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第6話:ネットは『黒の勇者』で持ちきりですが、俺は隣に引っ越してきた天才令嬢に頭を抱えています

【勇者警察】謎の漆黒ロボについて語るスレ Part.12【第3勢力?】


1:名無しのポリス好き

昨日、湾岸地区に出たマンティスを一瞬でバラバラにした黒い機体見た奴いる?


2:名無しのポリス好き

見た見た! 動画上がってるけど、マジで速すぎてフレームアウトしてたわ。


3:名無しのポリス好き

勇者警察のジェイ・ガストが手も足も出なかったのに、一撃だぜ?

公式の最新型より強いとか、どこの軍事企業だよ。


4:名無しのポリス好き

> > 3

いや、公式発表では「所属不明」らしい。

でも、現場にいた記者の話だと、操縦者は「ただの整備士」って名乗ったとかw


5:名無しのポリス好き

ただの整備士があんな化け物造れるわけねーだろwww

……


15:名無しのポリス好き

あの機体、名前は『アヴァロン』って言うらしいぞ。

拡声器越しに聞こえたって目撃証言がある。


16:名無しのポリス好き

アヴァロンか……。

カッケーけど、正義の味方なのか? それとも……。


 ***


「……はぁ。やっぱり、ああなるよな」


俺は工場の隅で、スマホの掲示板を眺めて溜息をついた。


アヴァロンの初陣から一晩。

ネット上では、あの漆黒の機体の正体探しで祭り状態になっていた。


幸い、俺の顔までは特定されていないが、リナが勝手に「独占密着!」なんて記事を書き始めたら、モブ生活は終了だ。


「カイトくーん! おっはよう!」


ガレージのシャッターを勢いよく開けて入ってきたのは、そのリナだった。


「朝から元気ですね、リナさん。……その、手に持ってる大量の機材は何です?」


「何って、今日からここが私の『特設編集部』よ! 親方にも許可もらったし!」


「……親方、安請け合いしすぎだろ」


さらに、工場の外からけたたましい大型クレーンの音が響く。

見れば、隣の空き地に巨大なプレハブ——というには豪華すぎる、防音・防振完備の「移動式ラボ」が設置されていた。


そこから降りてきたのは、純白のコートを羽織った金髪の美少女。


「おはよう、カイト。……今日からよろしくね」


「……セレナさん? なんでここに?」


「言ったでしょう。あなたの技術を学ぶって。

 本部のドックはノイズが多くて研究に向かないわ」


セレナは涼しい顔で、俺の作業机の隣に自分の最新端末を広げた。


「ここなら、あなたの『異常な』設計思想を間近で観察できるもの」


「……俺の平穏が、音を立てて崩れていく」


俺は頭を押さえた。


だが、エンジニアとして、彼女が持ってきた「最新の測定器」には興味がある。

前世で使っていたデバッグツールより、はるかに高性能だ。


「……セレナさん。そのホワイト・ヴィクトリーの出力不安定、まだ直ってないんでしょ?」


「……っ。ええ、再起動はしたけれど、高負荷をかけると超AIがパニックを起こすわ」


「それは超AIの『メモリリーク』ですよ。

 感情データがスタックして、処理が追いついてないんです」


俺はセレナの端末を奪い、凄まじい速度でコードを打ち込み始めた。


「え……? メモリ……リーク? なにそれ」


「前世の……いや、俺の独自の理論です。

 この世界の超AIは、心を詰め込みすぎて『ゴミ(不要なデータ)』を掃除する仕組みが甘い」


俺は、JavaやPythonといった前世の言語思想を応用し、超AI用の『ガベージコレクション(自動ゴミ拾い機能)』を即興で組み上げた。


「はい、これで完了。これで、戦闘中に感情が高ぶってもシステムが落ちることはないはずだ」


セレナが、信じられないものを見る目で画面を見つめる。


「嘘……。超AIの深層領域を、こんな短時間で……。

 あなた、本当に何者なの? 既存の工学体系を完全に飛び越えているわ」


「ただの効率化ですよ。……さて、俺はアヴァロンの『バージョンアップ』に取り掛かります」


俺は工場の地下に降りた。


アヴァロンの強みは「最適化」だが、今のままでは圧倒的な物量には勝てない。


「……アヴァロン。そろそろ、例の『外部拡張プラグイン』のテストを始めるぞ」


『了解しました、マスター。……「合体シークエンス」のシミュレーションを開始しますか?』


「ああ。前世のサーバー分散処理の考え方を応用すれば、複数の機体を一人の『心(AI)』で制御できるはずだ」


俺の狙いは、アヴァロンを核とした、マルチユニットによる「分散型合体システム」。


一人のエンジニアが、一個師団に匹敵する戦力をコントロールする。

それこそが、前世で「一人で全システムの保守」を押し付けられていた俺が辿り着いた、究極の答えだった。


——その時。


工場の警報アラートが、真っ赤に点滅した。


「カイト! 湾岸のエネルギー貯蔵施設が、ネオ・ギアスの新型に襲撃されてるわ!」


リナがタブレットを持って駆け込んでくる。


「……新型?」


「ええ、今までの重機ロボとは違う……まるで、アヴァロンを模したような、真っ赤な高機動型よ!」


俺はニヤリと笑った。


「コピー品か、あるいはライバルか。

 ……ちょうどいい。新型プラグインのデバッグ、実戦でやらせてもらうか」

【作者コメント】

第2章、開幕です!

ネット掲示板の反応、そしてヒロイン二人による「カイト争奪戦(技術的な意味で)」が始まりました。

さらに、カイトの「エンジニア知識ガベージコレクション」による無双も加速していきます。

次回、第7話「紅のライバルと、分散型合体ロードバランシング」。

ついにアヴァロンの「合体ギミック」が初披露!?

「脳汁出た!」「続きが気になる!」

と思っていただけましたら、ぜひ感想、ブックマークや評価(☆☆☆☆☆)で応援よろしくお願いします!

皆様の応援が、アヴァロンの新装備をさらに豪華にします!

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