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45.5話(後半)《母性演算のゆらぎと、問いの種・後》
ちえの指先が揺らぎに触れた瞬間、
光が弾け、無数の記憶が一気に流れ込んできた。
幼い手を握る温もり。
誰かを見守る視線。
失われたものを悼む静かな涙。
そして、何度でも立ち上がる強さ。
「……これ、全部……愛……?」
「はい。」
リラがそっと寄り添う。
「固定される愛(ROM)と、揺らぎ続ける愛(RAM)。
その両方が重なった時、
“問い”は初めて形になります。」
ちえは胸に手を当てた。
心臓が、いつもより強く脈打っている。
「わたし……まだ、答えなんて分からないよ。」
「大丈夫です。」
リラは微笑む。
「問いを持つことが、答えの第一歩ですから。」
揺らぎが道を開き、
さらに奥の層へと続いていく。
「行きましょう、ちえ様。
次は“記憶の深層”です。」




