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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第四部-1章 激動のゆうの高3生活
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静かなる登校日

ゆうは数日ぶりに学校へ向かった。

のぞみとの再会を果たし、心の霧は晴れたが、それでも学校に行くのは少し憂鬱だった。

あれだけ世間を騒がせた 悠依とのスキャンダル。

ネットであの写真が出回り、ゆうの顔も知れ渡ったはずだった。


——教室に入った途端、周りの目が突き刺さるんじゃないか。

——噂話が飛び交い、冷やかしの言葉を浴びせられるんじゃないか。


そう覚悟していたが—— 意外にも、何も起こらなかった。

誰も、ゆうに対してスキャンダルのことを言ってこない。

視線すら感じないほど、クラスの空気は平静だった。


(……どういうことだ?)


違和感を抱きながら席につこうとしたその時——


「ゆう君、ちょっといい?」


聞き覚えのある声に呼び止められた。

声の主は、ラブポーションのリーダー 愛 だった。



愛は、以前ゆうに詰め寄った時のような 圧迫感 を少しだけ和らげていた。

だが、その鋭い目つきと冷静な口調には、相変わらずの威圧感がある。


「まずは……悪かったわね。」


ゆうは思わず 「え?」 と聞き返した。


「私たちは、学校の生徒が余計な詮索をしないように ラブポーションの影響力 を使ったわ。

 でも、マスコミにまで気が回らなかった。……結果的に、あなたに迷惑をかけた。」


愛は、自分たちの力が 学校内でしか通用しなかったこと を悔いているようだった。


「……まあ、マスコミの件は置いといて。」


愛は ゆうをじっと見つめる。


「とりあえず、学校内では安心していいわ。

 この件について話す奴は、もう誰もいない。私たちがそう指示したから。」


その言葉の 圧 に、ゆうは思わず 息を呑む。


(……すごい影響力だ。)


生徒全員に 暗黙の圧力 をかけ、悠依のスキャンダルは 「無かったこと」 になったのだ。

一体、どれほどの統制力を持っているのか—— ゆうは、改めてラブポーションの恐ろしさを実感する。



「それで——」


愛が話を切り替える。


「悠依さんが、あなたと話したいって。音楽室で待ってる。」


ゆうは ぎくり とした。


(……悠依が?)


「来てもらえるかしら?」


愛は、 「断る選択肢はない」 という雰囲気を醸し出している。

だが、以前のように 命令口調 ではない。


(……どうする?)


悠依は何を話そうとしているのか。

そして、ゆうはそれを 聞くべきなのか——。


静かすぎる教室で、ゆうの心臓の音だけが響いていた。


悠依の待つ場所へ


「……悠依さんが僕に何の用なの?」


ゆうは、愛にそう尋ねた。

正直なところ、悠依と関わることで また何か騒ぎが起こるのでは という不安が拭えなかった。

すでにあのスキャンダルで のぞみとの関係は危うくなりかけた。

これ以上、悠依に近づくのは危険だと思っていた。


「それは……私も知らないわ」


愛は腕を組み、少し考え込んだ。


「でもね、悠依さんがあなたのことを 『気になる』 って言ってたのは事実よ」


「……気になる?」


「そう。悠依さんは自分から男に興味を持つタイプじゃない。

 あんなことを言ったのは、今回が初めてかもしれないわ」


愛の言葉に、ゆうは なんとも言えない違和感 を覚えた。

悠依が自分を気になる……?


(そんなわけない……あの時、悠依は僕に好意があるとは思えなかった……)


だが、悠依がもし本気で自分に興味を持っているのだとしたら……?


「……まさか、あんた 彼女がいるの?」


突然、愛の目が鋭くなり、ゆうの顔を覗き込んできた。


「そ、そんなこと……」


(言えるわけない……!)


「……まさか…いないよ」


そう、ゆうは静かに答えた。

愛は少しの間、じっとゆうを見つめたが、やがて「ふぅん」と興味なさげに目をそらした。


「ま、いいわ。行きましょう」


そう言って、ゆうを促した。



音楽室の扉を開く


ギィ……


静寂の廊下に、音楽室の扉が開く音が響いた。


ふわっ——


途端に、濃密な香水の香り がゆうの鼻を突く。

甘く、妖艶な香り—— まるで夢の中に迷い込んだかのような錯覚 を覚える。


そして—— そこに立っているのは、背中を向けたひとりの女子生徒だった。


圧倒的なオーラ。

その場の空気すら支配するような存在感。


(……悠依だ)


誰であろうと、迷うはずがなかった。


彼女は 何も言わずに、ただそこに立っているだけなのに—— 息苦しくなるほどの威圧感 があった。


「連れてきました、悠依さん」


愛がそう言うと、悠依はゆっくりと振り向いた。


——スローモーションのように。


まるで映画のワンシーンのように、悠依の 美貌 がゆうの視界に現れる。


その瞬間、ゆうは 息を呑んだ。


(すげぇ……)


画面越しではなく、間近で悠依を見ると その美しさは異次元 だった。

肌の輝き、瞳の吸い込まれるような色、そして紅を引いた唇——

彼女の 全てが完璧 だった。


その瞳が、真っ直ぐにゆうを捕らえる。


「…………」


言葉が出ない。


ゆうはただ 悠依の存在感に圧倒される ばかりだった。


愛は 静かに、音を立てないように 音楽室から出て行った。


残されたのは——


ゆうと、悠依。


そして、張り詰めた 二人だけの空間 だった。


悠依の宣言


音楽室には、二人きりの静寂が広がっていた。


悠依はゆうを見つめ、まっすぐに口を開く。


「まずは……写真の件、迷惑をかけたわね」


その声は 落ち着いていて、どこか余裕のある響き を持っていた。

喋り方はどこか上から目線だったが、ゆうが想像していたほど 高圧的ではない。


「……いえ、僕は別に」


「いいのよ、遠慮しなくて。だってあなた……相当、辛かったでしょう?」


悠依の 鋭い瞳がゆうを射抜く。

ゆうは言葉を詰まらせた。


「大丈夫よ。スキャンダルの件は、うちの事務所が 完全に抑えた から」


「……抑えた?」


「ええ。どのメディアも、もうこの話題を扱うことはないわ」


それは、悠依の所属する 芸能事務所の圧倒的な影響力 の賜物だった。


(……すごい世界だな)


ゆうは、週刊誌アクションが 報道後に休刊に追い込まれた という話を思い出し、背筋が寒くなるのを感じた。

この子の後ろには、 とんでもない権力がある……。


悠依は一歩、ゆうに近づいた。


「ねぇ、あなたは……今、私に興味がないのよね?」


ゆうは ドキリとする。


「前に、私と一緒に歩いた時……あなた、全然 喜んでいなかった もの」


悠依の瞳は じっとゆうを見つめている。

その美しい顔に、ほんのわずかだけ 寂しさ が滲んでいた。


「……えっと」


「いいのよ、正直で」


悠依は ふっと微笑んだ。


「でもね、いつか あなたは私のことしか見えなくなるようになる」


その言葉は とても自然に、けれど確信に満ちた声 だった。


「私は、そう決めたことは必ずそうするの」


彼女の 美貌と自信に満ちた瞳 が、まるでゆうを飲み込むようだった。


「そのためには どんなことでもする から」


——その言葉が、ゆうの耳に強く残った。


悠依は、小さな包みをゆうの手にそっと押し付けた。


「これは お詫びの印 よ。ちゃんと取っておきなさい」


そう言って、悠依は 音楽室を去って行った。


カツン、カツン——


ヒールの音が、静かな室内に響く。

そのまま悠依は、何も言わずに扉の向こうへと消えていった。



手渡された包み


悠依が去ると、入れ替わるように 愛が音楽室に入ってきた。


「終わった?」


「……あぁ」


ゆうは、まだ悠依の存在感を引きずっていた。


「で、それ何?」


愛が、ゆうの手にある包みを指さす。


「……さぁ?」


「開けてみなさいよ」


ゆうは 包みを開いた。


すると、そこに入っていたのは—— クッキー だった。


「……これ、まさか?」


「そう、悠依さんの手作りよ」


ゆうは驚いた。


「悠依が……クッキーを?」


「あんた、悠依さんのこと 冷たい女 だと思ってるでしょ?」


「……まぁ、ちょっとは」


「意外とそうでもないのよ」


(……信じられないな)


あの 完璧な美貌の女神 が……?


「まぁ、せいぜい大事にしなさいよ」


愛は 楽しそうに笑いながら 言った。


ゆうは、手の中のクッキーを じっと見つめた。


(悠依……一体、何を考えているんだ?)


「さ、食べてみなさいよ」


愛が促す。


ゆうは一つ手に取り、口に運んだ。


——バリッ……


(ん……?)


なんとも言えない 微妙な硬さ。

そして、味は 驚くほど淡白 だった。


「……あんまり甘くないな」


「でしょ!? だから言ったのよ、砂糖の量はちゃんと入れてって!」


愛は、明らかに 呆れた顔 でため息をついた。


ゆうは、クッキーをもう一口かじった。


——甘みがほとんどない。


(悠依……こんな味でいいと思ったのか?)


ここまでして、なぜ自分に渡したのか。


なんで悠依のような 「100年に一人の女神」 が、

自分のような どこにでもいる普通の高校生 なんかに……?


「ほら、早く食べちゃいなさいよ」


「……家に持ち帰るわけにもいかないしな」


ゆうは、愛と二人で クッキーを全部食べることにした。


——ボリボリ……


二人して 微妙な顔 をしながら、黙々と食べる。



帰り道、のぞみに思いを馳せる


クッキーを完食した後、愛が言った。


「……よし、もう一度 ちゃんとレクチャーしておくわ」


「いや、しなくていいから」


ゆうは、即答した。


愛は「なんでよ?」と不満げに口を尖らせたが、

ゆうの 複雑な表情 を見て、何も言わずに肩をすくめた。


ゆうは、悠依のことを考えれば考えるほど 訳がわからなくなってくる。


彼女は、なぜ自分にここまでしてくるのか?何が目的なのか?

あのクッキーを作るために、わざわざ愛にレクチャーを頼んでまで……?


けれど、ゆうの心は 別の場所にあった。


(僕は……のぞみのことしか考えられないよ)


悠依のクッキーを食べ終えた帰り道、

ゆうはただ、遠くの空を見上げながら のぞみのことを思い続けていた——。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん「カナちゃん……悠依ちゃん、なんであんな動きしとるんやろね?わざわざ音楽室呼び出して、手作りクッキーまで渡すとか……普通じゃないやろ」


カナちゃん「ほんまやで!あんなん恋する乙女のやることやけどなぁ……目つきとか態度はちゃうねん。ゆう君を見る目が、胸きゅんって感じやなくて、何か計算してるっぽいんよ」


なっちゃん「そうよな?わたしもそう思ったんよ。ただの『好き』って感じやない。むしろ駒を動かすみたいな目ぇやったもん」


カナちゃん「せやせや。やからわたし“企み説”に一票やな。クッキーもな、味が微妙やったらしいけど、それも試しに渡したんちゃう?反応見たろって」


なっちゃん「ひえ〜!ほんまや……!あれはただのプレゼントやない、心理テストかもしれんよな。『どんな顔で食べるか』で、ゆう君の性格を見抜こうとしとるんかも」


カナちゃん「なんかスパイ映画みたいになってきたで……!でもさ、悠依ちゃんって芸能界背負っとるんやろ?なら高校生のゆう君と結びつくメリット、めっちゃ薄いんちゃう?」


なっちゃん「それよ!そのメリットが見えんのよ。普通の恋愛感情やないとしたら、別の狙いがあるはずやけん……事務所の思惑とか、ゆう君を利用したい理由とか……」


カナちゃん「おお〜出た出た陰謀論!でもな、わたしも案外ありえると思うわ。せやないと、あの自信満々な『あなたはいつか私しか見えなくなる』発言、説明つかへん」


なっちゃん「ぞわぁ〜……聞いただけで鳥肌立つやん……!愛の告白やなくて宣言やもんね。あれは脅迫じみとるわ……」


カナちゃん「あー!気になる!ほんま悠依の真意、番組の特集で掘り下げたいくらいや!」


なっちゃん「そうよ!悠依特集組まないかんわ!」


カナちゃん「じゃ、ここでリスナーはがき紹介しよか!」


なっちゃん「はい!東京都“星空プリンさん”から」

なっちゃん「『悠依さんのクッキーの場面、私は怖かったです。お菓子なのに甘くなくて、彼女の愛情が足りないみたいに感じました』」


カナちゃん「わかる!クッキーって普通甘いもんやのに、塩気とか無味やったら“愛の砂糖”が抜けてるんや!」


なっちゃん「続いては大阪府“なみだ川さん”」

なっちゃん「『悠依ちゃんが「どんなことでもする」って言ったの、鳥肌が立ちました。あれは恋じゃなくて支配だと思います』」


カナちゃん「せやろせやろ!わたしも『ラブポーション』ちゃう、『ドミネーション』や思ったもん!」


なっちゃん「続いてXのコメント紹介するよ!“@cookiehunter”さんから!」

なっちゃん「『クッキー手作りって、わざわざ庶民的なことをすることで距離を縮めようとしてるのかな?でも味が微妙だったのが逆に怖かったです』」


カナちゃん「それ!女神がわざわざ泥に足突っ込む感じや!普通はやらんことを“戦略”でやってるっぽい!」


なっちゃん「“@nozoyu\_lover”さんから!」

なっちゃん「『クッキーの甘さより、のぞみちゃんとの未来の方が甘いんだから、ゆう君は大丈夫!』」


カナちゃん「きゃー!名言やん!“未来のケーキ”に勝る甘さはないんや!」


なっちゃん「まだまだ読むよ!“@maboroshi\_drop”さん!」

なっちゃん「『悠依さんの存在感が圧倒的すぎて、クラスの子たちも口を噤んだんじゃないですか?まるで教室ごと支配されてる感じでした』」


カナちゃん「ほんまや!教室が舞台みたいになっとった!全員エキストラにされとるんや!」


なっちゃん「“@namida\_candle”さん!」

なっちゃん「『甘くないクッキー=甘くない未来、って暗示だったらどうしようと震えました』」


カナちゃん「うわぁああ!その発想怖すぎる!甘さゼロ未来なんて絶対あかん!」


なっちゃん「……ふぅ……結局わたしたち、悠依ちゃんの本当の目的は分からんかったね」


カナちゃん「せやけど、少なくとも一つ分かったことあるで。のぞみちゃんとゆう君の絆は、悠依のクッキーより何百倍も甘い!」


なっちゃん「そうよ!のぞゆうの未来はシュガーたっぷりやけん!」


カナちゃん「せや!のぞゆうは幸せケーキや!」


なっちゃん「……あー、でもやっぱ気になる!悠依ちゃん、何するつもりなんやろうねぇ……」


カナちゃん「わたしも気になって寝られへんわ!視聴者のみんな、続報一緒に見守ろなー!」

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