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手紙の秘密

― 1月18日、西元山駅


冷たい空気がホームを覆っていた。吐く息が白く浮かび、まだ冬の朝の匂いが濃く残っている。

ゆうはいつもの場所――前から二両目、二番目のドア前に立ち、急行を待っていた。


心臓の奥に、昨日の影がまだ残っている。


(ゆう心の声)

「昨日、のぞみさんの横に立ったあの男子……今日も来るんだろうか?もしまた現れたら……」


胸の奥に広がるのは、期待よりも不安だった。

電光掲示板が点滅し、アナウンスが響く。


――まもなく、急行難法行きがまいります。


ゆうは思わず周りを見渡した。

けれど、まだ彼女の姿は見えない。

鼓動が早まる。だがその時、ホームに滑り込む車両のガラスに小さな影が映った。


(ゆう心の声)

「……来た。のぞみさん、今日も来てくれた……」


胸の奥がふっと温かくなる。

昨日の不安を一瞬で打ち消すような光景。

それでも、目は自然と周囲を探してしまう。――昨日の男子の姿を。


(ゆう心の声)

「……いない。よかった……」


ドアが開き、人々が吸い込まれるように乗り込んでいく。

ゆうもその流れに混じって、車内へと入った。

視線は無意識に忙しく動き、あの男子を探す。

だが、今日は――いない。


ほっと胸を撫でおろす。


(ゆう心の声)

「大丈夫だ……今日は来てない。しかも、のぞみさんがすぐそばにいる……」


吊革を握る手に力がこもる。

ゆうは、のぞみの定位置であるドア横の手すりの近くに立った。

その距離は、手を伸ばせば届くほど近い。


電車が動き出すと同時に、のぞみも静かに吊革を掴む。

二人の間に流れる沈黙は、なぜか心地よくもあり、同時にくすぐったい。


車両は揺れ、窓ガラスに揺らめく光が差し込む。

その時だった。


のぞみが、コートのポケットに手を差し入れる。

白く細い指先から現れたのは、小さく折りたたまれた紙。

彼女は一瞬周囲をうかがい――そっと、ゆうのカバンの脇ポケットへ差し込んだ。


目を見開くゆう。

理解が追いつかない。

視線をのぞみに向けると――彼女は口元に小さな笑みを浮かべ、「ふふ」と息をもらした。


次の瞬間、まるで何事もなかったように、カバンから英単語帳を取り出し読み始める。

その自然さに、かえって心臓は暴れるように跳ねた。


(ゆう心の声)

「い、今……僕のカバンに……何かを……? のぞみさん、僕に……?」


視線は文字に向いているはずなのに、頭はまるで働かない。

耳まで熱を帯び、指先は汗ばむ。

電車の揺れがやけに大きく感じられる。


挿絵(By みてみん)


(ゆう心の声)

「なんだろう……手紙?いや、でも……僕に?」


のぞみは相変わらず穏やかな横顔で単語帳をめくる。

その表情は秘密を隠したまま、決して何も言わない。


やがて電車は速度を落とし、アナウンスが響く。


――終点、難法です。


ドアが開いた瞬間、人波が一斉に動き出す。

のぞみはいつも通り、右の改札へ歩いていく。

その背中は振り返らず、けれどどこか柔らかな余韻を残していた。


ゆうはホームに降りながら、ただひたすらにカバンの脇ポケットの存在が気になって仕方ない。

手を伸ばし、探る。

指先が、四つに折られた紙に触れた。


胸の鼓動がさらに早まる。

震える手でゆっくりと開いていく。


そこに記されていた文字は、短く、けれど真っ直ぐに――


「昨日のあいつは、知らない人なの。心配させてごめんね。」


目の前が揺らぐような感覚に襲われる。

ホームは人でごった返し、足音やアナウンスが交錯する。

だがゆうの世界は、その小さな紙に支配されていた。


(ゆう心の声)

「のぞみさん……これは昨日のことを書いてくれてるんだ。あの男子……やっぱりナンパだったんだ……だからあんな顔してたんだ……」


喉の奥が熱くなる。

そしてふと気づく。


(ゆう心の声)

「……僕の方を、あの時見てたのは……彼氏だと思われたくなかったから?誤解してほしくなかったから……?」


全身に電流が走るような感覚。

のぞみがゆうの事を気にしていないのなら、何も伝えなくてもよかったはず。

けれど、わざわざ手紙を書き、手渡した。


(ゆう心の声)

「それって……僕のことを気にしてくれてるってことじゃないか?……これって、脈、あるんじゃ……」


頬が自然とゆるむ。

止めようとしても止められない。

浮かんだ笑みは、消せるはずがなかった。


ゆうは震える指先で紙を大事に畳み直し、分厚い教科書の間に挟み込んだ。

まるで宝物を守るように。


そして左の改札へと歩き出す。

胸の奥に芽生えた光は、まだ小さいが確かな熱を放っていた。

挿絵(By みてみん)

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん「いや〜!今日のシーン、見た?のぞみちゃんがな、ポケットから小さい紙を出して、そーっとゆうくんのカバンに入れたんよ!」


カナちゃん「見た見た!あれはもう心臓止まるやろ!?ほんで“ふふっ”て微笑むとか、あれはもう殺しにきてるで。女子の必殺技やん!」


なっちゃん「ほんまよ!あんなん松山でやられたら、一週間は寝られんよ?ゆうくん、もうドキドキしとったに決まっとる!」


カナちゃん「しかも手紙の中身がさ、“昨日のあいつは知らない人なの。心配させてごめんね”やで!?これはもう、めっちゃ気にしてます宣言やん!」


なっちゃん「うんうん!だってよ、わざわざ“心配させてごめんね”って書くってことは、ゆうくんがどんな気持ちになっとるか考えてくれとるんよ!これ、脈あるやろ〜!」


カナちゃん「いや、完全に脈あるやつや。むしろ脈どころか、恋の鼓動やで!?ゆう君よかったやん!!」


なっちゃん「ほんとに!昨日の男子、生徒いうてもナンパやったんやろなぁ。あんとき嫌そうな顔しとったけん、のぞみちゃん、どう見られとるかめっちゃ気にしとったんよ」


カナちゃん「そうそう!“彼氏やと思われたら困る!”っていう乙女の焦りやん?それで次の日にすぐ手紙。もう行動力ありすぎて惚れるわ!」


なっちゃん「いや〜のぞみちゃん、しっかりしとるねぇ。普通は恥ずかしゅうて、なんも言えんのに」


カナちゃん「ほんでゆうくん!めっちゃ大事そうに手紙を教科書に挟んでたやん?折れんようにって。あれもかわいいわ〜」


なっちゃん「まっこと、初々しいわぁ。こりゃこの先、ますます目ぇ離せんよ!」


カナちゃん「次はゆうくんがどう動くかやな。ここからアプローチ返すんか、それともまだドキドキの片思いタイム続けるんか」


なっちゃん「うんうん!ほら、こうやってドキドキしながら距離が近づいていくんが、一番ええんよ」


カナちゃん「せやな〜!視聴者のみんなも言おか!せーの!」


二人「ゆう君よかったやん!!」

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