね、てっきり私一人で解決できるとでも思ってましたが…」
「………少しは」
「私の純情を返してください」
まるで早口言葉のように神埼が言った。
「まて、純情ってちがくない?」
こんな少しおバカな話が出来るだけ昨日よりは落ち着いたのかな?
でも解決はしないとな……一時の安心にならないようにしないとな……
そうして話をしながら学校へ着き、下駄箱で別れた後神埼の方を見ると、一人の男子生徒が神埼に話しかけていた。
だが俺にそこへ介入する隙間はない。
学生生活を教師にとやかく言われることはないだろう。……決して嫉妬じゃないし、俺の時にあぁいうシチュエーションが無かったからとかじゃないし……
……俺がやるときもちわりぃな
職員室に入ると松原先生がむぅ~顔ジト目でなにか言いたそうに見ているではないか。
はっ、もしかして俺ちゃんに恋しているのではないか?!勘違いか?いや勘違いではない!今まさにこちらへ歩いて来ているではないか!!
フッ……こんな朝っぱらから職員室で告白とは菓飾ちゃん……いいぜ……言いな!受け止めてやるぜ!!きみの告
「こーしーきせんせー……昨日……学級委員を決めるって言ってましたよねぇ~」
ハハハッ……これは告白じゃない……顔は笑顔なのに後ろからどす黒いオーラが見える。お願い許してぇ
「はぁ…どうせ先輩のことだからまだ決めてないとは思ってましたがここまでいくと本当に教師免許取った人とは思えないですね」
………おっしゃる通りで……朝からこんなに申し訳ない気持ちが沸いたのは久しぶりだ、泣きそう。
「ところで、そっちは決まったんですか」
俺がぶーたれたように言う
「えぇ、決まりましたよ」
と、ドヤ顔混じりで言う。くっそー俺の方が年上なのにあとそれは別にドヤれることじゃないからね?
「ちなみに誰がやることになったので?」
「ふふん、いい気分ですから教えましょう」
うわー腹立つー、まぁ少したったら分かるからどうでも良いけどさ。
「学級委員長はあの神埼さんと並ぶ成績優秀者の五条翔くん。副委員長は柴野剛也くん。議長が新島ゆかり(にいじま)さん。書記が藤堂正志くんですね」
おーおーおー、優秀な人たちが揃ったこと。全員エリート様で……んっ?五条?
不思議に思っていると松原先生が顔を覗きに来た。
「?先輩、どうしました?」
「あぁー、その、五条くんってのは~」
「えっ、まさか知らないんですか?…ちょっと待っててください」
松原先生が出席簿を開いて、写真を指差した。
「この子ですよ」
出席簿を見る。そこには藍色がかった短髪、眉目秀麗な顔、いかにもイケメンオーラが出てる生徒が写っていた。あれ?こいつ……朝、神埼と話していた男子生徒か。あの二人接点あったのか……
放課後神埼に聞きに行くか。それまでは知りたいことはお預けだな。そう思いながら俺は自分の教室へ向かっていった。
6時限目が終わり松原先生に言われた学級委員も決めたので俺も部室に行こうと教室を出て廊下を歩いていると前に神埼の陰口を言っていた女子生徒が神埼に絡んでいた。アイツら人にぶつけないと気が済まないの?人間なの?……あっ、人間か。
……部員は見捨てられないよなぁ。仕方ない教師の力を見せるか……
「神埼さん、あのさぁ翔君と仲良くするのやめてくんね?」
「……」
「黙ってないでさぁ、お願いしてるだけじゃーん」
「……」
「はぁー、あんさ、ぶっちゃけるとアンタ感じ悪すぎない?」
そう言うと女子生徒の一人が神埼を突き飛ばす。サイアクだよな、これが学校の闇の一部でもある。
注意されると『ネタですよ~』とか『イジメじゃないでーす。遊ぼうって誘っているだけでーす』などの頭が働く。そこを他に生かせや。しゃーない、こういう時のためのとっておきを使うか…
「はーい、そこまでだ。モブA、モブ美、ブモ子」
俺がそう言うと各々『も、モブA?』『も、モブ美…』『ぶ、ブモ子って…』そんなに名前が的中したの?適当に言ったのに……
少し経つとモブAが澄ました顔で
「違うんですよ~先生~ちょっと遊んでただけなんですよ~」
……ほらな?知恵が働くだろ?イラつく言動だぜ…………
…………教師、舐めんなよ?
「はぁ……生徒個人にとやかく言うことじゃないが……一歩間違えるとイジメだ。分かったか?」
少し強めな口調で言う。
「フフッ……せんせーこそ分かってる?せんせーは男、あたしらは女なの。せんせーに襲われそうになったって言えばせんせーも立場が危ないんじゃ…」
「そんなにボロ出していいのかなぁ~」
優しく、諭すように言う。モブAは気に触ったようで
「どういうこと?」
と、ブチギレ気味に聞いた。
「だから、可能性を考えながら物を言えって言ってんだよ」
これだけ言えばさすがに分かるでしょ……多分
そう思いながらモブAの顔を見ると、爆発寸前みたいな顔だった。あぁー、これは怒りで我を忘れてますね。ご愁傷様。
じゃあ答え合わせと行こう
俺はポケットに入っているボイスレコーダーを目の前に出して
「さっきの神埼への暴言、君達の俺に対する脅迫が入っている言質、これだけで十分すぎる証拠だ。試しに一から流そうか?」
そう言うとモブAたちは、口をパクパクしながら、「チッ」と舌打ちして去っていった。
俺は神埼の手を引っ張り、部室へ足早に駆けた。
握った時の神埼の手はひどく震えていた。
どうもこんにちは、現実生活に追われている私ことナナクサです。
私の妄想語りにお付き合いいただきありがとうございます。
こんな先生いたら現実はどうなってたんだろうと妄想していると私だったら直ぐ連絡先を聞いてますね。面白いですし……
さて、ストーカー。私はあったことがないですが意外な人がストーカーだった場合恐怖を感じますね。(誰だってそうだとおもうけど…)
とまぁこんな感じで不定期更新ですが温かく見守りください。
アドバイス等もお願いします
ありがとうございました。




