第一章 3話 『俺の怪我がこんなに簡単に治るなんて』
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「ううっっ」
ジンジンする頭の痛みに、ヤスシは小さく頭を振りながら目を冷まさした。
目を開くが視界が開けず、布の様な物を巻かれていることに気付き、反射的に手を出そうとした時。
ガチャンっ、ジャラジャラ
自分の両手両足に手枷と鎖を付けられベッドの四隅に繋がれていることに気付いた。
ベッドの柔らかさと手枷の固さに違和感を覚えながら、自分に何が起きたか思い出し、イライラしていると。
ピトッ
と、おでこに小さな2つの感覚が降りてきた。
「クロノスか?」
ヤスシは先ほど会った小さな光のヒトガタを思いだし、イライラした口調で確認をした。
「正解だよ。」
軽い感じで答えたクロノスは、ピョンっ!とヤスシの顔の左側に飛び降り、痛々しそうに傷口を覗き混みながら話を続ける。
「痛そ~う。」
「痛いに決まってるだろ?誰だよ張本人に会えるからとか言ってあんな所に放り出したのは。」
「ごめんごめん、でもあのゲートは一本道なんだ。あの場所に本来居るべき神の所に行ったと思ったんだけど、手違いで留守だったと言うか…さっき別れて僕が行った場所でばったり会ったと言うか…」
あたふたと慌てながら説明するクロノスには、神の威厳と言うものなど全くなく。
先程までイライラしていたヤスシも少しだけ落ち着きを取り戻す。
(神様らしく無いって言うか、イイやつなんだろうな。)
そう思ったヤスシは取り敢えず視界を確保したいと思い。
「クロノス。頼みが有るんだけど。この目隠し外してくれないかな?」
「う~ん。外す事は出来ないけど風化させて見るよ。」
【クワエ・エクス・テンポレ[時よ進め]】
クロノスがそう唱えながら目隠しに触れると、淡く発光してボロボロと崩れ落ちた。
残って風化した、先程まで目隠しであったであろう埃のような物体は、そのままどんどん小さくなりそのまま消えた。
「ありがとなっ。って、そのまま外してくれるだけで良かったんだけど。」
ヤスシは生まれて初めて見た魔法に少し困惑しながら、自分の為にその魔法を使ってくれた神にお礼を言った。
(何回見ても神っぽくないんだよな~威厳も)
目の前にたたずむ15センチ程の光るヒトガタ、頭は水の滴のような形で頭は尖っている。こんな状況じゃ無ければ謎のUMAで処理される様な弱っちそうな生き物。
「考えてる事分かるからね。僕はこの世界の物質は動かせないから、神の力で消すしか無かったんだ。あと、これはお詫びだよ。」
【レディ・イン・テンポレ[時よ戻れ]】
またもクロノスが呪文を唱えながら今度は傷口に触れると、淡い光に包まれて痛みが引いて行く。
「これでよし!流れた血とかも全部戻ったから完全回復してると思うよ。」
そう言うと小さな光のヒトガタは、フッと消えた。
「ちょっ、、鎖とかまだ残ってるんですけど!!」
慌てたヤスシがそう言うと、どこから聞こえているのか分からないが。
「ごめん!行かなきゃ。それにもうすぐ自由になれるはずだから大丈夫だよ。」
と、遠ざかるようにクロノスの声が聞こえた。




