第2話 実力
やっぱ不定期投稿じゃないと厳しいですね。
物語が大きく進展し、内容が濃くなってくるのは4章とか5章あたりから。
それまでは、その承前みたいな感じでゆるりと付き合ってくだされば。
「うえええええ!!なんですかこれは!?」
「「は?」」
受付の女性がギルド全体に響き渡る大声を出したので、一達は驚いたがそれ以外の、ギルドにいる人々もそろって何だ何だとこちらを向く。
「あの、なにかあったんですか?」
「いやあの、なにかってレベルじゃないですよ!レベル1なのにステータスおかしいじゃないですか!!」
「え・・・?そんなにおかしいの!?」
一は自分のステータスがそんなに低いのだろうかと焦ったが、そんなことはない。
というか、むしろ逆である。
「どれだけ鍛えたとしても、レベル1ではせいぜい100にのるかどうかってところなのに、全て4桁にいっているってどういうことなんですか!」
「えー・・・、俺・・・じゃない私にそんなのいわれてもそんなの知りませんよ・・・」
受付の女性からカードをもらい見てみると、「運」と書かれているステータスだけは100となっているが、それ以外は確かに千を超えている。だが、基準が分からない一は、それがどれだけ高いのかが分からない。
後に聞いてみると、言っていた通りレベル1ではステータスはいっても100くらいで、平均は50とかそこらだそうだ。それと比べると、圧倒的に一のステータスが高いことが分かる。
「いやまあうれしいことだよね…」
「そりゃそうだ」
「じゃ・・・じゃあ、そちらの方もすごいんでしょうか・・・?」
「えー、どうだろう。俺はこいつ、一と同じくらいの強さだから、まあ凄いとは思うが・・・」
むしろ、一という高すぎる基準に照らし合わせて、それで同じくらいといいつつさりげなく謙遜している竜馬はそれこそすごいだろう。
竜馬は一の時と同じように冒険者カードを手に取り、魔力を込める
するとまたも先程のような現象が起き、竜馬の冒険者カードが出来ていく。
光が収まり、カードが完成すると、さっきよりも恐る恐るといった感じで受付の女性が手に取る。
「うえっ・・・・・」
「えっ!?ちょっ!?」
中を覗き込んだと思ったら、突然目を剥き、口から泡を吹きだして倒れてしまった。
常識外れの超高ステータス2連続はさすがに驚きすぎたのだ。
竜馬も一と同等の力、強さを持つ。
だから、竜馬の冒険者カードも、やはりいろいろなステータスが千を超して記されている。
「わーー。一と同じくらいの数字じゃないか。平均からすりゃこれは凄いんだよな」
「今思ったんだが・・・けど、お、私らを基準にしてるから世間の基準が分かんないんじゃないの?さっき受付の女性がいってた数字を基準にすればいいんじゃない?」
一は女になったばっかりで、まだ慣れていない様子。
「とすれば、俺たちめっちゃ凄いじゃないか」
「だよな・・・だよね。・・・・ああもうやりずらい!」
竜馬が驚いたが今更である。
「まあ、慣れればどうってことないさ。女になったことだって、最初はびっくりしたけどよくみりゃかわいいじゃんか」
「か・・・」
竜馬にそんなことをいわれ、一は顔が赤くなってしまった。
「別にそんなことないよ!」
「はいはい」
なぜか、性格だけじゃなくて心まで女になっている気がするが気のせいだろうか。
「ん?これ、魔力?これだけ突出しているんだが」
「あ、確かに」
見てみると、確かに竜馬の能力、「魔力」の欄だけ数字が飛び出ている。
一の能力には特に突出したものはなく、全体的に高い、いわゆるオールラウンダーだ。
だが、一と違って竜馬は魔力が飛び出ているので、いわゆる魔術師的なものが向いているようだ。
「なんかこれだけで、2人で冒険者やっていけそうだね」
「確かに。完璧に前衛と後衛で分かれている能力値だからな」
2人は周りの目など気にせずに話しているが、いつのまにか周囲の人々が色々な目を一達に向けている。
羨ましそうな目、怪訝な目、疑惑、嫉妬などなど。
「おい、若僧ども!!」
「ん?私達?」
「そうだ、お前たちだ!」
「え、いや…、なんかあるの?」
「大ありだ!お前、ステータスやばいって言ってたな!?」
振り向くと、筋肉質で体が大きいが顔が悪い、というかいかにも短気そうな男がいた。
予想はしていなかった訳ではないのだが、まさか本当に絡んでくる人がいるとは思わなかった。
「で?それがなにか?」
「どうせいかさまさ。そのカード、ちょっと見せてみろ」
「は?はあ…」
一はだるそうにしつつも、渋々カードを渡す。
本当はこんな奴と関わりたくはなかったが、どうせ断ったとしても強引に押し切ってくるだろうから諦めた。
「ほうら、いかさまじゃないか。お前、新人だな?ちょっとは態度を弁えた方がいいぞ?」
「弁えるのはそっちじゃないの?」
「ちょ…」
どうせ指導だなんだ言って何かしてくることは分かっていたからさりげなく挑発。
「なんだと?お前、新人のくせにデカイ態度じゃないか。ようし。一発指導してやる」
「そうくると思った」
「計画通りってか…」
竜馬は呆れているが、そんな2人をよそにその男は拳を振り回し、ニヤニヤ笑っている。
「俺はこれでもこの街で一番パワーがある。この拳に耐えられるかな?」
「そっちこそ、耐えられるといいね」
「なんだと!?これでもくらえ!」
男は拳を振り回しながら、一に向けて突き出してきた。
だが、一にとっては強くもなんともない。
一はその拳を片手で容易く掴む。男は「うっ!?」と拳を受け止められたことに驚きつつも、拳を抜こうともがく。だが、一はそれ以上の力で抑えつける。
「ぐぬぬっ!?なぜ抜けない!」
「だからいったでしょ?耐えられるといいねって。あと、こんなことをやるってことはもちろん、覚悟できてるよね…?」
「な、なんの…」
「返り討ちにされる、覚悟さ」
「な…うぎゃああああ!痛い痛い!!」
一はそういうと、拳を握る手に力を込める。それだけで握られた拳がミシミシと音を立てている。
「指導っていうけど、別にそういうの間に合ってるんで、結構です」
「はは・・・」
容赦のない一に竜馬も苦笑している。
だが男はそれでも諦めないのか、掴まれた右手と反対の左手を振り上げた。
「しょうがないなあ・・・よっと」
「ぐうわああああ!」
一はその手が振り下ろされるのを見切り、少し体を動かしてよけ、そのまま腕をつかんで、足を引っかけて体をうかせ、そのまま柔道のように投げた。
それはきれいに決まり、ドターーっ!という音とともに巨体が地面に沈む。
「身の程ってものを覚えた方がいいんじゃない?こいつは」
「まあ、そうだな。あ、こいつの仲間とかいたら、後処理よろしく。こっちは責任もたないんで」
周りの視線が一気に畏怖に変わっている中、一達は悠々とギルドを後にした。
千田賀谷:お疲れ様です。 一:本当に。 竜馬:ほとんどお前が処理してたじゃんか。
一:竜馬、ほとんんど見てただけだし。 千田賀谷:次話は閑話。一の妹が出てくるよ。
一:ほんと!? 千田賀谷:ほんと。 竜馬:で結局秘密って何なんだ?
千田賀谷:ま、その内分かるさ。