なろうの作者は執筆速度が。やばいと思う。
というわけで。最近なろうのエッセイを読んでいて、「なろうと、一般書の違い」みたいなのをちょいと感じたので、書いてみようと思ったわけです。
小説の書き方、とか、なろうにはゲームっぽいモノがおおいとか。
その手のお話の一つの答えとして。
うんうんって思ってくれる人がいるといいなぁ。
1.小説を書く上での、速度と、取材の話。
多くの「商業作品」は、少なからず取材をするものだそうです。たとえば、川の音は、さぁーなのか、ざぁーなのか、ちょろちょろなのか、さらさらなのか。
実際川を見に行ったりして、どれがしっくりくるのか考えるわけです。
町の風景とかも、実際の町を取材したり、場合によっては地図を引いて、設定をすることも。
家の内装とか、インテリアとか、いろいろこだわりまくって、あーだこーだやるわけです。
それで。
それをやってて、連日更新ができるのか、というのが今回のお話デス。
本を書くためだけに人生の全部をつかえるなら、あるいはいけるのでしょうが、なろうにいるのは学生、社会人(一部、商業の人)で、日常生活があります。
少なくとも、私には「取材をして書く」のであれば、連日更新は無理です。
せいぜい、がんばりきってふた月で一冊ペース、といったところでしょうか。原稿用紙250枚=10万字です。
プロで手が早い作家さんならひと月で一冊書けそうですが、お仕事の時間も充てられるのでそれと比べられても……
やれるとしたら、書き上げてから分割連載をして、一ヶ月休んでみたいになると思います。
さて。なろうで連日連載で、一話四千字で三十日連載すると、十二万字になります。すごい量です。
私も一年近く連日更新をし、最近は不安定な隔日更新をしてきているので、「できなくない」のはわかってます。
もちろんストックはありましたけど、書下ろしでということも多くあり、一気に書ききるみたいな感じになっているのも事実です。誤字も結構あったりしましたし。
そして、連載作で時々「これは即興詩だ」ということを書くわけなのですが、ほんっと、取材とか細部へのこだわりとかができない。やってる余裕がない。
背景は晴れなのか雨なのか、くらいはかけても、水たまりがどうなってるのか、とかは「それがキーにならないかぎり」あまり意識しない。
主人公が興味深くそれを覗き込んで会話が発生するだとか、ずもっと足を突っ込んで水浸しで、クラスメイトの男子が、しかたねぇなってジャージ貸してくれるとかなら書きますが、「意味がない背景事情(雰囲気を出すための背景描写)」をあまり書かなくなりました。
あとは取材に関しても、出かけるときは「なにか面白いものはないかな」なんて思いつつ、街並みを見ていたりはするのですが「このシーンのために、ここに取材に!」っていう感じにはなりません。
あくまでも、ネタの元を町中で探してくる、くらいです。
ああ、ミニスカサンタかわえぇなぁ、いいや、主人公に着せちゃえ(ただし、男の娘だが)とか、そんな感じ。
先日は、ドール専門店に友達の付き添いで行ってきたので、いつかなんらかの形で使えたらいいなと思っています。ちょーかわいかったっす。
2.取材しないで書くとどうなるのか
自分の今までの知識、経験を中心に書くことになります。
いわゆる一般書の著者たちは、「自分に関係ない題材」を「調べまくって」本にすることができる人たちで、例えば歴史を調べたり、別の見方で描き出したりします。シーン作りも重厚に。セリフ回しも円滑に。
伏線もりもりはって、最後で、おぉってなるように仕向けます。
そういうのとは、真逆……とまではいわないけど、170度くらいは違う作品の作り方になるわけです。
なろうではどうか。
「思いついたことを形になるようにしている」という作者さんが多いのではないでしょうか?
もちろん、しっかり取材いってかいてるよ! って人もいるだろうけど、ランキングの上のほうの、しかも更新頻度が早い人たちを見ていると、どうにもそう思えてならない。
そして、自分の今までの知識をもとに書くとなると、一番書きやすいのが「ゲーム的異世界」なんですよ。
一番触れてるもの。それは学園生活、ではなく「ゲームの生活」だと思うんです、私。
そもそも、アウトドア全開の人で、文学もやりますなんていう人はそんなにいないだろうし、たいてい、ゲームとか本とかやったり読んだりしてるうちに、自分でも書いてみようって想像して書くんじゃないかな。
そうなれば、「ステータスオープン」があったり、「ステータス表示」があったりはごく自然だろうし、魔法も、ドラゴンもいるようになります。チーレムは願望っすかね? どうっすか?
奴隷に関しては出典はどこだろう……アダルトな本の背表紙タイトルとかから来てるのかな……どうでしょう? 日本の日常生活でその単語自体見る事ってほとんどないですし。
これがVRMMOなら「運営が設定している」のだから違和感がないのだけど、「異世界」なものだから「なんでそんなにゲーム的なの?」っていうので違和感を持ってる人たちも多いのだろうと思う。
異世界=ファンタジーっていったら、指輪物語的なものとか、ハリーポッター的なものだよ! と思ってる人からすれば、「ゲーム的異世界」は違和感ばりばりだと思います。
そんな世界は異世界ではない、と断じてしまうのもとてもよくわかる。
でも、ベースとなる知識が「ゲームからきてる」のであればああなるのだし、そして多くの若い子がそれを共感するんだと思う。その設定おもしれぇとか、どきどきがっ、とかそんな感じで、ポイントがガンガン入るわけで。ポイント入る作品は続きが気になるし、ためにならなくても楽しいのですよ。
それをいえば、悪役令嬢ものも、「ゲームの世界に転生した」って感じで、ステータスこそでないけれど、ゲームから来てるのですよね。背景が同じだからこそ、共感されやすく人気もでやすいというわけ。
さて。では「しっかり取材をして書いた重厚な作品」と「ゲーム的異世界」だとなろうで受けるのは……いうまでもなく後者です。
息抜きで書きました、みたいなほうがポイントつくのも、みんな息抜きで読んでる人のほうが多いからだと思う。
そして、重厚な作品とか、背景設定が細かくて良作と呼ばれるものは「更新頻度が遅く」なりがちで、しかも文章も固めで読みにくくなる。(良作の定義が個人で違うとは思いますが、ここでは書籍化してもおかしくない面白い話が、どうしてこのポイントなの? っていうようなものという扱いでいきます)
書き上げてから連日アップというならまだいいとは思うのですが、月一回連載の重厚ものとか、ニーズがどれくらいあるのかって感じになります。
私は重厚な作品も大好きなのですが、なろうで人気になるのは難しいのかな、と正直思ってしまっています。
そもそも「読書をするぞー」っていう感じじゃなくて、「読むぞー」って感じで終わる量が四千字なわけでしょ? 私はそれだとちょっと物足りない感じがするので、自作だと六千字を基準に作ってますけど。
読み解いて感動しました! 系のお話は、なろうだと読まれないんだと思うのです。
新しい知識を得るためにする読書と、感動するためにする読書と、癒されるための読書と。
時々、書籍化作で感動ものもあるけど、癒し系がほとんどなのではないでしょうか?
だから、ストレス展開なんかも嫌われるし、どろどろ鬱展開でポイントがある作品ってホント、すっごいのなぁとしみじみ思います。
3.じゃあ、どうすんのさ
それは、作者様。あなたの矜持の問題となります。
書きたいものを書くのか、注目を浴びたいのか。
実はポイント数を気にせず書きたいように書くのが一番楽です。
それでモチベーションが落ちるということなら、書きたくないものだったのかもしれません。
私は、理想の男の娘が文章という形で降臨するのを何よりも幸せに感じるHENTAIなので、たとえポイントが少なくても……いえ。まあ、そりゃ感想いただいたり、ブクマ増えたらうれしいし、減ってたら、がーんってなるけれども。それで筆を折るのかといわれたら、それはない。
エタってしまいそうなのも、時間さえできればしっかり書きたいし、続けたい。
一番いけないのは、あるちゅーだってことだけど、入院しないとやめらんないと思うのですよ。ほんと。
人は何かに酔っていないと生きていけない、が私の哲学ですが、リア充どもが恋愛なり仕事なり信仰なりに酔っているところで、私はお話書くか、酒に頼るしか、酔えないのですよ。
おっと、其れはともかく。
注目を浴びたいのほうに行くのであれば、あまたあるその手のエッセイを参考にしたりするとよいかと。いろんな人が方法論書いてますからね。
それと「いくら取材しないからって、せめてキーアイテムくらいはネットで検索したりはしよう」ってことも。
足を運んで取材しろとか、剣士が主役だったら道場に通えとか、そんな風なことはなかなかできませんが。
剣士だったら、どの程度の長さの剣を使っているのか、想像してみると楽しいんじゃないかなとか思うのです。
んで、それを選ぶためには、ネットでかつての聖剣みたいなのを調べたり、世界の武器みたいなのを調べるわけです。
いくらステータスと魔法の力でごり押しするにしても、多彩な武器を使いこなす、なんていう設定も追加できればバリエーションもふえるんじゃないかな。
通常は剣士なんだけど、汚れ仕事をやるときは暗器を使うとか、ちょっと個人的にしびれるのですが。
小器用な凡才が主人公の話とか、とても大好きです。
まあ、そんな感じで、キーアイテムや、キーシチュエーションで「それはねぇわ」って言われないくらいには、知識は持っておいた方がいいよ、というお話でした。
しかし、本当に、書きたい話は一杯あるというのに、時間はどうして有限なのか。
社会人になると本当にそれを痛感いたします。
え。執筆速度を限界まで上げればいいじゃないって? いやぁ。それは……