自信のない幽霊
舞台・廃墟
侵入してきた男(以降は男)・つっこみ
幽霊・ボケ
男「おー、雰囲気あるじゃないか。ここなら肝試しもバッチリだな。こう見えて案外繊細なんだよね。一応危険がないか調べないと。ん? だ、誰か居る!?」
幽霊「あのー」
男「?」
幽霊「……」
男「で、で……」
幽霊「……」
男「……アンタ幽霊? 足もないし」
幽霊「はい」
男「スーツ、髪型びっちり決まってて、とても爽やかで怖くないんだけど」
幽霊「ほ、本当ですか?」
男「俺は肝試しの場所チェックできてんだけどアンタは何しにここへ?」
幽霊「実はその、人を驚かせようと思いまして」
男「どうしてそんなことを?」
幽霊「昔から何なんですが、僕は自分に自信を持てない人間だったんです。そして死んでしまって。今は幽霊でしょ? ですから幽霊と言えば怖がらせることじゃないですか。相手を怖がらせることが出来れば自分の自信に繋ががるかなと思いまして」
男「(面倒な話だ。ここは辞めて他……、待てよ。コイツは本物の幽霊だ。うまく手懐ければ最高の肝試しが出来るじゃねえか。A子ちゃんに抱きつかれちゃったりして! よーし、いっちょ協力してやっか)しゃーない、俺が協力してやるよ」
幽霊「おお、ありがとうございます!」
男「まずは挨拶からだな。「あのー」じゃ怖くないな。そこはわかんだろ?」
幽霊「はい! では最初からお願いします!」
男「おー、雰囲気あるじゃないか。ん? だ、誰か居る!?」
幽霊「お前の集めたエロ画像周りに配信してやろうか!」
男「怖くねえよ!」
幽霊「いや、死んでエロフォルダが拡散されたなんてなったら怖いじゃないですか。正にこの世の終わりみたいに」
男「怖さの意味が違うだろ!? 場所と状況を考えろよ! それに幽霊というよりもなまはげみたいになってたぞ!」
幽霊「よくあるうらめしやーっってのをやろうかと思ったんですがそれでは時代的にちょっとと思いまして」
男「一理あるな。良いんじゃないか、新しいものにチャレンジってのは悪くない。まあ、言葉は何でも「ボワーー」とかでも。じゃあそこを踏まえて。おや、ちょっとまってくれ、携帯が鳴ってる。あれ、もう切れた。見たことない番号だが一応かけてみるか、ススッ、トッルルル」
幽霊「ボワーー」
男「おわっ。って今アンタが?」
幽霊「はい」
男「それだよそれ! やれば出来るじゃないか! スマホ使うなんて新しいし最高だな!」
幽霊「あ、ただ今男さんがかけた電話代が500万くらいかかりましたけど」
男「バカヤロウ! 高すぎるだろ! 違う意味で怖いわ! そんなに取られたら幽霊が1人増えちゃうだろ! ……本当にそんな取られる?」
幽霊「あの世は遠いんで」
男「まあそこはごねるとして、いいね、その方向で。後は見た目かな。そう決まっていると怖くないな。次回来たときはもっとこう乱れた感じで」
幽霊「うわっこわ」
男「コレは素の顔だよ! 失礼だな!」
男、幽霊「はいっ、ありがとうございましたー」