襲われた少女を助けたら……
シーラの足が地面を蹴るたび、枯れ葉が舞い上がる。恐怖が彼女の肺を締め付け、息をするのもままならない。背後から聞こえる獣のような咆哮が、彼女の心臓を凍らせた。
(どうしてこんなことに……)
自分はただ、街を見たかっただけ。この隊商であれば、勇敢な護衛たちも大勢つくし、安全は保障されていた……はずなのに……。
一瞬の気の緩みが命取りになるとは思いもしなかった。夕暮れ時、美しい花を見つけ、少し立ち止まっただけだったのに。気がつけば野盗の一団に囲まれていた。
「待てよお嬢ちゃん!逃げても無駄だぞ!」
彼らの声が近づいてくる。シーラは必死に走った。枝が彼女の顔を打ち、小さな傷ができる。足にはすでに切り傷が無数にできている。それでも立ち止まるわけにはいかなかった。
(女神様、助けて……誰か……)
祈りは虚しく木々の間に消えていく。それでも、逃げなければ……。焦る気持ちに身体が追い付かず、木の根に足を引っかけ転んでしまう。
「つかまえたぜぇ!」
立ち上がろうとしたところで、突然、太い腕が彼女の腰に巻きついた。悲鳴を上げる間もなく、抱え上げられ、少し柔らかな地面に押し倒される。冷たい土の感触が全身を包む。数人の男たちが彼女を取り囲んでいた。
二人の男に抱え上げられ、足をつかまれる。
そのまま足首をつかまれ、左右に押し広げられ、スカートがまくられると、白い下着があらわになる。
「いい眺めじゃねぇか。上物だ」
リーダー格の男が舌なめずりをしながら言った。シーラは涙を流しながら首を振る。
「お願い、許して……お金ならあげます……」
男たちは笑った。嘲るような笑い声が森の中に響き渡る。
「金なんてお前さんがいればいくらでも手に入るんだよ。それまでは、お前ので楽しませてもらうぜぇ。」
手下の男たちによって、シーラは縄で拘束されていく。縄が彼女の手首に食い込み、自由を奪っていく。抵抗しようとすればするほど、縛りは強く締め付けられた。喉の奥から漏れる嗚咽が止まらない。
縄で縛られた両手首が頭上へと持ち上げられ、縄の先が木の枝に結ばれたことで、私は宙づり状態になる。自分の体重がすべて手首に掛かり、痛さで声が出ない。
そんなシーラに男たちが群がる。男たちの手が彼女の服に伸び、ボタンが一つ、また一つと乱暴に外されていく。冷たい風が肌を撫でる感覚に身震いした。
「やめて……やめて……」
彼女の懇願は空しい響きだけを残して、森の静寂さに書き消え去る
(いやぁ……私の初めてが、こんなところでこんな男たちに…………)
これから行われることを想像し、絶望が彼女の心を覆い尽くす。
抗いたくても、自由は奪われ、自分ではどうしようもなかった。
男たちの手が、シーラの身体を弄る。まだだれにも触れさせたことのない胸を、執拗にいじられる。
(こんなのいや……やめて……誰か助けてよ……)
体中を這いずるようなおぞましさに、体を硬直させるが、男たちの手の動きはエスカレートしていく……。
(もう、ダメなの......私はここで、この男たちに犯されるの……?
もうどうしようもない、と諦め、目を閉じたその瞬間—
鋭い風切り音と共に、金属が交わる音が森に響いた。
「野郎!何者……ぐっ!」
野盗の一人の叫び声が途切れる。
男たちの怒声と断末魔の悲鳴……
シーラが恐る恐る目を開けると、黒装束の男性が彼らの前に立ちはだかっていた。
「彼女を離せ」
低く落ち着いた声。だがその中に秘めた怒りが、シーラにも伝わってきた。
「てめぇ、不意打ちとは汚ねぇマネしやがってっ!殺しちまえ!」
野盗の頭らしき男が、手下に号令をかける。それを受けて男たちが襲いかかる……はずだった。しかし、頭の思う通りにはならず、誰も無粋な侵入者に襲い掛かりはしない。
「てめぇら、何やって……ぐ……か、体が……動か……ねぇ……」
野盗の頭は、自らの変調に気づき、周りに倒れている手下たちの姿を見て、ようやくさとる。
「ぐっ、……ど……く……か……。」
頭の意識があったのもそこまでだった。
頭が倒れるのを目にしたシーラは、自分が助かったのだということを理解する。
「大丈夫ですか?」
囚われた恐怖と、助かったという安堵で、涙で視界が滲む中、小さく頷いた。
「ありがとう……ございます……」
辛うじてそれだけが言えた……が、シーラはそのまま意識を手放してしまった。
◇
「えっと、どうしよう?」
俺は、気を失った半裸の少女を見下ろして途方に暮れる。
この少女を助けたのは偶然だった。
エルとメイを連れて、近くの村へ移動しようとしていた時、偶然にも、メイが追いかけられているこの少女のことを見つけたのだ。
すぐ助けに行こうとする俺をメイが止める。寄り道する余裕はないと。
確かに、ここで彼女を助けに行けば、村を襲うと決めた予定時刻より半日は遅れる事になる。マイやメイたちは、最初に決めた予定通りに事が進まないことを極端に嫌がる。このことを、エルは「お人形さんだから」の一言で済ませ、物事は、合理的に進まないことが多いのだということを教えるのが、マスターである俺の務めだという。
結局、助けに入ることを俺が主張したため、メイは野盗たちを一瞬で無力化し、マイのもとに報告に行ってしまった。
そして、エルは、一応周りの様子を探ってくる、といってどこかに行ってしまい、俺はここに一人取り残されたのだ。
「あー、半裸の縛られた女の子……そそるけど……、」
引き裂かれた衣服から覗く、実りかけの青い果実。さりげなく手を伸ばすと……柔らかい。
俺の手が触れるたび、意識はないのにビクッと震える少女の身体。
「おっと、こんなところで、こんなことしている場合じゃないな。」
少女の身体に興味はあるが、入り口近いとはいえ、ここはまだ魔の森の影響下にある。いつ魔物たちが襲ってくるかわからないのだ。
俺は木の枝に結ばれている縄をほどき、彼女を下ろす。
そして意識のない彼女を四苦八苦しながら背に負う。
背中に当たる柔らかな果実の感触を楽しみながら、俺はどっちに向かって歩き出すか考える。
どっちというのは、行くか戻るか?ということ。つまり、このまま当初の目的だった村に向かうのか、来た道を引き返して、拠点のダンジョンに戻るのか?ということ。
「……まぁ、安全を考えるなら戻る方がいいか。」
俺は少し考えると、来た道を引き返そうと踵を返す。……が、数歩も歩かないうちにその足を止める。
「とまれっ!」
いつの間にか囲まれていた。
「そのお方をどこへ連れていくつもりだ!」
リーダーらしい男が、剣を構えながら声をかけてくる。
ハーフプレートではあるが、揃の防具に身を包んだ男たち。
そのよどみない統率の取れた動きは、野盗などではなく、明らかに訓練された兵士そのものだ。
「俺は、助けたこの娘を、安全な場所に連れて行ってやろうと……」
「黙れ、ゲスがっ!」
男たちが取り囲み、俺の背から少女を引き離す。
少女が離れたのを見ると、先程のリーダーっぽい男が、俺を殴りつける。
「くっ、いきなりだな。話ぐらい聞けよ。」
「話ならこの後、たっぷりと聞いてやるよ。アジトの場所を吐き出させてやる……連れていけっ!」
俺に数人の男が群がり、拘束して場所移動を余儀なくされる。
メイやエルがいれば、こんな奴ら簡単に蹴散らせるのだが……タイミングが悪かったな。
それでも、俺は少女を助けただけだし、話せばわかってくれるだろう……この時の俺は、本気でそう思っていた。
テンプレです。
美少女が襲われるのはお約束。それを助ける主人公もお約束。
R18版であれば、ここで主人公がシーラちゃんを襲うのですが(><
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