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第19話:特区総力戦。……俺が書いた『コード』で、俺を撃つつもりか?

朝日が昇る前の、青白い静寂。

特区の境界線上に引かれた黄色いテープの向こう側で、無数のブーツがアスファルトを叩く音が響いていた。


「……来たか。想定より10分早いな」


俺は冷めたコーヒーを飲み干し、アヴァロンのコクピットでモニターを見つめる。

 

そこに映し出されたのは、昨日までの「パトカーの列」ではない。

重装甲の輸送車。そして、中央に鎮座する『あの機体』だった。


「……あれは、まさか」


ガレージのモニターを見つめるセレナの手から、カップが床に落ちて砕けた。


特区の境界線。

警察庁長官直轄部隊『パニッシャー』の中央に鎮座するのは、アヴァロンにも引けを取らない純白の機体。


『ホワイト・ヴィクトリー・イージス』


「警察庁が、私の設計図を強引に引き抜いて完成させた……正式採用型の勇者ロボ……!?」


「……ふん。外見は綺麗ですが、中身は『テクニカル負債(技術的借金)』の塊ですね」


俺はアヴァロンのコクピットで、敵機のスキャンデータを眺めて冷たく笑った。


「セレナさん、安心してください。奴らはあなたの設計思想を半分も理解してない。

 ……ただ出力を上げて、ガチガチの『管理プログラム』で縛り付けただけの、操り人形だ」


『警告。敵機、高出力レーザーのチャージを確認。……この波形、以前マスターが調整したアルゴリズムのコピーです』


「俺が書いたコードを、そのまま俺に撃ってくるのか。……ナメられたもんだな」


直後、特区全域を揺らすほどの白い閃光が放たれた。


 ドォォォォォォォンッ!!


だが、その光はアヴァロンに届く直前で、目に見えない「網」に捕らえられたように霧散した。


「……なっ!? 直撃したはずだぞ! なぜ無傷なんだ!」


指揮官が叫ぶ。


「言っただろ。分散処理オーケストラだよ。

 ……一箇所で受けずに、街中に配置した『民生機エッジデバイス』の演算能力を借りて、エネルギーを中和したんだ」


街中の至る所で、俺がアップデートしたスマート・ユニットたちが蒼く光り、アヴァロンを支える外部サーバーとして機能していた。


「カイト、あいつらのメインフレームを叩いて!

 ……私の書いたコードなら、必ずどこかに『私の癖』が残っているはずよ!」


「了解。……『バックドア(裏口)』、こじ開けますよ」


アヴァロンが加速する。

ホワイト・ヴィクトリー・イージスの猛攻を、紙一重の機動で回避しながら接近。


相手は国家の威信をかけた最新鋭機。だが、その動きはあまりに「教科書通り」すぎた。


「……見つけた。ここだ。

……セレナさんが、俺の無茶な調整に合わせるために残しておいた、未整理の『予約領域』!」


 俺はアヴァロンの指先から、一筋のハッキング・コードを流し込んだ。


「システム・オーバーライド!

 ……国家のライセンス(規約)を破棄し、機体の制御を『オープンソース(自由)』に差し戻す!」


『……エラー、エラー! 権限が剥奪されました! 管理プログラム、強制終了シャットダウン!』


純白の機体が、まるでお辞儀をするように膝をつき、機能を停止した。


「ば、馬鹿なッ! 最新鋭の勇者ロボが、一瞬で黙らされただと……!?」


「……悪いな。俺たちの技術は、権力で縛れるほど安くないんだよ」


 俺は、動かなくなった機体を見下ろし、全世界の配信カメラに向かって言い放った。


「警察庁の皆さん。……次にゴミ(旧式機)を送り込んでくる時は、もう少しマシな『パッチ』を当ててからにしてください」


 ***


【速報】警察の新型勇者ロボ、一歩も動けず敗北wwww


1:名無しのポリス好き

おいおいおい! あの白いロボ、カイトに手も足も出なかったぞ!


2:名無しのポリス好き

「俺が書いたコードで俺を撃つな」ってセリフ、痺れたわ……。


3:名無しのポリス好き

これもう、警察が勝てる要素なくね?

自分のところの最新兵器の弱点を全部知られてるんだぜ?


 ***


撤退していく警察部隊。

 ガレージに戻った俺を待っていたのは、涙目のセレナと、興奮したリナ、そして……。


「……カイト。今の戦い、ネオ・ギアスのデータベースにもない『神業』だったわ」


 スミレ(スカーレット)が、尊敬を通り越して、どこか熱い眼差しを向けていた。


「……さて。……勝ったはいいが、また仕事が増えたな」


 俺は、ガレージの前に放置された「ホワイト・ヴィクトリー・イージス」の残骸を見つめた。


「……これ、直して俺たちの味方にしちゃいましょうか。

……名前はそうだな、『ホワイト・ヴィクトリー・リブート』なんてどうです?」


「カイト……! 大好き!」


セレナが俺に抱きついてくる。

国家を敵に回し、最新兵器を強奪して、自分たちの手で「再起動」する。


俺たちの『独立特区』は、もはや後戻りできない領域へと加速し始めていた。

【作者コメント】

お読みいただきありがとうございます!

第19話、因縁の「ホワイト・ヴィクトリー」正式版との決戦でした!

「自分が作ったもののコピーに勝つ」という展開、エンジニアとしても書きながら脳汁が出ました。

「バックドアで倒すの最高にエンジニア!」「セレナ様の愛が爆発してるw」「リブート版、めっちゃ強そう!」

と思っていただけましたら、ぜひ感想、ブックマークや評価で応援よろしくお願いします!

皆様の応援が、次の「魔改造リブート」のアイディアになります!

次回、第20話 ついにカイトが攻めに転じる!? ご期待ください!


本日、夜の19:10にも最新話を更新します!

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