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魔王様のハーレムダンジョン ~俺は、ハーレム王になるっ~  作者: Red/春日玲音


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39/51

続・魔王様のハーレム騒動 ~リズレット??~

「……まぁよかろう」


カズトがそう告げた瞬間、空気がわずかに緩んだ。

その直後、彼の頭の奥に、慌てたような声が直接響く。


(えっ、いいの!?)


ルミナスだった。感情がそのまま音になったような、焦りを隠さない声。


(この人、嘘は言ってないよ。でもね、本音は全然別! おにぃちゃん、だまされてるよ!)


それを聞いて、カズトは小さく肩をすくめる。表情は変えず、心の中だけで答えた。


(女の子に騙されるなんて、今更だろ)


一瞬の沈黙。

そして、しん、とした声。


(……おにぃちゃん……かわいそう)


(失礼だな)


(だって! 前も、前の前も……)


カズトの脳裏に、黒歴史のような記憶がよみがえる。

「好きよ……あなたがいないと生きていけないくらい」と抱き着いてきた、大学生のお姉さん。言われるがままになけなしのお小遣いと貯金……全財産を貢ぐと、翌日には別の男と消えていた件。


「一生仕えます」と誓ったメイド(メイド喫茶の店員)が、次の日には別の男とデートしていた件。


「デート……しよ?」と誘ってきたクラスメイト。待ち合わせの場所に行ったら怖いお兄さんたちに囲まれた件。


「私……初めてだから……」そう言っていた女の子。いざ本番という時になって、急に眠気が襲ってきて……。気づけば朝で、女の子だけでなく、財布も消えていた件。


挙げ句の果てには、コッチの世界に来て、救った村娘が実は詐欺師集団の一員だった件等々……


(……うるさい。思い出させるな)


(ほら! やっぱり!……おにぃちゃんには私がついているから、元気出してね。)


ルミナスの声には、完全に「哀れみ」が混じっていた。


そんな二人のやり取りなど知る由もなく、セリアは胸の前で手を組み、安堵したように息を吐いていた。


(――勝った)


心の中で、小さく、しかし確かな手応えが弾ける。

魔王は自分を受け入れた。

同情、保護、あるいは気まぐれ――理由はどうあれ、第一関門は突破だ。


(あとは、ゆっくり懐に入って……)


そう思った、その瞬間。


「――ただし、だ」


カズトの声が落ちる。

穏やかだが、妙に芯のある声だった。


「君が、全部正直だとは思っていない」


セリアの心臓が、ひくりと跳ねる。


「被害者なのは事実だろう。仲間に裏切られたのも、本当だ。だが――」


カズトはまっすぐにセリアを見る。その視線には、責める色も、怒りもない。ただ、見透かすような静けさがあった。


「それだけじゃないだろう?」


一瞬。

本当に一瞬だけ、セリアの仮面が揺らいだ。


(……この人)


(気づいてる)


だが、彼女はすぐに視線を伏せ、唇を噛みしめる。か弱く、怯えた女の仕草で。


「……それでも、ボクは嘘をついていない……」


「そうだな」


あっさりと頷くカズト。


「だからいい。利用するにせよなんにせよ、ここでの立場を守ることだ」


その言葉に、ルミナスが再び頭の中で叫ぶ。


(おにぃちゃん!? それ完全にカモにされる前提じゃん!?)


(前提じゃない。“条件”だ)


(条件……?)


(裏切るなら、もっと後にしろってこと)


ルミナスは言葉を失った。


(……やっぱりかわいそう)


セリアは内心で息を整える。


(……油断したわけじゃない。でも、この人……思ったより面倒だ……流石は魔王様。)


魔王は、愚かではない。

だが、切り捨てもしない。


(守る代わりに、見ている……ってこと)


一瞬前までの「完全勝利」の気分は、静かに修正されていく。


(……いいよ……しばらくは、大人しくしておくよ。)


セリアは深く頭を下げた。


「ありがとうございます。信じていただけるよう、誠心誠意、尽くします」


その言葉は、今はまだ嘘ではなかった。


(信用を得るまでは……本当に、尽くさないと)


胸の奥で計算を組み替えながら、セリアは微笑む。

それは、これまでで一番“本物”に近い笑顔だった。


そしてルミナスは、カズトの背後で小さく呟く。


(……おにぃちゃん、強いのか弱いのか、ほんとに分かんない)


(両方だ)


カズトはそう答え、どこか自嘲気味に笑った。



セリアを別室へと送り出すと、そこにはリズレットだけが残される。


「リズレット……だったか?」

カズトの問いに、リズレットは小さく「……はい」とでも言いたげに、コクンと一度だけ頷いた。

それきり、視線は床へ。尻尾の先だけが、所在なさげに左右へ揺れている。


「合格!」


唐突に、晴れやかな声が落ちた。


「ちょっと待って!? 今のどこに合格要素があったの!?」


即座に噛みついたのはルミナスだ。もはや念話を使うような余裕もないかのように反射的に反応していた。

話を聞くどころか、面接開始三秒で合否を決めるという暴挙に、両手をばたつかせる。


「だってさ」

カズトは胸を張る。根拠は満タンだと言わんばかりに。

「ねこみみだぞ? しっぽだぞ? この二点セットを前にして、ハーレムに入れない理由がどこにある?」


「それ、理由って言わないから!」

ルミナスのツッコミが冴える。

「基準が生態学的すぎるよ! せめて人となりとか、能力とか、目的とか!」


「目的? かわいい」

「能力? かわいい」

「性格! かわいい」


三連続で即答するカズトに、ルミナスは頭を抱えた。


「もうダメだこの人……! 可愛いは万能じゃないからね!?」


「いや、万能だろ。可愛いは正義だ!」

カズトは真顔で断言した。

「イヤイヤイヤ……」


「ケモミミ少女に理由はいらない。存在が理由だ」

「名言っぽく言ってもダメなものはダメだから!」


二人の応酬は、もはや漫才の域に達していた。

その横で、当のリズレットはというと――


「……」


黙ったまま、二人を見比べている。

ねこみみがぴくりと動き、しっぽが一瞬だけ膨らんだ気がしたが、本人は何も言わない。言えないのか、言わないのか。


「ほら見て、緊張してるじゃない!」

ルミナスが指摘すると、カズトはむしろ満足げに頷いた。


「よし、合格だな」

「話聞いて!? 話を聞こうよ!?」


そんな騒がしい二人を前に、リズレットはただ静かに立っていた。

その表情は無表情――けれど、尻尾の先だけが、ほんの少し楽しそうに揺れていた。



「ん、一応話を聞こうか?」


仕切り直しとばかりにカズトはそう言った。

言葉だけ聞けば殊勝だが、問題はその態度である。


視線はリズレットの顔――ではなく、ねこみみ。

指先が微妙にひくひくしている。明らかに、触りたい。今すぐにでももふりたい。理性と本能がせめぎ合い、手が宙で迷子になっていた。


「……」


リズレットは相変わらず寡黙だった。

何かを言おうとして、口を開きかけて、また閉じる。しっぽが一度、きゅっと体に巻きつく。


その様子を見て、ルミナスが小さくため息をついた。


「もう……この子、言葉にするのが苦手みたい。だから私が補足するね」


「助かる」

カズトは即答した。手はまだうずうずしている。


ルミナスは一歩前に出て、リズレットの代わりに語り始める。


「まず、この辺り一帯……特にシャガート周辺は、獣人への差別がすごく激しいの」


その言葉に、リズレットの耳が伏せられる。


「街の中でも、獣人が奴隷として扱われてる。表向きは“雇用”ってことになってるけど、実態は鎖付き」


「……なるほどな」


カズトの声から、先ほどまでの軽さが少し消えた。


「で、彼女たちは思ったわけ。

――魔王様は強い。誰も逆らえないほどに」


ルミナスがそう言うと、リズレットはこくりと頷いた。


「だったら、獣人たちを助けてくれるかもしれない、って」


「……」


「そしてね」

ルミナスは一瞬、言葉を選ぶように間を置く。

「もし、その代償として“身を差し出せ”と言われるなら……」


リズレットは、自分の胸に手を当てた。

「……よろこんで」

小さく、震える声だった。


「差し出す覚悟がある、って言ってる」


その場に、少し重い沈黙が落ちた。


「リズレットは、その代表としてここに来たの。自分一人が犠牲になることで、他の獣人が救われるなら、それでいいって」


説明を終えたルミナスは、そっとリズレットの肩に手を置いた。


カズトはしばらく黙っていた。

そして――


「……なるほど」


そう言ってから、リズレットの方を見て、にやっと笑う。


「じゃあ却下だな」


「え?」

ルミナスが目を丸くする。


「身を差し出すとか、代表が犠牲になるとか、そういうの」

カズトは軽く肩をすくめた。

「うちの方針に合わない」


「方針!?」


「愛だよ愛。そこに愛はあるのか?……それにさ」

カズトは、ついに理性を負けさせたのか、そっと――ほんの一瞬だけ――リズレットの耳に触れた。


ぴくん!


リズレットの全身が跳ねる。


「……守る側が、こんな耳して震えてるの、放っとけるわけないだろ」


「ちょ、ちょっと! 今の話の流れで触る!?」


ルミナスの叫びを背に、カズトは真顔で続けた。


「代表? いいじゃん。でも犠牲役じゃなくて、仲間としてな」


リズレットは何も言わなかった。

ただ、伏せていた耳が、少しずつ――ゆっくりと、起き上がっていった。


「守って……くれる……の?」

小さくか細い声。

しかし、カズトを見つめるその瞳には、力強い意志の光が輝いている。

「あぁ、ハーレムに入るんだろ?」

カズトが言うとリズレットはコクンと頷く。

「だったら、ハーレムの女の子が笑顔でいられるようにするのが俺の役目だ。」

カズトがそういうと、リズレットが無言で抱き着いてくる。

かなり緊張していたのだろう。その緊張がゆるむと同時に、涙腺までもが緩んだようで、その場で嗚咽を漏らすリズレット。

そんなリズレットを抱きしめながら、これ幸いとばかりにネコミミをモフるカズト。……色々台無しだった。


ブクマ、評価、PV全然伸びない、リアクションもない・・・・・・><

面白くないですかねぇ・・・・・・気にせず書くけど。

というか、縛りのないノクターンに引っ越した方がいい?



ご意見、ご感想等お待ちしております。

良ければブクマ、評価などしていただければ、モチベに繋がりますのでぜひお願いします。

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