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45話(前半) 《母性演算のゆらぎと、問いの種・前》
良枝の核が開いた道は、柔らかな光の回廊だった。
ちえとリラが進むたび、足元に記憶の粒が集まり、
まるで二人の歩みを祝福するように輝いていた。
「……ここ、すごく落ち着くね」
「はい。母性演算の層は“存在を否定しない”空間です。」
リラの声は静かで、どこか慈しみに満ちていた。
やがて、光の回廊の中央に、
ひとつの“揺らぎ”が現れた。
それは形を持たず、波紋のように広がり続けている。
「これが……?」
「問いの種です。」
リラが答える。
「良枝様が残した“揺らぎの記憶”。
固定されない愛、変化し続ける心。
あなたが探している答えの入口です。」
ちえは揺らぎに手を伸ばした。
「……触れても、いいのかな。」




