カフェ「マロニエ」
のぞみがカフェ「マロニエ」でバイトを始めて1ヶ月が過ぎていた
店の扉が開くと、店内に優しいベルの音が響いた。
のぞみはカウンターの奥で、丁寧にコーヒーを淹れていた。
「いらっしゃいませ——」
顔を上げた瞬間、のぞみの表情が 少しだけ複雑なもの になる。
そこにいたのは、やっぱり——ゆう。
「やっ、のぞみさーん」
ゆうは にっこりと満面の笑み を浮かべながら、いつもの席へ向かった。
のぞみは 呆れたような、それでいて嬉しそうな 表情を浮かべる。
「もう、ゆう君ダメよ。コーヒーも高いんだから、毎日来たら お金がなくなるよ?」
一応 注意する素振り を見せるのだが、
内心では ゆうがこうして毎日顔を見せてくれるのが、たまらなく嬉しかった。
「いいじゃん。のぞみさーん」
ゆうは 甘えたような声 で言いながら、カウンター越しにのぞみに ベタベタと絡む。
のぞみは 「もう、仕方ないなぁ」 というように、
ちょっと頬を赤らめながら 軽くため息をついた。
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ママの質問と、のぞみの秘密
カウンターの向こうでは、マロニエの ママ がのぞみをじっと見つめていた。
「のぞみちゃん」
「はい?」
「ちょっと、こっち来て」
のぞみは 怪訝そうに しながらも、手を拭きながらママの近くへ行った。
「ねえ、あの子……誰なの?」
ママは ちらりとゆうの方を見て、興味深げに小声で尋ねた。
「えっ……」
のぞみの顔が 一瞬で赤くなる。
「いや、その……あの……」
もじもじしながら、のぞみは 小さな声で答えた。
「……年下の、ボーイフレンド……です」
「ええっ!? のぞみちゃんに こんなに可愛い年下の彼氏がいたの!?」
ママは 驚きつつも楽しそうに微笑み、
「へぇ、いいわねぇ」と 感心したようにうなずいた。
「しかも、毎日通ってくるなんて、あの子、本当にあなたに一途なのねぇ」
「……そうなんです。もう、困っちゃいます」
のぞみは そう言いながらも、目尻が下がっていて、
どう見ても 嬉しそうにしか見えなかった。
「いやぁ、羨ましいわ〜。いいわね、可愛い年下の彼氏」
ママは 心底羨ましそう に言い、
のぞみは さらに顔を真っ赤にしてしまった。
⸻
ゆうは のんびりとした様子 で、のぞみのバイトが終わるのを待ち続けた。
そして、閉店時間。
のぞみが 仕事を終えて店の奥で着替えている間、
ゆうはマロニエの外で待っていた。
やがて、店のドアが開き、のぞみが出てくる。
制服から カジュアルな私服に着替えたのぞみ は、
さっきまでのバリスタ姿とは違い、
どこか 柔らかく、親しみやすい雰囲気 になっていた。
「お待たせ、ゆう君」
「うん」
ゆうは、のぞみの隣に 自然に立ち、
そして—— そっと手を伸ばし、のぞみの手を握った。
のぞみは一瞬 驚いた顔 をしたが、
すぐに 小さく微笑み、ゆうの手を握り返した。
二人は 並んで歩き始める。
マロニエの最寄り駅へ向かうその 後ろ姿 を、
マスターとママが 店の中から暖かく見守っていた。
「ふふっ……あの二人、本当にお似合いね」
ママが優しく微笑む。
「まったくだ」
マスターも 小さく頷きながら、
遠ざかる二人の背中を 静かに見送っていた——。
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
なっちゃん:はぁ〜…のぞみちゃんにデレデレのゆう君、ほんま見ててこっちが呆れるわぁ。あんなん毎日カフェ通いよるんやけん、財布スッカラカンになるんちゃうん?
カナちゃん:せやで!コーヒー代より恋心のほうが勝ってもうてるわ。しかもママに「年下のボーイフレンド」って自分から言うて、のぞみちゃん顔まっかっかやん。もう手ぇ繋いで歩く姿とか、完全に「カフェラテより甘い二人」やで。
なっちゃん:ゆう!お前学校行っとんか!!?毎日毎日カフェ寄っとる場合か!のぞみちゃんにベタベタやないか!こりゃいくら圧倒的美貌の悠依でも、ゆう君を崩すんは無理やろ。
カナちゃん:ほんまやで。悠依ちゃんの存在なんか霞んでしもてるわ。今のゆう君、のぞみちゃんしか見えてへん。たとえるならやな、視界にフィルターかかっとって「のぞみカラー」しか映らへん状態や。
なっちゃん:そうそう、あの帰り道で手繋ぐ瞬間な、あれはドラマのワンシーンみたいでズルいんよ。見守るマスターとママまで、親みたいな顔しとったけんね。
カナちゃん:じゃあここで恒例、視聴者からのお便り読んでいきましょか!
なっちゃん:はいはい、一通目。「ゆう君、まるで犬みたいに毎日ご主人を待っとるようで可愛いです。でものぞみちゃんも困った顔して喜んでるのが、また最高です」…これ、犬って言われとるでゆう君。
カナちゃん:わかるわぁ〜。尻尾は見えへんけど、心の中では全力でブンブン振っとるで。
なっちゃん:次はXからのコメント。「ゆう君、課金ゲーの廃課金勢みたい。毎日コーヒーに石(お金)割って推し活してる」…これ上手いこと言うとるわ!
カナちゃん:せやなぁ。ほんまの推し活やもん。のぞみちゃんが推しでありヒロインであり、もう「SSRのぞみ」を毎日引き当てとる気分なんやろな。
なっちゃん:「二人が駅まで歩く姿、まるで夕焼けに溶ける恋人たちの影絵みたいで胸が締め付けられました」ってお便りも来とるよ。
カナちゃん:ええ表現やなぁ〜!ほんまに影絵やった。あの距離感、見守る大人らも含めて、映画館のスクリーンに映し出したいくらいや。
なっちゃん:ほかにも「のぞみちゃん、もう困ってますって顔やけど、笑顔の方が勝っとる」「ゆう君、年下やのに男らしさ感じる」とかぎょーさん届いとるわ。
カナちゃん:みんな見抜いてるなぁ。困った言うても、心ん中じゃ舞い上がっとるもん。そらもう、コーヒーの湯気より熱々やで。
なっちゃん:結論。ゆう君、学校はサボっとるかもしれんけど、恋は全力登校中!やな。
カナちゃん:それや!黒板の一番上に「のぞみ」って書いて、毎日丸付けしとるわ。
なっちゃん:次回も視聴者のみんなからの鋭いつっこみ、どんどん待っとるけんね〜!
カナちゃん:ほな、またお会いしましょ!




