続・魔王様のハーレム騒動
「では、改めまして。ルミナスと申します。魔王であらせられるカズト様の側妃として認められましたことを光栄に思います。皆様とともに、カズト様を支えていくことをここに誓いますわ。」
ルミナスが、カズト達の前で宣誓をすると、その誓いの言葉が光となり、カズトとルミナスを包み込む。やがてその光は収縮し、ルミナスの首元を飾るネックレスへと変わる。
そのネックレスは、ルミナスが誓いを忘れない限り、ルミナスを守る力になるが、逆に、誓いを破った時には、その首を絞める制裁の道具へと変わる。
それだけ重く強力な宣誓を、ルミナス自らが望んだ。それだけ本気であることを示したかったのだろう。
そして、それを見守る少女たちの中で、シーラだけが面白くなさそうな顔をしてる。
「シーラ、顔が変。」
アリーナがそう言うと、シーラが「どうせ私の顔は変ですよぉ」と拗ねる。
カズトは訳が分からずエルを見ると、エルはルミナスに聞くのが早いと話を振る
するとルミナスは困ったような顔をして、小さな声で耳打ちしてくる。
「えっとですね……シーラ様は、やきもちを焼いているのですよ。」
「やきもち?なんで??」
ルミナスが新たにハーレム入りしたからか?
しかし、ハーレムは夢だし、いちいち新しい子が入るたびにやきもち焼かれても困る。
そんなことをかんがえているとルミナスが苦笑して言葉をつづける。
「えっとね、おにぃちゃん、そういうのじゃなくて、つながりが欲しいんですよ。」
ルミナスが言うには、今、ルミナスが宣誓したことにより、ルミナスとカズトの間に強い「聖約の絆」が結ばれ、その証として聖なる護符が現れた。
他にも、エルはパートナーとしての魂のつながりがあり、その証としての宝玉が存在し、アリーナには忠誠の証としてのチョーカーがあり、リラに至っては隷属の首輪を嵌めている。
そのどれもが、善悪良し悪しは別として、カズトとの強いつながりを示すものだ。
しかし、押しかけ嫁であるシーラにはそのどれもが存在しないから、一人だけ仲間外れの気分なのではないか?とルミナスは言うのだ。
「とは言われてもなぁ……。」
正直、めんどくさい、とカズトは思った。
「ダメよ、ハーレムを作るなら、私たちに平等な愛情を注いでいるってことを示さなきゃ。」
エルが相変わらずからかうような口調でそう言ってくる。
……が他の娘とエッチできないように、限界まで搾り取ってくるお前にだけは言われたくないっ!とカズトは声を大にして言いたかった。
それでも、今後のことを考えれば何か布石を打つ必要があるのも事実であり、考えておく、とだけ告げるのだった。
◇
「それでですね、今後の魔王様の覇道に役立つべく、私のことを知ってもらいたく存じます。」
そう言ってルミナスが、自らの力について話し出す。
実際に聞いてみると、ルミナスは年齢に分不相応なほど多彩だった。
まずコモンスキルとして「探知」「隠蔽」という二つのスキルを持っている。
探知は、近くに何があるか?誰かいるか?というのがなんとなくわかるという初級スキルで、使いこなしていけば「気配探知」「魔力感知」「探索」といった上級スキルに育つ
隠蔽は、自分の気配を遮断する初級スキルで、こちらも使いこなしていけば、「隠形」という、気配を消しながら動くことが出来る上級スキルへと育っていく。
どちらも、斥候役に役立つスキルであり、盗賊や暗殺者には必須といわれるスキルだ。
それ以外にも、「解析」という、鑑定や観察といった初級スキルから派生する上級スキルを持っていて、ルミナスが、シーラではなくエルの方が上位者だと見ぬいたのも、このスキルの力だという。
そして何より、ルミナス最大の能力……ユニークスキルの「精神感応」。
これは、正確に言えば、心を読むのではなく、表層に浮かぶ考えを読む力である。
それなりに強力なのは間違いないが、相手の心の奥底まではわからないし、たまに、やってることと考えていることが一致しない相手というのもいるため、結構役に立たない場面というのはある。
それでも、一般人相手には効果は高く、幼いルミナスが生き延びてこれたのも、この力のおかげであることは間違いなく、また、今後カズト達の役に立つことは間違いなかった。
「それで…ですね……」
ルミナスが言い辛そうにしながらもなんとか言葉を紡ぐ。
「残りのお三方はどうします?」
ルミナスの言葉で、シーラがはっと思いだす。
暗殺者騒ぎで忘れていたが、もとをただせば、カズトのハーレム募集に応募してきた者たちへの面接の途中だった。
ただ、その募集してきたもののほとんどが暗殺者だったため、その対応に追われ、忘れていたが、ルミナスのほかに、真面目にハーレムの募集に応じてきたものがあと3人残っていたのだ。
「順番をお待ちしている間に、お三方の考えが流れ込んできたのですが、一応まっとうな方々達でした……問題は抱えているみたいですが。」
「……まぁそうだろうな。」
まったく問題のないただの一般人が、「魔王のハーレム」などという怪しい募集に応じるわけがないのだ。
「まぁ、おっぱいだけ見て返すか。」
「会ったら絶対に問題に巻き込まれますよ?トラブルを避けるならこのままお帰しした方がよいかと。」
ルミナスがそう苦言を呈す。
「思ってもいないことを口にするんじゃないよ。」
カズトは優しく微笑みながら、ルミナスの額をこつんっと突っつく。
「でも、トラブルに巻き込まれますよ?」
「そんなの無視すれば巻き込まれないだろ?俺はオッパイが見たいだけだ。」
「おにぃちゃんは優しいから、絶対に巻き込まれるのです。」
仕方がないなぁ、というように、そう告げるルミナス。
「ま、そうだろうね」と笑いながらアリーナが、未だに残っている三人を呼びに行くのだった。
「リーシアです。」
「リズレット。」
「セリアです。」
三人が並んで頭を下げる。
その動作にオッパイがプルンと揺れる。
……うん、これだけで、もう用は終わったな。
とはいうものの、さすがに「おっぱいを見たから、もう帰れ」とは言えない。
……もう少し見ていたい、という気もある。
ちなみに、リーシアは年のころは二十……二、三といったところか。腰より下まである、長いストレートの緑がかった蒼い髪。
ややおっとりとした口調ながらも、芯の強さが垣間見える。
リズレットは、黒髪のネコ獣人。可愛い三角耳と、お尻でゆらゆら揺れているしっぽが可愛いい。
あの尻尾を逆なでして「ふにゃぁっ!」と鳴かせたい衝動を必死になって、何とか抑える。
セリアは、銀色の髪を肩のあたりで切りそろえ、脱ぐ前はブレストレザーにショートパンツと活動的な格好をしていた。いわゆる「冒険者スタイル」という奴だろうか?
事前にルミナスから聞いたところによれば、このセリアだけは、目的がはっきりとしていた。簡単に言えばお金である。
魔王のハーレムに入ればお金が……という考えが強く流れ込んできたというのだから、よほどお金に困っていたのだと考えられる。
しかし、カズトにとって、ハーレムとは、好きな女の子とイチャイチャしたいというものであって、お金だけの関係というのは願い下げなのである。
「そこに愛はあるのか?」
つまりそういう事なのだ。
「えっと、おにいちゃんのハーレムに愛はあるの?」
ルミナスがボソッとつぶやく。
「そりゃぁ、あ……る……」
カズトは冷静になって考える。
エルとの関係は……うん、ご飯だな。捕食者と非捕食者の関係。
リラは……奴隷同然だから、愛とか関係なく言うことを聞くしかない。
……アリーナは……うん、忠誠を誓って慕っていてくれているが……もとをただせば、そうなるように洗脳したわけだし、深層意識では……
そうだ、シーラは?
………愛が……、あるよな?
シーラから嫁にしてといってきたわけだし……でも、根本には、自分の領地と家族を救ってもらいたいってことだったし、それが叶ったから、約束通り、仕方がなく嫁になった……?
……
……
……
えっと、ルミナスとは……契約だっけ?
………
………
………
愛……って……なんだろ?
「クスクス、おにぃちゃん、ルミナスはぁ、今は大好きですよぉ。」
……今はって言われても、まだあって数時間だろ?
「あれぇ、愛に時間は関係ないんですよ?」
そうもっともらしいことを言うルミナス。
「それより、先に進めませんと……。」
ルミナスに言われて、はっと我に返り、怪訝そうな視線を向けてくる三人へと向き直る。
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