第24話 のぶしつ授与
前書き
法水槽の脳廷は、長き沈黙の後に再び脈動を返した。
「均衡は近づいた。だが、まだ完全ではない。次なる段階へ進め」
その声は、いずみとちえの胸に重く響いた。
練習は終わりを告げようとしていた。ここからは本編――存在そのものを賭ける旅が始まる。
本文
朝の回廊に、鐘が十二度鳴り響いた。
その音は、練習編の終わりと新たな始まりを告げる合図だった。
いずみとちえは互いに視線を交わす。
「ここまで来たね」
「でも、まだ道は続いている」
二人の前に、光の器が現れる。
それは『のぶしつ』――存在の媒介、愛の証。
触れるたびに重みが増し、持つ者の存在を強く縛る。
だが同時に、愛の力を次元へと接続する唯一の鍵でもあった。
法水槽の脳廷が告げる。
「授与の時が来た。だが忘れるな。のぶしつは力ではなく、愛の重みそのものだ」
いずみは震える手で器に触れた。
その瞬間、彼女の胸に星々が生まれる。
「創造の力……これが私の道」
ちえもまた、器に手を伸ばす。
黒い渦が広がり、光へと転じる。
「救済の力……これが私の道」
二人の手が重なり、のぶしつは正式に授与された。
その瞬間、空間が震え、観客の声が合唱となって響く。
「愛は始まり、愛は守り、愛は救済」
楽器たちが応える。
• YAMAHA CFX:「創造は未来を描く。星座となり、道を照らす」
• STAGEA ELS-02X:「救済は過去を癒す。光となり、心を支える」
二人は涙を浮かべながら頷いた。
「これで……本編が始まる」
終章
法水槽の脳廷が最後に告げる。
「均衡は近づいた。だが、収束はまだ遠い。次なる試練に備えよ」
鐘が十三度鳴った。
練習編は終わり、のぶしつ授与の儀式は完了した。
いずみとちえは媒介を得て、存在の重みを背負いながら、次なる試練へと歩み出す。
次章――**第25話「運営委員会と神緑都」**へ続く。




