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魔王様のハーレムダンジョン ~俺は、ハーレム王になるっ~  作者: Red/春日玲音


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バブみのあるサキュバスさん

 北に向かうと決定したところで、エルに俺の強さを見てもらった。

 何でも、エルは「鑑定眼」というスキルを持っていて、モノや人の状況が分かるという。

 この森は、凶悪な魔物が住み着いているらしく、俺がどれくらい戦えるのかを知らないと、とても危険だと言うのだ。

 俺としても、自分がどれだけチートなのか興味はあった。異世界転移なのだから、素晴らしいチート能力があるはずなのだが、そのことについては、あの女神は何も触れてこなかったからな。


「はぁ・・・・・・凄いわねぇ。」

 エルが感嘆のため息を吐く。

「そうだろう、俺は凄いだろう……って、そんなに凄いのか?」

 エルの表情を見て、つい素で聴き返してしまう。

「えぇ、凄い……普通。」

「えっ??」

「特徴のない、どこにでもいる普通の人族ね。」

「え、えぇぇ……。」

「私もびっくりよ。女神に呼ばれたっていうくらいだから、少なくともCランクぐらいの強さはあると思っていたのにね。」

「……ちなみに俺の強さはいかほど?」

「Fにぎりぎり届かないGランクね。」

 エルが御愁傷様、というように目を伏せる。

 因みに、この強さのランクは、人族の冒険者ギルドが定めたもので、何の訓練もしていない所謂「一般人」は、大体G~Hランクとされ、身体を鍛えて戦い方を覚えた者で、ようやくFランクになると言われている。

 つまり、俺のGランクというのは、この世界の人族の一般人並みということで……俺は異世界でもモブということだった。

 尚、冒険者ギルドへ登録するには、最低限Fランクの強さがないとダメらしいので、ここから冒険者に登録して一気に名をあげるというのも、今すぐには無理だとか。

 また、魔族や魔物の強さを表すのに、脅威度と呼ばれるランク付けがされている。

 このランクは冒険者のパーティランクが基準になっていて、例えば、エルの種族のサキュバスなどは平均してCランク。パーティランクがCの冒険者パーティが何とか倒せるレベルというのが基準になっているとの事。

 因みに、エルは普通のサキュバスとは違うらしく、A寄りのBランクとの事。

 どこがどう違うのかは教えてもらえなかったが……。

「つまり、俺は冒険者にもなれない、ゴミカスってことか?」

「ぶっちゃけて言えば、そうね。」

「ぶっちゃけるなよぉぉぉ……。……はっ、そう言えば、スキルは?チートなスキルがある筈だっ!」

 俺は一縷の望みをかけて、エルに詰め寄る。

 詳しくは知らないのだが、この世界にはスキルというものがあるらしい。今エルが俺の強さを見ているのも、そのスキルのお陰なのだ。

 そして、ステータスが弱くても、強いスキルを持っているならワンチャンある筈っ!

「落ち着きなさいよ。確かにスキルは色々持ってるみたいね。人族にしては珍しいわよ。」

 エルが慰めるようにそう言う。

 この世界では、各種族ごとに使えるスキルというものがあるらしい。

 これは、その種族なら誰もが持っているモノであり、種族スキル、固有スキルなどと呼ばれている。

 例えばサキュバスの場合、「魅了の魔眼チャーム・アイズ」「小悪魔の誘惑テンプテーション吸精ドレイン」という3つの種族スキルがあり、エルも当然持っている。

 だが、あらゆる種族の中で、人族だけが種族スキルが存在しないのだ。

 だから、人族ならスキルを一つも持っていない、ということもざらなのだという。

 だからと言って悲観してはいけない。種族スキルとは別に、ジョブに由来したクラススキルというものが存在する。

 例えば、騎士というジョブになれば、剣を扱うための「剣術」とか、盾を扱うための「大楯の心得」などと言ったスキルを覚えることができるし、属性魔導師というジョブを得れば「火魔法」「水魔法」といった魔法を扱うためのスキルを覚えることができるという。ちなみに、エルが使っている『鑑定眼』は、錬金術師というジョブで覚えることができるスキルなんだとか。

 ただ、一つ問題なのが、”覚えることが出来る”のであって、無条件に手に入れられるわけではない。色々前提条件があり、また本人の”適正”などにもかかわってくるため、そう簡単にスキルを覚えることが出来ないらしい。

 そして、それらのスキルとは別に、個人それぞれで取得できるユニークスキルというものもある。

 これは、ジョブや種族とは一切関係なく、その個人に由来したスキルであるため、一つも持っていないのは当たり前、複数持っていてもおかしくない、と完全に個人差がある。

 それ故に、種族スキルがない人族で、何の職にも就いていない人間の場合、スキルが一つもないというのも珍しくない。だから、スキル数が多い俺は珍しい、とエルは言うのだ。

「因みに、俺はどんなスキルを持っているんだ?」

 自分の力なのに何も分からないというのはどうなんだ?と言いたいが、もともと日本ではスキルなんてものはラノベやゲームの中にだけしか存在しないのだから仕方が無いだろう。

「ん~、持ってるのは全部ユニークスキルでね……」

 そう言って、エルは一つ一つ教えてくれる。

「まず「魔力抵抗レジストマジック」と「反射魔力カウンターマジック」のコンボスキルね。一つ一つでもかなり効果が見込めるレアなスキルだけど、二つの相乗効果でかなりの効果を発揮するわ……あのクソ女神が、私をあなたに隷属させるためだけにくれたスキルみたいよ。」

 エルの魅力に、抗えない、もうダメだと思ったあの時、いきなりエルの態度が変わり蕩けた風になったのは、このスキルのお陰なんだとか。つまり強力すぎる魅了の力が、そのままエルに跳ね返ってしまったせいで、俺を魅了するつもりが逆に魅了されてしまった、という事らしい。あのときのエルの可愛らしさといったら……っと、今はおいといて……。

 簡単に言えば、「魔力抵抗レジストマジック」は殆どの魔法攻撃に耐えることが出来るというもので、「反射魔力カウンターマジック」は、状況に応じて跳ね返すことが可能なスキルだということ。

 難を言えば、パッシブスキルじゃないので、不意打ちには弱いという事らしい。

「それから……これはよくわからないわね。『創造クリエイト』というスキルだけど、私は聞いたこともないわ。多分、なにかを作ることができるクラフト系のスキルだと思うんだけど……性質からすれば、パッシブな補助系スキルみたいだし……よくわからないわね。あとは「器用貧乏オールラウンド」っていうスキルかな?これも一応レアスキルよ。ユニークスキルを4つも持っているなんて、やったね、凄いよぉ。」

 エルがそう言ってポンポンと背中を叩いてくれる。

「凄いのか?」

「うん、凄い凄い。惚れちゃいそう♡」

「……ちなみにエルはスキルをどれだけ持ってるんだ?」

「え、あ……えっと……2つ……かな?」

「……固有スキル入れてないだろ?」

「あ……うん……えっと……」

 エルがわかりやすく視線を彷徨わせる。

 白状させたところによると、エルは「遠見」「隠蔽」という二つのユニークスキルを持っているとのこと。だけど、サキュバス族の種族スキルの他に、錬金術師と闇の住人という二つのジョブに由来したスキルがあるので、スキルの数だけを言えば10を超えているのだとか。しかも、種族スキルが多いのが特徴の魔族なら、それぐらいは普通だという。しかし、それを正直に話せば、俺が落ち込むから黙っていたかったらしい。

 その優しさが、今は痛いです……。


「……まぁ、その事は置いといて、エルから見てどうなんだ?」

 俺は気持ちを切り替えてエルに訊ねる。今は落ち込んでいる場合じゃないのだ。

「どうって?」

「この世界で、俺は無事に生きていけるのか?」

「……うーん、今の状態で、あなた一人だったら、半日も経たずに魔物のお腹の中に入っちゃうわね。」

「……マジ?」

「マジ、マジ。だけどそのために私がいるのよ?大丈夫、あなたを守ってあげるからね。お姉ちゃんに任せなさいっ!」

「ばぶぅ!」

 俺は思わずエルに抱き着く。最高かっ!

 自分では妹スキーだと思っていたけど、「お姉ちゃん」というのもいいものだ、と思ってしまった。……まぁ、エルの容姿は、お姉ちゃんというより、妹、なんだけどさ……胸以外は。

「その代わり、私を満足させてよね?」

 抱きしめ返しながら、囁くようにそんな事を言うエルに俺は何度も頷く。

 こんな可愛い娘に守ってもらい、しかも、代価がイチャイチャすることだなんて、ここは天国かっ!

「もちろんだとも。」

「嬉しい、約束したからねっ♪」

 エルがさらに抱き着いてくるのを、俺はそのまま受け止め、抱きしめ返す。

 この時、浮かれていた俺は気づいていなかったのだ。

 サキュバスを満足させるという事が、どういうことなのかを……。


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