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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第三部-3章 のぞみ、大学生になる
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ゆうの憂鬱

夜の静けさの中、ゆうはベッドに横になりながら、今日の出来事を思い返していた。


――オムライス。のぞみさんの照れた顔。

――映画。二人の手が触れ合った瞬間。

――ポップコーン。

――そして、衝撃の免許取得のサプライズ。


のぞみが運転する姿、得意げに免許証を見せる表情、楽しそうに笑う横顔。すべてが鮮明に蘇ってくる。幸せな気持ちでいっぱいになりながらも、ゆうの心には一抹の不安がよぎった。


のぞみさんは、もう高校を卒業している。

免許を取って、新しい世界に踏み出している。

一方、僕はまだ高校生。

電車通学をし、車の運転すらできない。


ふと、考えてしまう。

のぞみさんにとって、僕はまだ子供なのではないか?

もっと大人っぽい人が現れたら、僕は――。


そう考えた瞬間、言いようのない寂しさがこみ上げてきた。

のぞみが遠くに行ってしまう気がして、胸が締めつけられる。


「……のぞみさんに、声が聞きたい。」


ゆうはスマホを手に取り、LINEの通話ボタンを押した。

深夜に突然の電話。のぞみさん、迷惑かな? そう思いながらも、指は止まらなかった。


――ピポパ ピポパ ピポパポ……


コール音が鳴る。

心臓がドキドキする。

出てくれるだろうか。


「……ゆう君?」


のぞみの声が、優しく響いた。


「ゆう君、どうしたの?」


スマホの向こうから聞こえるのぞみの声は、優しくて、少し心配そうだった。


ゆうは、ほんの少し迷った。でも、このまま一人で考え込んでいたら、ますます寂しさが募る気がした。


「……のぞみさん、今日、すごく楽しかったんだ。」


「うん、私も楽しかったよ。」


「でも……」


声が震えそうになるのをこらえながら、ゆうは続けた。


「のぞみさんは、どんどん新しい世界に進んでるよね。高校を卒業して、免許も取って、車を運転して……なんか、すごく大人になってるって思った。」


「……ゆう君?」


「僕は、まだ高校生で、電車通学しかできなくて……のぞみさんから見たら、子供っぽく見えたりしないかなって……。のぞみさんが、もっと大人の人といた方が楽しいって思ったら、僕……」


そこまで言ったところで、喉が詰まった。自分でも驚くほど、目に熱いものが込み上げてきて、涙がこぼれそうになる。


「……僕、のぞみさんが遠くに行っちゃう気がして、怖くなったんだ。」


言葉にした途端、涙が頬を伝った。電話越しでも、のぞみにはきっと分かる。


スマホの向こうが、しばらく静かになった。のぞみが何かを考えているのが伝わる。


そして、次の瞬間――


「バカ。」


のぞみの優しくて、少し叱るような声が聞こえた。


「なんでそんなこと考えちゃうの?」


ゆうは涙を拭いながら、スマホをぎゅっと握る。


「だって……のぞみさん、すごく大人になってるし、僕なんか……」


「ゆう君。」


のぞみの声が、いつもより少し低くなった。


「私が、ゆう君のそばから離れるわけないでしょ?」


「……でも」


「免許を取ったのも、大人になろうと頑張ってるのも、全部ゆう君と一緒にいたいからだよ。」


「……え?」


「ゆう君が高校を卒業して、もっと先の未来に進む時に、私がちゃんと隣にいられるように、私も成長したいって思ったの。」


のぞみの言葉が、胸の奥にじんわりと広がっていく。


「それにね……そんなことを言うゆう君こそ、全然子供っぽくなんかないよ?」


「……僕?」


「ちゃんと私のことを考えて、不安になったりするでしょ? それって、大切に思ってるからこそじゃない?」


「……そう、なのかな。」


「そうなの。」


のぞみは、くすっと笑う。


「でもね、ゆう君がそんなふうに考えてくれてるのは、嬉しいな。だって、それだけ私のこと、大好きでいてくれてるってことでしょ?」


「……うん。」


小さく頷くと、のぞみがさらに優しく語りかけてきた。


「だから、もう心配しないで。私は、ずっとゆう君のそばにいるから。」


のぞみの言葉は、まるで魔法みたいだった。さっきまで胸を締めつけていた寂しさや不安が、すっと消えていく。


「……ありがとう、のぞみさん。」


「うん。ちゃんと元気になった?」


「……うん。」


「よし、それなら、そろそろ寝よう?」


「うん……おやすみ、のぞみさん。」


「おやすみ、ゆう君。」


スマホを耳から離すと、ゆうは涙を拭いて、ふっと微笑んだ。


のぞみが隣にいれば、大丈夫。そう思いながら、そっと目を閉じた。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん「……はぁ!? ちょっと待ってや!!」


カナちゃん「な、なんやなんや、なっちゃん急に声デカいで」


なっちゃん「いやいやいや、今のシーンめっちゃ感動やったやん? ゆう君泣きよるし、のぞみちゃん優しく包んでくれるし……なのにや! なんで前わしらの出番飛ばすんよ!?」


カナちゃん「せやで! 脚本家さーん!!おい聞いとるか!? わざわざリボン結んで出番待っとったのに、スパーンてカットや!面倒くさがるなや!!」


なっちゃん「わしなんか、前口上で“今日は涙の夜やで~”って練習までしとったんぞ!」


カナちゃん「なにそれ! でも確かにええタイミングやったのにな。ゆう君、あれ完全に泣き虫スイッチ入っとるやん。ティッシュ片手にベッドでゴロゴロしてる姿、想像したらもう赤ちゃんやで」


なっちゃん「ほんまや。『……のぞみさんに、声が聞きたい』言うて電話かけるとか、恋愛ドラマの教科書にそのまま書いてあるんか思たわ」


カナちゃん「けどな、のぞみちゃんがまたええこと言うんや。“免許も大人になろうとしてるのも、全部ゆう君と一緒にいたいからや”って。あれズルいで! 心のカギ全部開けられるやん!」


なっちゃん「そらゆう君も泣き崩れるわな。あんなん、雨戸に穴開いても入ってくる夏のセミみたいやで。情熱が止まらん!」


カナちゃん「例えヘタやな!? でもまぁ、そんくらい切実ってことやろ」


なっちゃん「そうそう。あ、そういや視聴者からもコメント来とるんよ。読んでみるわ」


カナちゃん「おっしゃ、待ってました!」


なっちゃん「“ゆう君、かわいすぎる。あんな電話されたら一生守りたくなる”」


カナちゃん「せやろなぁ! あれは子犬やで。夜中にクゥンクゥン鳴いて抱っこ求める子犬」


なっちゃん「次。“のぞみちゃんの『バカ』が優しすぎて、逆に泣いた”」


カナちゃん「分かる分かる! あの“バカ”は鉄板焼きの鉄板より温かい“バカ”や」


なっちゃん「言葉の温度計ぶっ壊れとるな」


カナちゃん「ほな次はウチ読ませてもらうで。“脚本家さん、ナレ多すぎて涙で文字見えへんやん!責任とって!”やて」


なっちゃん「ぎゃははは! 泣きすぎて読めんて、もう観客参加型アトラクションやん」


カナちゃん「もう一枚。“ゆう君、のぞみちゃんと結婚してベイビーできても絶対泣いてそう”」


なっちゃん「それはありえる! おむつ替えながら『僕なんかまだ未熟で……』言うて号泣や」


カナちゃん「せやけどそこがええんよ。泣き虫やけど、ちゃんとのぞみちゃんを想って泣いてるから、見てるこっちも胸打たれるんや」


なっちゃん「ほんまやな。あの二人、ラブストーリーの中で砂糖溶かしたホットミルクみたいや。甘くてあったかくて、夜更けに飲んだら眠れるやつ」


カナちゃん「ほらまた例え下手やけど、なんか分かるわ! 落ち着くんやな」


なっちゃん「というわけで、脚本家! 次は絶対わしらの出番飛ばすなよ! ほんまに、飛ばされたらこの番組、のぞみちゃんのクルマより速く暴走するけんな!」


カナちゃん「せやで! 次はワイらも泣き虫ゆう君に負けんくらい、しゃべり倒したるからな!」

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