後輩と毒舌ガールの悩み
「…」
「…」
なに…この気まずい空気
俺なんもしてないよね?心当たりもないし、普通に学校来て職員室に来ただけなんだが?
何で後輩にジト目されてるんだ?
よし思い当たる節を思い出してみよう。
えぇ~と約1時間前に職員室に入った。
…それだけだな…うわっ、俺の記憶力…貧弱!!
などと俺が脳内ツッコミしていると、後輩の松原菓飾がジト目のまま言ってきた
「…先輩」
「…なんでしょうか」
「神埼さんとずいぶん仲がよろしいようで」
「…それが?」
「むぅ~」
なんだよむぅ~って可愛いかよ
俺の後輩可愛すぎ。これテストに出るからな
「生徒と教師が仲良くしちゃダメか?」
「ダメじゃないですけど…その~…むぅ」
かわいっ、なにこの生き物、幻覚かな犬耳がみえるぞ?
松原菓飾、俺の大学時代からの馴染みで教員だと2年先輩だ
「まぁいいですけど、あ、そういえば」
思い出したように菓飾が言う
「先輩、学級委員はもう決まりました?」
「あっ」
忘れてた、神埼とイオちゃんのことで頭いっぱいだった
「はやく決めてくださいよ。あと先輩のクラスだけなんですから」
「あぁー近いうちにな」
「今日決めてください」
怖い怖い、圧が強い、菓飾ちゃん
「うへー、分かったよ」
さて、そろそろ予鈴が鳴るし行かないと
今日も呼ばれるだろうな~サボりてぇ~
放課後
ある生徒は部活に行ったり、補修があったり、そのまま帰宅したりなどしているが俺は教師なのでな
そのまま帰宅ルート…に行きたいが
いつものヤンデレメールが来ると怖いし神埼のとこに行くか
俺がそう思いながら特別棟へ向かう途中、学校のたまり場から女子生徒の声が聞こえた
「あー疲れたー」
「だよねー」
どうやら数人の女子が喋っているようだ
俺には関係ないし通り過ぎようとすると聞き覚えのある名前が聞こえてきた
「てか知ってる?神埼っていう人」
「あぁー知ってる知ってるその神埼さんがなに?」
「噂だとさぁ~頭良いこと生かして小説書いているんだってー」
続けて女子生徒が言う
「ウソマジ?あんな秀才さまが~?」
「ムリっしょだって…」
そこまで達したところで俺が前を通ると女子生徒達は喋りをやめ、驚いたような顔をしてヤベッとポツリ漏らした
いつになっても学校は面倒なところだ
何かしら功績を挙げれば疎まれ、攻撃の対象になり、逆になにもしなければ陰口の対象になる
特に神埼は天才の中の天才。分からないことはないといっても良いかもしれない
しかし、そのステータスが周りからは嫌に思われるのだろう
集団心理って怖いね
こういうところしか息が合うのだから人間ってヤダね
…彼女は知ってるのだろうか
自分が周りからこう思われているということを
そう思う自分が嫌になる
俺は足早に特別棟へ歩く。
部室のドアを開けると、いつもの場所にいつもの生徒が少し驚いた表情でこちらを見た
「…今日は早いですね。いつもは即帰ろうとしているのに」
「フッ…バカ言え。気が向いただけだ」
そういった直後神埼は冷たい目とため息をした
あれ?俺なんかやった?バッドコミュニケーションだった?
おかしいなぁ~妹にやるとスルーされるのに…あっでもため息というアクションをしてくれるからグッドコミュニケーションなのでは?
脳内思考していると神埼が口を開いた。
「…先生」
「ん?どした?」
いつもの神埼とは違う
言い辛そうな感じがある。さすが俺ちゃん生徒の気持ちが分かる良い教師。
だが少しの静寂からか俺は神埼に声をかける
「相談か?解決しない相談ならのらないぞ」
神埼は心に決めたように話す。
「…私……ストーカーに追われているんです」
……ヘビーな内容だなこれは大人に相談したほうが良いな……俺大人だったわ
考えていると神埼が俺の顔を不安そうな顔で見る。
「先生?」
「うぇ?あ、うん…結構ヘビーな内容だなって」
嘘は言ってない。相談する相手が違うと思っただけで。
ストーカーねぇ……体験したことないから対処法が分からないけど……高校生ぐらいは被害に遭いやすいのか
普通は親に相談すると思ったがしにくいもんなぁ
教員情報だと神埼の親は言わずもがな神埼グループの会長でなおかつ、PTAの会長でもある。
確か父親が神埼丈、母親が神埼名智父親の方は神埼グループのホームページで見たことあるが眼鏡かけたイケメンダディだったような…
母親はPTA会議で何度も見たことがある。厳しそうだが優しいそうな人だった気がするが…
…まぁここは神埼の意思を尊重するか…
少し考えて神埼の方へ顔を向ける。
「うーむ、解決するには手順があるが話は聞くよ」
俺がそう言うと神埼は少し顔が和らいで
「ありがとうございます」と笑った。
……こいつって笑うと可愛いんだな
1時間ほど話を聞いて今日は早めに帰らせるようにした。
一応俺も家前まで送ったが聞いた話を整理したくてカフェに寄った。
神埼がストーカーに気づいたのは約2ヶ月前、2年生になって少し経ったぐらいに後ろに人影が見えたらしい。
それから毎日視線を感じると言っていたが、2ヶ月前に初めて人影を見たならその前からストーカーされていることと受け取って良いだろう…だけどこれだけじゃまだよく分からない。
しかも、警察は証拠がないと動いてはくれない。なにかストーカーされている映像や音声がないと……
俺は深く考えて、目の前に置いてあるゲキ甘コーヒーを飲み干して会計を済まし、外に出てそのまま帰宅した。
「たーだいまぁ~」
家の玄関を開けるとイオちゃんがぱたぱたと小走りで来た。
妹って可愛いな。これが目に入れても痛くないってやつか。うん。やはり俺の妹が可愛い件……なんか某有名小説と混ざったな
「おかえりーお兄。ご飯にする?お風呂にする?そ・れ・と・も……」
おっ、これは期待して良いのか?お兄ちゃん期待して良いのか!?
家族だがお兄ちゃんはオッケーだぞ。むしろウェルカム
煩悩に華を咲かせていると
「ゆ・う・は・ん・づ・く・り?」
……現実は甘くなかったよチクショウ
イオちゃんギャグを受けながら今日は早く寝た。
しかし、神埼のストーカーの件を考えると快眠はできなかった。




