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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第三部-3章 のぞみ、大学生になる
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のぞみの計画

夜の静けさが部屋を包み込んでいた。机の上には大学の教科書やノートが散らばっているのに、のぞみの視線はそこにはなかった。ベッドの上に横座りし、両手を膝に置いて小さく呼吸を整える。頭の中を占めているのは、ただひとつ――ゆうにどうやって免許を取ったことを知らせるか、そのことだった。


「どうしようかな……普通に言うのはつまらないし……やっぱり驚かせたいよね」

声に出すと、胸の奥の期待がさらに膨らむ。自分が運転席に座っていることを知らないゆう。その表情を想像するだけで、鼓動が少しずつ早まっていった。


「よし、これがいい!」

のぞみはポンと手を打ち、立ち上がった。決意が固まると同時に、体が自然と動いていた。


廊下に出て、夏美の部屋のドアを軽くノックする。

「夏美、ちょっといい?」


「ん? どうしたのー?」と中から声が返る。


のぞみはドアを開けて、遠慮もなく中へ入っていった。部屋には柔らかい香水の匂いが漂い、机の上には色とりどりのペンと漫画雑誌が広がっている。ベッドの上でスマホをいじっていた夏美は、急に入ってきた姉に目を丸くした。


「なに? 急に」

「実はね、ゆう君にサプライズを仕掛けようと思って」


その言葉に夏美の目がぱっと輝く。興味津々に身を乗り出した。

「サプライズ!? なになに、どんなの?」


のぞみは一呼吸置いてから、わざと少しだけ溜めを作り、夏美に打ち明ける。

「それはね……」


(のぞみは夏美にヒソヒソと話している)


「えええ!!!」

夏美は飛び上がる勢いでベッドから立ち上がった。両手を大きく振り回して、目を輝かせながら声を弾ませる。

「最高じゃんそれ! 絶対ゆう君びっくりするよ!!」


姉の計画に大喜びして、その場でぴょんぴょんと飛び跳ねる夏美。その無邪気な反応に、のぞみも自然と笑顔になった。


「でしょ? ふふっ」

のぞみは頬を染め、嬉しそうに微笑む。隠しておけないワクワクが声にも顔にもにじみ出ていた。


「駅でいつも通りバイバイすると思わせておいて……」

のぞみは言葉を区切りながら、胸に手を当てて息を弾ませる。

「そこから駐車場に連れて行って、父さんの車の前に立って……『実はね、ゆう君……』って切り出すの!」


言葉にするたびに胸が熱くなり、ドキドキと脈打つ心臓が強く存在を主張する。頭の中では、驚きで目を丸くするゆうの顔が鮮明に浮かんでいた。

「のぞみさん、まさか……!? って顔、絶対するよね」


「するする! もう絶対! サプライズ大成功間違いなしだって!」

夏美は大きく頷き、両手を叩いて喜んだ。その顔は、姉の幸せを心から応援している妹そのものだった。


でも、すぐに少し口を尖らせて、頬をぷくっと膨らませる。

「ていうか……いいなぁ。そのままドライブ行くんでしょ? ずるい」


のぞみはその姿に思わず吹き出した。

「もう、ちゃんと次は夏美も乗せてあげるから」


その言葉を聞いた瞬間、夏美の顔はぱっと明るくなった。

「ほんと!? 約束だからね!」

嬉しそうに指を差し出し、指切りを求めてくる。


のぞみも迷わずその指に自分の小指を絡めた。

「うん、約束」


二人の指が絡み合った瞬間、自然と笑い声がこぼれる。部屋の中には、姉妹だけの温かい空気が満ちていた。


心の奥で、のぞみは改めて強く思う。

——それにしても、ゆう君、どんな顔するかな……? 驚くだろうな、照れるかな、それとも言葉を失っちゃうかな。ちょっと緊張するけど、何より楽しみ!


胸の鼓動はもう抑えられないほど高鳴り、未来への期待で心がいっぱいに膨らんでいた。

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