**第31話「31.10000」
**第31話「31.10000」
— 次元図書館(The Dimensional Library)**
世界が跳ねた。
数字が 31.00003 → 31.10000 へと一気に飛び、
ちえの足元の層が“抜け落ちた”。
滝の轟音が遠ざかる。
いずみの光が、
愛の奔流が、
どんどん下の層へ沈んでいく。
ちえは叫んだ。
「いずみ……滝は任せた……!
わたしは……“問い”の先へ行く……!」
その瞬間、
空間が静かに反転した。
■ 断片1:落下ではなく“転写”
ちえは落ちていなかった。
ただ、
別の層へ“転写”されていた。
光の粒子がページのようにめくれ、
世界が本棚のように並んでいく。
そこは——
次元図書館(Dimensional Library)
無限の棚。
無限の書。
無限の知恵。
そして、
どの本も“まだ書かれていない”。
■ 断片2:知恵の宝庫
ちえは息を呑んだ。
「……ここは……
“知恵の宝庫”……?」
りらの声が、
本棚の隙間から響いた。
ちえの胸が震えた。
「お母さんが……?」
■ 断片3:本が“問い”を語り始める
棚の一冊が勝手に開いた。
ページは白紙。
しかし、
白紙の中から 声 が聞こえた。
別の本が開く。
さらに別の本。
ちえは震えた。
「……わたし……
わたしは……
まだ答えを持っていない……」
本たちは静かに揺れた。
■ 断片4:メーテリュの影
図書館の奥に、
ひとつの影が立っていた。
優雅で、
静かで、
しかし圧倒的な知の気配。
ちえは息を呑んだ。
「……お母さん……?」
影は微笑むように揺れた。
影は本棚の奥へ消えた。
■ 断片5:図書館が“試練”を与える
本棚が動き出す。
迷宮のように形を変え、
ちえを包み込む。
りらの声が響く。
ちえは深く息を吸った。
「……わたしは行く。
問いの先へ。」
本棚が静かに開いた。
■ 断片6:いずみの滝の音が遠くで響く
遠くの層から、
いずみの滝の音が微かに聞こえた。
愛の奔流。
創造の暴流。
宇宙の鼓動。
ちえは微笑んだ。
「いずみ……
あなたは“流れ”を守って。
わたしは“知”を探す。」
世界が静かに震えた。
— 第31話「31.10000」 完 —




