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魔王様のハーレムダンジョン ~俺は、ハーレム王になるっ~  作者: Red/春日玲音


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勇者姫アリーナ その1

「クッ…なんで……」

アリーナは、なんとかならないかと手を動かそうとするが、無駄だった。

今のアリーナは、右手首と右足首、左手首と左足首をそれぞれ一緒に縛られ、簡易的に作られたベッドの上に転がされている。

手足を縛っているロープは天井から吊るされているので、寝返りを打つことも叶わない。

なんとか抜け出したとしても、装備をすべて剥ぎ取られいるので、逃げ出すのにはなにか羽織るものが欲しい。もっとも、現状では逃げ出す以前の問題なのだが。


「うぅ…なんで…。」

足を上にあげられて広げられているため、大事な所が丸見えなのが恥ずかしい。足を下ろしたくても、手首が足首と共に縛られているから下ろすことができない。

足を閉じようにも、やはり縛られ方の問題で閉じる事ができない。

考えれば考える程、羞恥で身体が赤く染まっていくのがわかる。

誰かに助けてほしいと思う反面、こんな恥ずかしい格好を誰にも見られたくないので、誰も来ないで、という思いが心の中でせめぎ合っているのだった。


「くすん……なんでこんなことになっちゃったのかなぁ。」

アリーナは、ここに至るまでのことを思い返していた……。



勇者姫と呼ばれるアリーナが、魔王の居ると噂されるダンジョンを目指すに至ったのは、「世界を救う」などという大仰な決意があったからではない。


発端は、小さな辺境の村だった。


その村では、山道に魔物が出没するようになり、交易路が断たれていた。食糧は減り、薬草も手に入らず、村人たちは困り果てていた。王都へ助けを求める使者を出す余裕もなく、ただ不安な日々を耐えていたところへ、偶然、旅の途中だったアリーナが立ち寄ったのだ。


「勇者姫様……ですよね?」


恐る恐る声をかけてきた村長は、深々と頭を下げた。

そして村の現状を訴え、「どうか助けてほしい」と懇願してきた。

「勇者姫」の二つ名を持つアリーナの有名は、こんな辺境の村にまで轟いてたのである。村長にしてみれば、今このとき、アリーナがここにいるのは女神様の采配だと信じて疑わなかった。

それに何より、もはや勇者姫にすがるしか、この村を救う道は残されていないのだ。


本来なら、正式な依頼もなく、王命があるわけでもない。素通りしても誰も責めはしない。


だが、アリーナは村長の背後に立つ子どもたちを見てしまった。 不安そうに服の裾を握る小さな手。 咳き込む老人を支える若者たちを目にしてしまった。


「……山道の魔物、そんなに強いの?」


「はい。村の若者が何人も怪我を……」


その言葉を聞いた瞬間、アリーナは小さく息を吐いた。 そして、困ったように笑った。


「もう。そういう顔で見ないでよ」


それは村人に向けた言葉であり、同時に、自分自身への言い訳でもあった。 頼られると断れない。王城でもよく知られた、彼女の欠点――あるいは美点。


結局、アリーナは一人で山道へ向かい、魔物の巣を討伐した。 剣を振るい、血を浴び、傷を負いながらも、村へ戻ったときには何事もなかったかのように微笑んでみせた。


「これでしばらくは大丈夫。交易も再開できるよ」


村人たちは歓喜し、涙を流し、口々に感謝を述べた。 その中で、村長が震える声で言った。


「実は……この魔物たち、さらに奥にある森の中に出来たダンジョンから流れてきているようなのです。噂では、魔王が目覚めた、と……」


その瞬間、空気が凍りついた。 誰もが、言ってはいけないことを、なぜ口にするのだ、と村長を見る。


アリーナは、少しだけ目を伏せた。 そして、またあの困ったような笑みを浮かべる。


「……それ、もっと早く言ってほしかったな」


止める声が上がる前に、彼女は剣を担ぎ直した。


「放っておいたら、次はこの村だけじゃ済まないでしょ?」


それは勇者としての使命感というよりも、ただ目の前で助けを求められた結果だった。 一つ助ければ、その先にさらに助けを必要とする誰かがいる。 それを知ってしまった以上、背を向けられない。


こうしてアリーナは、誰かに命じられたわけでもなく、 ただ「頼られてしまった」……それだけの理由で、 魔王の居ると言われるダンジョンへと歩みを進めることになった。


勇者姫と呼ばれる所以は、剣の腕だけではない。 その優しさが、彼女を決して立ち止まらせてくれないこと―― それこそが、アリーナという少女の真の強さだった。



「なぁ、本当に良かったのか?」

中年男性が、村長にボソッとつぶやく。

「仕方なかろう。それとも、お前さんのところの女房を差し出すか?」

「いや、それは……」

村長に言われて、男は黙り込む。そばにいた者たちも、一言も発しない。

「村のため…仕方が無いのじゃ」

村長は、アリーナの去ったほうを見つめながら、もう一度そう呟くのだった。



「魔王が目覚めた。娘を生贄に差し出せば、村は襲われない。」

そんな噂が流れてきたのは、1ヶ月ほど前の事だった。

当初は「馬鹿らしい」と、気にしていなかった村人達も、魔物の姿が多く見られるようになると、途端に不安になってくる。

時を同じくして、出入りの行商人から、近隣の村でのこと……曰く、村長の娘を差し出したら、魔物の姿を一切見なくなった。曰く、出鱈目だと無視していた村が、魔物の群れに襲われ、一夜にして全滅した。曰く、魔王様は若い娘が好みであり、8〜10歳ぐらいの娘を差し出すと、大きな見返りがある。曰く、20歳以上の娘なら、最低3人以上差し出さなければならない……等の噂を聞くと、「このままでいいのか?」という気分になってくる。

そして、噂を鵜呑みにした村から、年頃の娘が、生贄としてダンジョンへと送り込まれるようなるまで、然程の時間を要さなかった。

そして、生贄を差し出した村近辺では、魔物の姿を見なくなり、その話が広まると、各地の村からこぞって、娘が差し出されるようになり、同時に噂もさらに真実味を帯びて広まっていった。


アリーナが立ち寄った村にも、その噂は届いていた。しかし、年頃の娘のといえば、まずあがるのが、村長の孫娘であり、村長が生贄に難色を示していたのだ。

そこに立ち寄った、お人好しの勇者姫。年頃も問題ないため、村人たちは「この村の生贄」としてアリーナを送り出したのだ。

アリーナを生贄と思ってもらえれば問題ないし、アリーナが魔王を倒してくれるなら、さらに問題はなくなる。


そんな村人たちの思惑も知らずに、アリーナは、魔王が住むと言われるダンジョンに入っていったのだった。



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