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第二話『その後』

「あなたー、雑巾とってー!」

「今行くから待ってろー」


 その人は汗を滲ませながらも右へ左へバタバタと仕事をしていた。

 その女は我が子を抱えながら食器を片付けていた……。


 ヌルプム教の司教。ユンフェはある女性司教にイチモツを切られそうになった。

 その後あれこれあり、今のお嫁さんであるセヌーリの懐胎(かいたい)が発覚し、ユンフェはどうにかイチモツを守ったのであった。その後、ラティスはユンフェにこれといった罰を受ける事もなく、今まで通りの職務を続けていた。そればかりか、ユンフェとの関係も良くなり、最近では家族ぐるみで交流する仲になった。


「はい、どうぞ」

「ありがとう……」


 ユンフェはセヌーリに雑巾を渡した。

 するとセヌーリはお礼を言ってくれた。だが、その声はどこか落ち込んでいた。


「あなた……本当に行ってしまわれるのですか?」

「ああ、ちょっとの間ね……周りを見たくてさ」


 ユンフェはラティスにイチモツを断罪されそうになってから周りの世界に興味を持ち始めていた。他の国ではどのような宗教があるのか。様々な国、人、物をみて、沢山の発見があるだろう。ユンフェはそう思っていた。

 ヌルプム教の教えや規則に他の国へ渡航したり、他の宗教への接触を禁止する物はない。それどころか、他の宗教との崇拝の掛け持ちすら許されている。

 ユンフェはヌルプム教の教えを守りながら他の国へ行く事を決めたのであった。


「どうかご無事であってください。私はここで待っております」

「ああ。さあ、神へ祈りを捧げよう……」


 そう言うと、二人は神へ祈りを捧げはじめた。


 ***


 それから時が流れ、ユンフェは旅に出て、様々な国、人々、宗教、食べ物を発見し様々な事を学んだ。そして長き旅も終焉(しゅうえん)に近づいていた。


「今までありがとうございました。御者のスンイルさんに、ガイドのユラさん」


 そう言うと、二人は頭を下げた。そして、隣に座っていたユラが口を開けた。


「ユンフェさん。またお会いできると嬉しいです……そしていつまでもお元気で!」

「ユンフェ……またいつでもこいよ」

「二人とも……」


 そこに見えてくる町。もうじき旅も終わる。

 そんなことを考えているうちに三人を乗せた馬車は家の前に止まった。


「それではさようなら……二人ともお元気で!」


 俺はそう言って二人の元を離れた。そして、家からセヌーリが飛び出してきて、俺を抱きしめてきた。


「ただいま……あなた」

「ああ」

「今日は休ませてくれ……」

「今日は寝かせないわよ! かくごしろー」


 セヌーリは笑いながらそう言う。俺は調子にのり、セヌーリの尻に触れてやった。

するとセヌーリが「ひゃ! くすぐったいよぉー」などと鳴いてくれたのですぐさまお姫様抱っこで寝室へと向かった。


「それじゃ始めるよ」


「ゆ、ユンフェのが、中に……」


「大丈夫かい?」


「もう何回もしてるからへっちゃ……あっ!」


「もう感じたの?」


「そんなわけ……」


「じゃあここはどうだ!」


「ひゃ! そこはダメー!」


「そろそろ中にいいかい?」


「いいわよ! ユンフェの沢山私のなかに出して!」


 二人は熱い夜を過ごした。十二月二十四日が性夜と呼ばれる所以(ゆえん)であった。


 ***


 その後、特に変わった事もなく二人でイチャイチャする日々だった。

 もっとも子供がいるので白昼堂々イチャイチャ出来るわけでもないので、夜な夜な静かにするのが最近の夫婦のブームだ。

 そして、唯一大きな違いがあった事は自分もセヌーリも長く進行していたヌルプム教が消えたことだ。理由は不謹慎だとかなんとか。正直イチモツ切られようとした時に信仰を捨てた方が良かったのかもしれない。とは言っても『ヌルプム教』と言う団体が消えただけにすぎず、進行する人が消えたわけではない。

 ただ、ユンフェとセヌーリはヌルプム教から脱退した。理由は特にない。あるとすれば育児と仕事に専念したいからくらいだ。


 そんな感じでユンフェとセヌーリは二人で幸せに暮らしたとさ。

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