第11話 法水槽の脳廷
前書き
試練の舞台はついに姿を現す。メーテリュの法廷――【法水槽の脳廷】。オリハルコンで築かれたコロセオに、八万人のオーケストラが集い、愛の調べを奏でる。信者たちはその響きを見守り、次元の人々はスタジオやホールを通じて愛を伝える。扉には『OWPS48プロジェクト』の刻印が輝き、ここが制度と愛の交差点であることを示していた。いずみとちえは、この場で自らの答えを示さねばならない。
本文
コロセオの扉が開いた瞬間、いずみとちえは圧倒される。
オリハルコンの壁が光を反射し、八万人のオーケストラが一斉に音を奏でる。その響きは単なる音楽ではなく、愛の調べそのものだった。観客席には信者たちが並び、静かに祈るように耳を傾けている。
中央には巨大な水槽があり、その中で「脳」が静かに脈動していた。これが法廷の裁定者――水槽の脳。彼の問いが、次元を超えて人々に投げかけられる。
「お前たちは、愛を学んだか。秩序、遊び、矛盾、守る力――その総和を示せ」
いずみは水差しを抱きしめ、震える声で答えた。
「わたしは、与えることしか知らなかった。でも、与えるだけでは足りないと知った。愛は、相手の影も受け止めるものだと」
ちえは眼鏡を外し、ノートを掲げた。
「私は理論で守ろうとした。でも、理論だけでは救えない。愛は秩序と矛盾を抱え、遊び心と守る力を併せ持つ。その総和が、人を救う」
水槽の脳は静かに脈動し、オーケストラの音が一段と高まった。観客席の信者たちが息を呑み、スタジオの扉に刻まれた『OWPS48プロジェクト』の文字が輝きを増す。
その瞬間、メーテリュの声が響いた。
「まだ不十分だ。だが、確かに歩みは始まった。次の試練へ進め」
いずみとちえは互いに目を合わせ、小さく頷いた。愛の調べはまだ続いている。だが、その響きは確かに二人の心を変え始めていた。




