第14話 母と妻の衝突の試練
前書き
6次元の試練は、母の愛と妻の愛の衝突を昇華させることにある。守る力と与える力は時に矛盾し、互いを傷つける。だが、その矛盾を抱え込むことこそが愛の成熟へとつながる。いすみとちえは互いに立ち向かい、出口に待つ【法水槽の脳廷】――ダム的法廷へと歩みを進める。そこでは、愛の総和が十分に満ちたときだけ次元を解放する裁定が下される。
本文
光の層が揺れる空間で、いすみとちえは向かい合った。
「わたしは妻の愛を信じる。与えることがすべてだ」いすみは水差しを抱きしめ、声を震わせた。
「私は母の愛を信じる。守ることがすべてだ」ちえはノートを掲げ、眼鏡を外した。
二人の言葉は交錯し、空間に波紋を広げる。与えることと守ること――その矛盾が、互いを突き刺す。
王たちの声が再び響いた。
ロジカは冷たい硝子の瞳で告げる。「秩序を保ちながら、矛盾を抱えよ」
ヒューモは琥珀の瞳で微笑む。「遊び心を忘れるな。衝突の中にも笑いを見いだせ」
パラドクスは挑発的に囁く。「矛盾を恐れるな。母と妻の愛は同じ根から生まれる」
メタリカは蜂蜜色の瞳で告げる。「守る力と与える力を併せ持て。鋼と水を一つにせよ」
いすみは涙を流しながら言った。
「与えるだけでは足りない。守る力も必要だ」
ちえは震える声で応えた。
「守るだけでは足りない。与える心も必要だ」
二人の言葉が重なった瞬間、光の層が強く輝き、遠くに巨大な扉が姿を現した。そこには【法水槽の脳廷】――ダム的法廷が待っていた。オリハルコンの壁が静かに脈動し、愛の総和をため込んでいる。
「出口はここだ。だが、まだ満ちてはいない」水槽の脳の声が低く響く。
「母と妻の愛を昇華させ、ビッグクランチを示せ。そのとき、ダムは開かれる」
いすみとちえは互いの名を呼び合い、歩みを進めた。名前は旗ではなく橋。呼び合うたび、愛の総和は少しずつ満ちていく。
泉の鐘が鳴り、試練の終わりと出口の裁定が近づいていた。




