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相棒2人の極追求の道  作者: 千田賀谷
第1章:初まり
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閑話1   妹

初めて3日しか間を空けずに投稿した!

本編の中で一番長いです。

一の妹の蓮月百合、初登場。

百合視点。

私の名前は蓮月百合。

二宮高校1年生で、同じ高校に通う、2年生の蓮月一の妹だ。

お兄ちゃんは、仕事が忙しくてほとんど家にいられない父さん、母さんの代わりに色々な家事をやってくれる。私とも家事は分担しているのだが、洗濯、食事などはお兄ちゃんがやってくれ、私はいえの掃除や皿洗いなどをやっている。

お兄ちゃんがつくる食事はいつも美味しくてバリエーションも豊富。私の話もいつも親身になって聞いてくれるし、べつにブラコンというわけではないが、お兄ちゃんのことを父さんのように感じている。

しかも、お兄ちゃんはスポーツは万能で頭もとても良く、なんでもできる才色兼備な男だった。


・・・だが、そんなお兄ちゃんがつい先日、死んだ。

私は陸上部に所属していて、お兄ちゃんが所属している空手部とは終わる時間がばらばら。

その日は陸上部の方が早く終わり、私は先に家に帰っていた。

だが、いつもはそんなに時間もかからず帰ってくるお兄ちゃんがその日はなかなか帰ってこなかった。

どうしたのだろうと心配しているうち、外からパトカーのサイレンや救急車の音が聞こえ、騒がしくなってきた。

何か胸騒ぎがしたが確かめるために外に出てみると、誰かが倒れていて、その周りに人が集まっているのが見えた。


「すみません!どうかしたんですか?」

「いや…、ここに人が倒れているって通報があって来てみたんだが…。男子高校生2人が倒れていたんだ。君は知っているのかい?」

「もしかしたら・・・。ちょっと見せて頂けませんか?」

「ああ。いいよ。だが…、本当にいいのか?吐いてしまうかもしれない」

「ええ、いいです!」


男子高校生2人と聞いてさらに胸騒ぎがひどくなった。

しかも、そういう時に限って与感は当たる。

見てみると…。


「…っ!?」

「やっぱり、知っているのか?」

「え、ええ。1人は私の兄、蓮月一です。もう1人は、その友達の杉本竜馬です…」


この2人が倒れていた。

周囲は凄まじいことになっており、2人はどう見ても死んでいることは明らかである。



「どうして、こんなことに…!」


私は思わず、泣きながらへたり込んでしまった。

話しかけた警官の人がそばにきて、背中をさすってくれた。


「かわいそうに。このお兄さんは、よっぽど君から慕われていたんだな…」

「…そうです。それに、竜馬君も同じです!どうして…」

「それに関してだが、本当に、全く死因が分からないんだ。この傷を見るに、自殺という線はありえない。自殺するのに使える刃物とかもなかったしね。でも、他殺でもないようなんだ。周囲に不審な人物やそれを見たって人が誰もいないんだよ」


自殺ではないが、他殺でもない・・・?

一体どういうことなのだろう。

だが確かに、自殺という可能性はない。

まず動機がない。

それに、2人は身体の至るところに深い裂傷を負っていて、部位が切断されかかっているのもある。

自殺するにしてもこんな死に方はしないはずだ。

さらに言えば、お兄ちゃんと竜馬君は、人から殺されるほど恨まれるようなことはしていないはずだし、心当たりもない。

だとするならば、2人は()()死んでしまったんだ?


_____________結局、この事件は何の手がかりが得られぬまま、迷宮入りした。


***

お兄ちゃんが死んでから1ヶ月程が過ぎた。

季節は秋で、紅葉が美しい時期だ。

だが、私の気分は沈んでいる。ついでに言うと、お兄ちゃんがいる2年生も、主に同じクラスの人達は全体的に気分が沈んでいる。担任の先生も、どこか悲しそうだ。


今日は陸上部、空手部に剣道部は同じくらいに部活が終わった。

なので、剣道部に所属している、お兄ちゃんと竜馬君と友達の甲賀忍君と一緒に下校している。

お兄ちゃんと同じクラスの忍君はやはり例にもれず気分が沈みがちで、剣道部でも打ち込みが弱いとか注意を受けたみたいだ。


「はあ・・・。」

「どうしたの?」


忍君が毎度のごとく溜息をつく。理由はもうわかっている。


「もう1ヶ月も経つのに、まだあいつらが死んじまったのが信じられんよ」

「まあそれはね・・・もう仕方ないよ」

「そうなんだがねえ・・・畜生!なんであいつら俺らに無断で死んじまいやがったんだ!」


一言いったら死んでもいいのかと突っ込みたくなるがそこは突っ込まないほうがいいだろう。

愚痴ったところで2人が戻ってくるわけでもないから、そこはくよくよしてても仕方ない。


「って割り切れたらいいんだけどなあーー!」

「ほんとそれ」


くよくよしててもしょうがないのだが結局はこうなってしまう。

だが、これもそれこそ仕方ない。

だって、私からすればお兄ちゃんは父親みたいな存在だったのだし、忍君からしても2人はとっても大切な友達なのだから。


「はあ・・・・。もう、生きがいを失ったみたいだよ・・・」

「おおう!?それは、逆に死んじまった一達に失礼だ。最後まで生ききってやらないとあいつら悲しむぞ?」

「そ、そうだね。頑張んなきゃ」


思わず口からそんな言葉が漏れでてしまったが、忍君に言われ、決意を新たにする。

が、不幸というものは唐突に訪れるものである。


「きゃあああ!!」

「「ん?」」


悲鳴が聞こえ、振り向くと包丁を持った男が暴れまわっているのが見えた。

しかも男は訳のわからない叫び声を上げながら近くにいた人達に襲いかかろうとしている。


「まずいっ!!」

「助けなきゃ!」


私は襲われようとしている女性を助けるため、走りだした。

普段は普通の人からみればなにあれすごいと思うくらいの速さではあるが、リミットを解除することでオリンピックで優勝できるくらいの速さを叩き出すことができる。


「うおおおお!!」


今回はもちろんリミットのことをどうこういっているときではないので、リミットを解除して本気で走り、あっという間に距離を詰める。

そして今にも振り下ろされる寸前の包丁に狙いを定め、振り下ろされる軌道に合わせて弾き飛ばし、軌道を逸らそうとした。

だが、タックルのタイミングが早かったのか、男の下に飛び込んだ私に向けて包丁が振り下ろされてくる形になってしまった。


「しまっ!!」

「お、おい!百合!!」


態勢をたて直す暇もなく、包丁が私の体を深く切り裂いた。


「ぐはっ!!」


口から鮮血が飛び散り、体中を鋭いのが生ぬるくなるくらいの、体中を電流が流れたような痛みが走る。

私はそれに耐えられるわけもなく、地面に倒れこんでしまった。


「ぐ、ううっ・・・!」

「ちょ、百合!・・・てめぇ!」

「だ、大丈夫ですか!?」


大丈夫じゃない。やばい。意識がどんどん薄れていく。

激高した忍君が男に飛びかかり、助けた女性が必死に呼びかけてくるのを聞きながら、私は意識を手放した。


***

「はあ、まったく、()()()()()()死んでしまうんじゃ…」

「?」


目が覚めると、老人の居間みたいなところにいて、座布団の上に座っていた。

外は見渡す限りの白い空間だ。

そして目の前には老人みたいな人がいる。


「まあいい。まず一つ。君は蓮月百合君じゃよな。君のお兄さん、一君のことじゃが…」

「うん。それ一番知りたいんだけど、あなたは誰なの?というかここ・・・あ、もしかしてこれいろんな漫画とかアニメでよくある…」

「まあそういうことじゃ。一君のことじゃが、ワシが手違いで死なせてしまった。すまない!」

「は、はあ。ていうか手違いであんな死に方する!?」

「そこは聞かないでくれ…」

「あ、はい」

「でも、今は別の世界、まあいわゆる異世界で竜馬君と一緒にいる。安心せい」


なら良かった。本当に良かった。


「私も異世界に行きたい!」

「子どもか…あ、もちろんいいぞ?」

「やった!」


私としてはお兄ちゃんと一緒にいたいのだから、それさえ良ければ満足だ。


「じゃあ、百合君には全ステータス2倍の力の陣をかけよう。ワシのお詫びじゃ」

「え?いいの?ありがとう!」

「それと、お兄さんがいる街の近くに転移させてやろう。『スタット』という街じゃな」

「スタットねえ。覚えておこう」

「じゃあ、行って来なさい」

「うん!」


目の前にいる老人は名を名乗ってはいないが、私は自然と神であると感じた。

とにかく、そういうと同時に私がいるところを中心に魔法陣が展開され、視界が薄れていく。


「やっぱり、似ているんじゃよな…」

「?」


その言葉が耳に入った直後、意識が薄れていった。


百合:私の死に方かっこいいじゃん! 千田賀谷:でも死んでるから結局変わらんじゃん。

百合:ギクッ! 一:まあ、いいじゃないか。他人を助けようとした心は立派だよ。

百合:へへ!凄いでしょ! 一:ああ。もちろん。

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