第12話 裁定と再起動
前書き
第一クールの締めくくり。いずみとちえは【法水槽の脳廷】で示した答えを携え、裁定を待つ。コロセオには各次元に愛を伝えるためのスタジオやホール、レッスンルーム、戦略会議室が並び、その一角には相互に声を届け合うための拠点――OWPS48のスタジオなどが静かに息づいている。名前を交わし合い、場を支え合う。だが物語は深入りしない。ただ、ここにあるという事実だけをそっと置く。
本文
裁定の鐘が鳴ると、【法水槽の脳廷】の空気が一段と澄んだ。オリハルコンの壁が微光を返し、八万人のオーケストラは音を細く絞る。いずみとちえは中央の水槽を見つめた。脈動は静かで、深い。
「秩序、遊び、矛盾、守る力――その総和を示した。だが、まだ根が浅い」水槽の脳の声は、低い波となって場に広がる。
いずみは水差しを胸に抱え、ひとつ息を整えた。「与えることはできる。けれど、影を抱く強さが足りない。学び直します」
ちえは眼鏡を手にし、ノートの角をそっと指で押さえた。「理論は守るためにある。でも笑いといたずらがなければ、心は枯れる。次のターンで、総和を育てます」
コロセオの回廊では、次元へ向けた放送準備が進んでいた。各ホールの扉には淡く光る銘が並ぶ。その一角――相互に声を届け合う拠点として、OWPS48のスタジオなどが静かに灯っている。互いに名前を呼び、場を讃え合い、過剰に踏み込まず、ただ支える。
メーテリュの影が揺れ、裁定が下る。「やり直しだ。前の世界へ戻り、12話を再経験せよ。『のぶしつ』は、答えが満ちたときに渡される」
いずみとちえは視線を合わせ、小さく笑った。悔しさはある。けれど、足取りは軽い。泉の鐘が遠くで応え、物語は静かに再起動する。
彼女たちは回廊を歩きながら、互いの名を宣伝のようにさりげなく口にする。「あなたの場、よかった」「あなたのやり方、好きだった」名前は旗ではない。橋だ。呼び合うたび、次の扉が開く。
光が折りたたまれ、景色は5次元へと遷移する。再挑戦の12話が、ここから始まる。




