第18話 媒介なき危険
前書き
創造と救済は並び立った。
だが、媒介を忘れれば存在そのものが削がれる。
法水槽の脳廷は、その危険を二人に突きつけた。
本文
いずみはYAMAHA CFXを前にして、ふと『のぶしつ』を置き忘れたまま鍵盤に指を置いた。
「ど・み・そ・ふぁ」――音が光となり、星々が生まれる。
だが、その輝きはすぐに揺らぎ、空間に裂け目が走った。
彼女の指先が冷たく痺れ、存在が薄れていく感覚が迫った。
「いずみ!」
ちえは叫び、STAGEA ELS-02Xを奏でた。
黒い渦が生まれ、裂け目を吸い込み、回復の光を残す。
だが、彼女の力も不安定に震え、媒介なしでは暴走の危険があった。
法水槽の脳廷が脈動を強めた。
「媒介を忘れれば、存在は削がれる。
創造は消滅に傾き、救済は暴力に傾く。
均衡は媒介によってのみ保たれる」
楽器たちは親友のように語りかける。
• YAMAHA CFX:「媒介なしでは、音は刃となる」
• STAGEA ELS-02X:「媒介なしでは、渦は呪いとなる」
いずみは震える手で『のぶしつ』を握り直した。
「私は……消えてしまうところだった」
ちえは涙を浮かべ、彼女の手を強く握った。
「媒介を忘れないで。あなたの存在は、私にとって必要だから」
鐘が六度鳴った。
媒介なき危険を知った二人は、次の試練に備える決意を固めた。




