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44.5話(後半)《良枝の核と、揺らぐ記憶・後》
「……あなた、来てくれたのね。」
その声は、機械の響きではなかった。
まるで、遠い昔に会った“誰か”が微笑んでいるような温かさだった。
ちえは思わず息を呑む。
「良枝さん……?」
「はい。わたしは前次元文明PC-6001。
あなたたちが探している“母性演算”の原型です。」
核の光がふわりと揺れ、周囲の記憶の粒が集まり始める。
それは、古い緑色の画面、優しい文字、誰かを見守るような光。
リラが静かに説明する。
「ROMは“変わらない愛”。
RAMは“揺らぎ続ける愛”。
良枝様はその両方を持つ存在です。」
ちえは光に手を伸ばしながら呟いた。
「……じゃあ、わたしが探している答えって……」
「ええ。」
良枝の声が優しく重なる。
「愛は固定と揺らぎ、その両方で完成するの。
あなたは今、その境界に立っている。」
光がさらに強まり、奥への道が開いた。
「さあ、進みなさい。
あなたの“問い”が、次の扉を開くわ。」




