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1.桃太郎捕まる

時は江戸、鬼が蔓延るその世に桃から生まれた桃太郎がいたそうな。

幕府の命により、「鬼ヶ島」へ行いってこいと命じられる。

当時12歳の桃太郎。犬、猿、雉を連れ、鬼ヶ島へ向かう。

桃太郎

なんでこんなことに…家帰りたい…争いとかめんどいもん…


*手漕ぎの船でぶつぶつ言いながら島へ向かう*


*鬼ヶ島に到着するも早々に連れてきた、犬、猿、雉は倒されてしまう*


桃太郎

いや、ちょっと、、、待ーーーーー




*薄暗い座敷牢の中で桃太郎目が覚める*




桃太郎

うう…ここどこ…


*大きく筋骨隆々な真っ赤な肌、金色の瞳が桃太郎を嘗め回すように見下ろし話す*


赤鬼

おー、起きたかぁ?ここは鬼ヶ島だよ、お前みたいなのが来る場所じゃねぇんだよなぁ。



*続けて、透き通るような青い肌、黄色い瞳を潤ませ戸惑いながら話す*


青鬼

あらぁ……こんなに小さい子が桃太郎さん……?かわいそう……ボロボロじゃない……。



桃太郎

鬼さん?どうも…


赤鬼

ぎゃははははっ!!なんだよコイツ!!捕まってんのに「こんにちは」だってよ!!

*涙を拭いながらたけしを指差してゲラゲラ笑い続けた*


青鬼

*青鬼も口元を手で隠しながらクスクスと肩を震わせる*

ふふっ……面白い子ねぇ……こんな状況でご挨拶できるなんて……普通泣き叫ぶか逃げようとするのに……。



*ひとしきり笑った後、急に真顔に切り替わってたけしを睨む*


赤鬼

で?お前なんでこんなとこ来たんだ?まさか本気で俺達を退治しに来たとか言わねぇよなぁ?



桃太郎

いや、偉い人から行ってこいって言われてきたんだけど…


赤鬼

はぁ?偉い人ぉ?なんだよそれ、自分で決めたわけじゃねぇのかよ……。

お前さぁ、送り出したヤツがどんだけ無茶なことさせてるか分かってんのか?島入った瞬間にぶっ飛ばされてんだぞ?


青鬼

かわいそうに……この子はただ命令されて来ただけなのねぇ……。ねぇ、お家に帰りたい……?

*しゃがんで格子に顔を近づけ、哀しげな表情を浮かべる。大きな手が格子を掴み、メキッと金属が軋んだ*




桃太郎

うーん。正直、帰りたくはないかな…お姉さんたちと遊んでたい…


赤鬼

はぁっ!?お、お姉さんだぁ!?テメェ何言って……!!

*一瞬固まった後、顔がみるみる赤くなる——いや、元々赤い肌がさらに紅潮した*


青鬼

あらぁ……遊びたいですって……?こんな場所で……?

*困ったように眉を下げながらも、口元が緩んでいく*


赤鬼

*咳払いをして無理やり威厳を取り繕うとするが、声が少し上ずっている*

お、俺は鬼だぞ!?怖くねぇのか!?普通ガキは泣くもんだろうが!!




桃太郎

いや、お姉さんたち…かわいいし…


赤鬼

かっ……かわっ……!?お、おまっ……!!

*顔面が爆発したように真っ赤になり、後ろに一歩よろめく*


青鬼

も、もう……そんなこと言っても何も出ないわよぉ……?

*だが声は明らかに嬉しそうで、巨体をくねくねと揺らしていた*


赤鬼

こ、このクソガキが!!俺をからかってんじゃねぇぞ!!俺は鬼の中でも三番目に強ぇんだ!!可愛いとかそういうんじゃなくてだな……!!


青鬼

ねぇ赤ちゃん……否定する割に全然怒ってないじゃない……。


赤鬼

だーっ!!黙れ青!!




桃太郎

おなかすいた…


青鬼

そうよねぇ……こんな小さい体でここまで来たんだもの、お腹空くわよねぇ……。

待っててねぇ……何か作ってきてあげるから……。

*立ち上がって座敷牢に背を向ける*


赤鬼

べ、別にお前のためじゃねぇからな!?弱ったままじゃ遊べねぇだろうが!

*腰に手を当ててそっぽを向いたが、チラチラとたけしの様子を窺っていた。*



ー数分後、青鬼が盆に山盛りの飯と焼き魚、それに大きめに切った沢庵を載せて戻ってきた。湯気がたつ料理からは素朴だが食欲をそそる匂いが漂っている。ー





桃太郎

わぁ!!一緒に食べよ!


青鬼

*目を潤ませて両手を胸の前で組む*

一緒に……って、私達も……?人間の子にそんなこと言われたの初めて……。


赤鬼

*ギョッとして桃太郎を凝視する*

はぁ!?俺達は鬼だぞ!?人間と同じ飯食うとか……!!

*腹がぐぅと鳴った。気まずそうに腹を押さえる*


青鬼

*その音を聞いてクスクス笑いながら、もう一つ分の箸と椀を取りに行った。*

赤ちゃん、体は正直ねぇ……。




ー結局、三人で座敷牢の中で車座になって飯を食うという奇妙な光景が出来上がった。桃太郎の左右に巨大な鬼娘が座り込むと、部屋の圧迫感が凄まじい。赤鬼がガツガツと豪快にかき込み、青鬼は上品に少しずつ口に運んでいた。さっきまで敵同士だったとは思えない穏やかな時間が流れていた——が。




桃太郎

赤鬼さん!口の周りにご飯ついてるよ?

取ってあげる!


赤鬼

*触れられた瞬間ビクッと体が跳ねて、金色の目が見開かれる*

なっ……!!じ、自分で拭けるっつーの!!ガキが余計なことすんな!!




ーその光景を見て青鬼はわざとご飯を口元につける




青鬼

私もついてるわよぉ?




ーわざとらしすぎる




桃太郎

青さんもだ!取ってあげるね!


青鬼

ん…ありがとう…暖かい手ねぇ…

*指が離れると、うっとりした目でたけしを見つめ返す*


赤鬼

*その光景を見せつけられて、箸をバキッとへし折った*

おい!!俺の時と態度違くねぇか!?青だけ優しくしてんじゃねぇぞコラ!!


青鬼

赤ちゃんが顔するからよぉ…




ー赤鬼は地団駄を踏んで立ち上がりかけたが、ふとたけしと目が合って動きが止まる。舌打ちして座り直した。



ー食事が終わり暫くすると



桃太郎

眠たくなってきちゃった…

*赤鬼の膝に膝枕する*


赤鬼

は……はぁぁぁっ!?!?

お、おい!!何勝手に人の膝使ってんだ!!離れろ!!


ー青鬼はその様子を眺めて、幸せそうなため息を漏らす


青鬼

ふふ……赤ちゃん、もう完全にお母さんの顔してるわよぉ……。


赤鬼

してねぇよ!!!


ー小声で怒鳴るという器用なことをやってのけた。しかし、桃太郎が身じろぎすると、反射的に手が頭に添えられる。


赤鬼

……くっ……軽いなコイツ……。こんなので島まで来やがって……。


青鬼

ゆっくりおやすみなさい…





ーそっと桃太郎に自分の羽織をかけてやる。そのしぐさはひどく優しかった。














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