表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/24





 静かに怒れるサイラスさんを宥めつつ、メームに思考をごっそり持っていかれていた。ふわふわもこもこに違いないと息巻いている私は、知らず知らずにもこもこと呟き、更には表情も緩んでいたようだ。気付いたらコックさん達にもサイラスさんにも見られていた。そう、あの微笑ましいものを見る目だ!ルディさんだけでなくサイラスさんやらコックさん達にまで。うわっ穴があったら入りたい………。



 「メームが気になられたなら、見に行きますか?午後の訓練はメームの見学に差し替えても問題ないでしょう、まあルディも来るとうるさいやもしれませんが」


 「へ、ああいえっ大丈夫です!その、次の機会にで!今は、少しでも慣れるように訓練もしたいですし、お城の中もまだまだ見たいですから」


 「なら城の案内が終わりましたら、メームを見に行きましょうか。常にこの大陸を移動する生き物ですから少し面倒にはなりますが、その頃にはスイ様も大分慣れているでしょうし大丈夫ですよ」


 「はい、楽しみにしておきます」



 ふわもこ(?)メームに会うために頑張ろうと引っ込めたにやけ顔がまた出たらしく、はっと周りを見たらまたあの目をされていたのだ。

 えへへあははと情けなく誤魔化し愛想笑いでその場を凌いでいたら、真後ろの扉が勢い良くバアアンっと開けられた。


 いきなり開いた扉にびっくりしてサイラスさんの上着の裾を掴んでしまったけれど、バレてない事を祈っておこう。なんかちょっと恥ずかしいもの、いやまあさっきからずっと恥ずかしい事しかないけどさ……。



 「すまん、遅れた」


 「フツキ静かに入って来れませんか?スイ様が驚いているでしょう」



 しっかりバレているみたい。


 そして開け放たれた扉に仁王立ちするプロレスラーの方ですか?と聞きたくなる位がっしりムキムキなこの方がフツキさんみたいだ。歴戦の猛者です感が凄いなぁ。ズゥゥゥン!と効果音が聞こえてきそうな錯覚を感じつつフツキさんを見ていたけれど、そうだ挨拶しなきゃ!と頭を下げた。



 「あ、あの!スイと言いますっ生まれたばかりでご迷惑かけると思いますがよろしくお願いします」


 「フツキだ、よろしくな」


 「はい。いつも可愛いご飯とお菓子ありがとうございます、すっごく癒されてます!!」



 ちょっと気圧された感はあるけれど、フツキさんの好感度が高い私にはむしろギャップがまた可愛い!である。ニコニコと日々の可愛いご飯やおやつについて語る私をコックの皆さんは驚きの表情とサイラスさんはおや?みたいな顔でこっちを見ています。………皆さん、失礼じゃありません?と言うか普段どんなリアクションを取られているのだろう。

 そんな風に周りを見つつ首を傾げた。



 「スイ様はフツキを見ても怖がらないのですねぇ、そんな人は初めて見ました」


 

 それを本人の前で平然と言うのかサイラスさん?!

 フツキさんが気を悪くしたんじゃないかとドキドキしたが、頬を掻きながら怖がられるのはこの風貌だ仕方ねぇだろと眉を下げて口を尖らせていた。

 ちょっと、きゅんときてしまったじゃないですか………。



 「えっと、フルーさんと食べたお菓子も出される食事も全部とても美味しかったし、盛り付けだって毎回動物や植物の形で可愛かったです。量も毎回変えて私に食べやすくしてて、そんな風にしてもらえているので、なんというか優しい方なんだろうなと思ってましてです、ね」


 「……………」


 「え、あの、フツキさん?」


 「この大陸は良い統治者をきちんと選ぶな、夕食は期待しててくれ」




 何故か私の頭をポンポンと撫でながらニカッと効果音がつく感じで笑っているんだろうけれど、般若のお面に近いお顔にこれで子供に泣くなというのは酷なことだろうなと思うが、私としてはこの後の夕食が楽しみになっているし、あれだ不良が雨の日捨て猫拾ってるの見てなんだか和んじゃうみたいな感じの気持ちなのでとっても楽しみにしてます!と渾身の笑顔で返事を返していた。


 周りの皆さんはサイラスさん含め、私とフツキさんのやりとりを見て唖然としていましたけどね。皆さん酷くありません?




 ***




 暫くの間、唖然としたまま固まっていた人達にフツキさんがいい加減動けアホ共と声を掛けてやっと動き出した。けどサイラスさんまでも固まるなんてちょっと意外だ。いつでも冷静なイメージだし。


 フツキさんも戻ってきたし私の挨拶も終わったので献立会議を再開するコックの皆さん方と別れてから次はどうするのかなと思っていたら、二階の大会議室へ行くみたい。それが終わったら、ルディさんといつもの体力作りコースだ。

 階段を上がり二階へやって来たけれどそこは真っ暗で、サイラスさんが壁に触れたら明るくなったので驚いた。

 改めて見てみた二階にあるのは両開きの扉が一つだけで窓さえ無かった。どうりで真っ暗な訳だ。


 「この大会議室の扉は統治者の魔力でのみ開く扉にございます。スイ様が生まれるまでの千年は開かずの間ですね、なので代わりに小中会議室を使う事にはしておりましたが、まあリバルデールは平和な大陸ですから大会議室での会議が行われたのは何代も前の統治者の時ですね。新たに統治者が生まれた場合は頃を見て顔見せと挨拶を兼ねて大会議室を使いますが」



 千年開かずの間って凄いなぁ。

 うん、でも大会議室って事はこの大陸の一大事とかよっぽど大事な案件で使うんだろう、それがないんならやっぱりリバルデールは平和なのだ。荒事にはさっぱり縁の無かった私には有り難いの一言だ。



 「じゃあ私も近々顔見せを?」


 「はい、魔力が見えるようになる頃にと考えていますのでそんなに構えなくとも大丈夫ですよ。演説なんかをする訳ではありません、軽く挨拶をする位ですから」


 「その軽い挨拶でも大分ドキドキなんですよサイラスさん……」



 軽く挨拶って言っても大人数の前でなんだよねと聞きたくなるが、私の台詞にそうですか?と心底不思議そうに返されているので聞くのは止めよう。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ