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魔王様のハーレムダンジョン ~俺は、ハーレム王になるっ~  作者: Red/春日玲音


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勇者姫アリーナ その4

「クックック……っはははは! 見たか!? 勇者姫・アリーナ様のこのザマ」

モニターの向こうでは、手足を拘束されベッドに転がされたアリーナが映っている。

衣類はボロボロで、大事なところを隠しているようで隠しきれていない。

彼女が身じろぎするたびに、豊満な双丘がプルプルと震える。それだけで眼福ものだ。


「…………。」

画面の向こうのアリーナは黙って屈辱に耐えている。

胸と局部だけに、スポット的に充てられた光以外には光源のない薄暗い部屋の中で、拘束されて放置。

実際には1時間ぐらいしかたっていないのだが、彼女にはもう何時間もこのまま、という感じだろう。


「さて、どうしようかねぇ。とりあえず頂いてくるよ。」

俺は意気揚々と、アリーナのもとに向かう。

せっかくのチャンスを潰されたのだ。

その身体で支払ってもらわなければ割に合わない。


「さぁ、ご奉仕の時間だよ!」

俺は身動きの取れないアリーナの身体を散々弄り倒す。

「何を……やぁっ、やめ。…。むぐっ……んんっ……ぐっ……。」

あぁ、いいっ!無垢な勇者を穢している、そう思うだけで滾ってくる。

この猛りを勇者姫にぶちまけようとしたその時……。


「カズトぉ……お楽しみですかぁ?」

背後から声が聞こえた。

それは、チャンスタイムの終了を告げる声でもあった。



地下牢は、光という概念を忘れた場所だった。

天井も壁も、距離さえも分からない。ただ冷えた石の匂いと、鎖が擦れる音だけが、ここが現実だと告げている。


勇者姫アリーナは、両腕を拘束されたまま、床に座っていた。

動こうとすれば、鎖が即座に答える。首輪につながっている鎖の長さだけが、アリーナが自由に動ける範囲だった。

最初の頃のように、四肢を拘束されてないだけマシではあるが、両腕は後ろ手に縛られているため不自由なことこの上なく、逃げ場など最初から存在しない。


それでも、アリーナは折れていなかった。


(私は……負けていない)


暗闇の中、彼女は何度もそう言い聞かせる。

魔王に捕らえられ、尊厳を踏みにじられてなお、その心の奥には、剣を握っていた頃の自分が確かに残っていた。


――足音。


それだけで、空気が変わる。

闇の中に、魔王が入ってくる。


恐怖と嫌悪が、条件反射のように胸を締め付ける。

だが、歯を食いしばり、声は上げない。

弱さを見せることだけは、決してしないと決めていた。


「相変わらず、いい目をしているな」

魔王がありv名の目を覗き込みながら言う。

低く、落ち着いた声。

それが、この世界で唯一、確かな輪郭を持つものだった。


「その誇りが、気に入っている。どうだ?気が変わったか?」


その言葉に、アリーナの胸がわずかに波打つ。

褒められたわけではない。

理解されたように感じてしまったことが、何より腹立たしかった。


「黙って……何度言われても気は変わらないわ……」


掠れた声でも、拒絶の意志は込める。

「……まぁ、いいさ。ほら、ご飯の時間だ」


魔王は淡々とそう言うと、木製の椀を手に取り、スープを一匙すくった。

湯気が立ち上り、香草の匂いがかすかに広がる。


アリーナはそれを見て、喉がわずかに鳴るのを感じた。

――空腹だ。

それは認めざるを得なかった。


魔王が、彼女の目の前までスプーンを運ぶ。


「……」


アリーナは唇を引き結び、視線を逸らす。

犬のように椀に顔を近づけてすする、という選択肢が頭をよぎり、すぐに打ち消した。


(……そんな真似、できるわけない)


だが、腕は縛られている。

自分では、何もできない。


魔王は表情を変えず、スプーンを少しだけ彼女の唇の近くに寄せる。


「口を開けろ」


一瞬、アリーナの肩が強張る。

だが、ゆっくりと、ほんの少しだけ唇を開いた。


スープが口に含まれる。

温かさが、冷え切った体に染み渡った。


「……っ」


思わず、喉が動く。

味は、拍子抜けするほど普通だった。

塩気も強すぎず、粗末でもない。


魔王は無言で、次の一匙をすくう。

まるで作業のように、淡々と。


アリーナは視線を落としたまま、抵抗しない。

屈辱で、胸の奥がじくじくと痛む。


(勇者が……こんな……)


それでも、食べなければ生きられない。

生きなければ、何もできない。


彼女は黙って口を開け、与えられるままにスープを受け取った。


金属の拘束具が、かすかに鳴る。

その音が、今の立場を嫌というほど思い知らせていた。


「……」


魔王は彼女の様子をじっと見つめながら、最後の一匙を差し出す。


アリーナは何も言わず、それを飲み込んだ。


薄暗がりの中、

勇者と魔王の間に交わされるのは、言葉ではなく、

ただ静かな屈辱と、重い沈黙だけだった。


「人間たちは、お前を助けに来ないな」


その一言が、刃のように突き刺さる。

「そんなこと……ない……」

即座に否定するが、その声には力がない。


「そう思っていられるうちは、いい」


魔王はそれ以上、何も言わない。

ただ、存在だけを残して去っていく。


再び、完全な暗闇。


時間がどれほど経ったのか分からない。

数分か、数時間か、あるいは数日か。


アリーナは、胸の奥に残った言葉を必死に振り払おうとする。


(私は勇者……人間の希望……)


だが、声に出しても、返ってくるのは沈黙だけだった。


それでもまだ、この段階では――

彼女の心は折れていない。

魔王の言葉は、誘惑ではなく、侮辱でしかなかった。


誇りは、まだ暗闇の中で、確かに息をしていた。



「なぁ、これで本当にいいのか?アリーナの奴全然折れる気配がないぞ?」

アリーナへの食事を終えた後、俺はエルにそう告げる。

今はエル脚本による、「女勇者闇落ち」を仕掛けている真っ最中なのだ。

「カズトは、あの女勇者が欲しいんでしょ?腐っても勇者だからね。時間はかかるわよ。それとも、さっさとやるだけやって、魔物の苗床にする?」

エルがそう言うが、そんなもったいないことはできない。

即ヤるという提案は魅力的ではあるが、相手は勇者だ。仲間に引き込めればこんな心強いことはない。それに何より、俺はアリーナが気に入ってる。できれば心から慕ってもらって、チュッチュ、イチャイチャしたいんだよ。

「だったらもう少し我慢することね。後、ご奉仕させるのはいいけど、決して処女は奪わないこと。できればご奉仕もほどほどにね。身体目当てだと思われたら、決して落ちないわよ。」

落とした後なら好きなだけできるんだから、というエルの言葉に従い、俺は我慢することを告げる。

すでに落としたはずの、リナやシーラとエッチできていないことには、この時点の俺はまだ気づいていなかった。



暗闇は、ただの闇ではなくなっていった。

それは重さを持ち、肌にまとわりつき、呼吸のたびに胸の奥へと染み込んでくる。


最初のうちは、アリーナは数を数えていた。だけど、それも長くは続かなかった……終わりがないからだ。

足音があった。そのたびに、心臓がビクッと跳ねあがる。

声を聞いた。それだけで、嫌悪感を覚える。

その後、どれくらい時間が経ったか。


だがやがて、そのどれもが分からなくなった。

眠ったのか、気を失ったのかさえ曖昧になる。


「……誰か……」


声を出してみる。

喉がひりつき、言葉は闇に吸い込まれる。


返事はない。


何度呼んでも、何度祈っても、

鎖の音と、自分の呼吸しか戻ってこなかった。


(……おかしい)


勇者として、姫として、

孤独には慣れているつもりだった。


だがこれは違う。

敵がいない。

味方もいない。

世界そのものが、ここには存在しない。


――足音。


その瞬間、アリーナの心臓が強く脈打つ。

望んでいないはずの音。

憎むべき存在のはずなのに。


魔王が現れる。


「生きているか、勇者姫」


その声を聞いた瞬間、

胸の奥で、張り詰めていた何かがわずかに緩む。

冷え切った心に熱がこもる気がする。


(……違う)


自分に言い聞かせる。

安心などしていない。

ただ、沈黙が終わっただけだ。


「……殺すなら、早くして」


声は震えていた。

怒りのせいだと、必死に思い込む。


「殺す気はない」


魔王は、いつも同じ調子で答える。


「お前が欲しいから、ここに置いている」


その言葉に、アリーナの思考が一瞬止まる。


欲しい。

殺すでも、壊すでもなく。


理解できないはずなのに、

否定する言葉がすぐには浮かばなかった。


「人間たちは、お前を勇者と呼びながら、代わりはいくらでもいると思っている」


魔王は責めるようには言わない。

事実を並べるように、静かに告げる。


「だが、俺は違う」


その違いが、何を意味するのか。

考えること自体が、どこか怖かった。


魔王の唇がアリーナを求めてくる。

魔王の手が胸を弄る。

最初は嫌悪しか感じなかったそれらの好意も、最近では自然と受け入れている……それどころか、もっとぬくもりが欲しいと求めてしまっている自分に驚く。

しかし魔王は、それ以上は決して触れてこない。まるで、アリーナ自身が求めるまでは決して触れない、とでもいうように……。


魔王が去ると、再び闇が戻る。


だが今度は、

さっきまでよりも、闇が深く感じられた。


(……次は、いつ……)


その思考が浮かんだ瞬間、

アリーナは自分自身に愕然とする。


待っている?

あいつを?


必死に首を振る。

鎖が、乾いた音を立てる。


(違う……私は……)


だが、否定の言葉は、胸の奥で弱々しく揺れるだけだった。


捕らえられた当初は、激しくご奉仕をさせられた。

そのたびに屈辱と恥辱を覚えたのだが、最近では、ほとんど触れてこようとしない……飽きられたのだろうか?

そう考えるだけで、胸の奥がずきんと痛む。


魔王が飽きてしまったら、私はどうなるの?この暗闇の中ずっと一人でいるの?


暗闇は変わらない。

沈黙も続く。

だが一つだけ、確かに変わったことがある。


この世界で、

声を持つ存在が、魔王しかいないという事実が、

少しずつ、逃げ場のない現実として染み込み始めていた。


アリーナはまだ屈していない。

だが、孤独は確実に、彼女の誇りの輪郭を削り始めていた。



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