第21話 救済の拡張
前書き
練習編の区切りを越え、二人の力は新たな段階へ進もうとしていた。
ブラックホールの救済は、単なる病魔の吸収を超え、未知の物質や感情へと拡張される。
本文
ちえはSTAGEA ELS-02Xを奏でた。
低い和音が響き、黒い渦が広がる。
これまで吸い込んできた病魔や負の感情だけでなく、人類未到達の物質が渦に引き寄せられていく。
古代の記録に眠る鉱石、未来の科学がまだ発見していない粒子――それらが渦に飲み込まれ、回復の光へと変わった。
「これは……救済の拡張」
ちえは震える声で呟いた。
いすみはYAMAHA CFXを奏で、星々を生み出した。
「ど・み・そ・ふぁ」――音が光となり、創造の力が広がる。
ちえの渦といすみの星々が交差し、空間に複雑な模様を描いた。
楽器たちは親友のように語りかける。
• YAMAHA CFX:「創造は未来を描く。だが、救済がなければ孤独に終わる」
• STAGEA ELS-02X:「救済は過去を癒す。だが、創造がなければ停滞に沈む」
法水槽の脳廷が脈動を強めた。
「救済は拡張された。だが、均衡はまだ示されていない。
創造と救済を重ね、愛の総和を満たせ」
二人は互いの名を呼び合った。
「いずみ」
「ちえ」
その声が橋となり、愛の総和が少しずつ満ちていく。
鐘が九度鳴った。
救済の拡張は、次の試練への扉を開いた。




