揺らぐ信頼、青信号の先で
春の夕暮れ。高三になった新しいクラスにも慣れ、いつもの帰り道を歩いていたゆう。
桜の花びらが舞い落ち、アスファルトの上にまだら模様を描いている。
横断歩道の信号が赤に変わり、ゆうは立ち止まる。ふと、視線が何気なく正面の車列へ流れていった。
その瞬間、息が止まった。
ゆう心の声 ……あれ?助手席にいるの、のぞみさん?
LEXUS RX 500h の窓越しに見えた横顔。見間違えるはずがない。頬の線、長いまつ毛、桜色の唇。
確かに、のぞみだった。
だが次の瞬間、視線が運転席へ滑っていく。
ハンドルを握っていたのは、中年の男だった。髪には白いものが混じり、落ち着いた表情をしている。
その姿を見た途端、ゆうの心臓はドクンと大きく跳ねた。
ゆう心の声 ……え、誰……?随分と年上じゃないか……なんでのぞみさんが、そんな人と二人きりで……?まさか……いや、そんな……。
信号が青に変わる。
足が勝手に動くのに、頭の中は混乱でぐしゃぐしゃになっていた。
横断歩道を渡りながら、さっきの光景がフラッシュバックする。
助手席に座っていたのぞみ。隣にいた見知らぬ中年男性。
考えたくない想像が、心の隙間から忍び込んでくる。
ゆう心の声 ……のぞみさん、もしかして、僕と付き合うより前から……?いやいや、そんなはずない。でも……でも、もし……。
心臓はバクバクと暴れ、呼吸が浅くなる。胸の奥がざわざわして、吐き気にも似た感覚が込み上げる。
やっとの思いで自宅にたどり着き、靴も脱がずにベッドへ倒れ込んだ。
天井を見つめながら、思考は渦を巻く。
ゆう心の声 ……どうする?あれは誰なのか、のぞみさんに聞いた方がいい?でも、もし本当に僕の知らない関係だったら……。問い詰めた瞬間に、僕たちの関係、壊れてしまうんじゃ……?
信じたい気持ちと、疑う心。両方が頭の中でせめぎ合い、時間だけが虚しく流れていった。
そして夜。
静かな部屋に、スマホの着信音が響く。
画面には「のぞみ」の名前。
ゆう心の声 ……うわ、どうしよう……。出たくない……でも出なかったら、不自然すぎる……。
手のひらは汗で濡れ、指が震える。
一呼吸置いて、ゆうは通話ボタンを押した。
「……もしもし」
できる限り普段通りの声を装ったつもりだったが、かすかに震えが混じる。
「ゆう君、こんばんは!今日も一日お疲れさま!」
スマホ越しに届いたのは、明るく弾むのぞみの声。
その声がいつも通りであればあるほど、胸の奥に黒い影が広がる。
ゆう心の声 ……この声の裏に、何かを隠してる?いや、そんなはず……でも……。
「……あ、うん……ありがとう」
声は小さく、気の抜けた返事になってしまう。
「ん?どうしたの?なんか元気なくない?」
のぞみの声色がすぐに変わった。彼女は敏感だ。少しの違和感も見逃さない。
「……いや、別に」
「ほんとに?だって、いつものゆう君じゃないもん」
心配そうにトーンを落とした声。耳に届くその響きが、かえって胸を締め付ける。
「今日、何かあった?学校で嫌なこととか?」
「……いや、何も」
「うそ」
短く鋭いひと言。
ゆうは返せない。沈黙だけが流れる。
「ほら、やっぱり。ゆう君って、何かあるとすぐ黙るんだから」
図星だった。彼女はゆうをよく知っている。
「ねぇ、本当はどうしたの?私……何かしちゃったの?」
自分を責めるような口調。
その声音を聞いた瞬間、胸がズキッと痛む。
ゆう心の声 ……違うんだ。のぞみさんは悪くない。信じたい……信じたいのに……でも、あの光景が頭から離れない……。
「……なんでもないよ」
無理に絞り出す。
「ゆう君……ほんとに?なんでもない?」
不安げな声が、スマホの向こうから零れ落ちる。
その響きは、夜の部屋の静けさに溶けて、余計に重くのしかかる。
喉が焼けるように熱くなり、唇が震える。
もう誤魔化しきれない。
そしてついに、抑えていた言葉がこぼれた。
「……あれ、誰なの?」
空気が一変した。
通話の向こうで、のぞみの息が止まる音さえ、はっきり聞こえる気がした。
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
なっちゃん 「うわあああああ!!カナちゃん!!事件や事件や!!」
カナちゃん 「出た!“姉さん事件です!”のやつやな!?いや古いし!でもほんまに事件やでこれ!!」
なっちゃん 「ほら見てや!ゆう君、横断歩道渡りよる時に……車の助手席にのぞみちゃんおったんよ!?そんで運転席は……おじさん!!」
カナちゃん 「おじさん!!??だれやねん!!白髪まじりの渋い男て!ドラマなら愛人関係確定やろ!!」
なっちゃん 「やめーやカナちゃん!!ほんまゆう君、頭グラングランやって!『のぞみさん……誰なん?』て、心臓バクバクいよるし」
カナちゃん 「もう壊れる5秒前やん!『僕の知らん世界があったんか!?』て中二の妄想爆発やで!」
なっちゃん 「でもな、ほんまにあの瞬間のゆう君は、胸つぶされるみたいで、息できんかったんよ」
カナちゃん 「わかるわぁ。恋愛の“黒い影”って、ハリーポッターで言うたらディメンターに吸われとる状態や!」
なっちゃん 「その例え、うまっ!ゆう君の心の幸せ吸い取られてもうて!」
カナちゃん 「しかも夜や!LINE通話でのぞみちゃんから『今日もお疲れさま!』やで?明るい声が余計に刺さるんや!」
なっちゃん 「そうそう!あの声が“普通すぎる”から逆に怖いんよ。『裏に秘密隠しとるんちゃうん?』って!!」
カナちゃん 「ゆう君、しどろもどろで『いや、別に……』って!いや別にじゃすまへん!!」
なっちゃん 「のぞみちゃんも『うそ』て一刀両断やけん!もう探偵顔負けやろ」
カナちゃん 「最終的には……『あれ、誰なん?』やで!?ズバッと切り込んだ瞬間、空気が凍ったんや!!」
なっちゃん 「このシーン、視聴者も一緒に凍りついたよなぁ……」
カナちゃん 「そやそや!ほなここで、届いとるはがきとかXのコメント読もか!」
——はがき紹介——
なっちゃん 「神野市のペンネーム“恋の迷子犬”さんから。『ゆう君の気持ちわかりすぎて、私も布団の中でゴロゴロ転げ回りました。心臓ギュッてなった!』」
カナちゃん 「せやろ〜!ほんまに恋愛の黒歴史ノート1ページ目みたいなシーンや!」
カナちゃん 「続いて、Xから。“@harukaze\_39”さん。『のぞみちゃんの声が明るいほど、逆に怖い。ホラー映画の子供の笑い声くらい怖い』」
なっちゃん 「ええたとえやなぁ!そうそう、明るい声って無垢に聞こえるけど、疑心暗鬼の心に刺さったら逆効果よ!」
なっちゃん 「お次!“@youth\_tear”さんから。『『あれ、誰なの?』って問いかけの破壊力、心に爆弾落とされた気分でした。』」
カナちゃん 「爆弾いうより核やな!信頼関係って街並み、一瞬で焼け野原や!」
なっちゃん 「ひぃ〜!言いすぎやけど、そのくらい重いんよなぁ……」
カナちゃん 「ラストは“@hananouta”さん。『私ものぞみちゃんみたいに敏感で、彼が黙ったらすぐ『何かあった?』って聞いちゃう。のぞみちゃんの不安げな声、共感で胸が潰れそうでした』」
なっちゃん 「それな!共感女子多いんよ!自分責める感じ、刺さるんよ!」
カナちゃん 「結論。のぞみちゃん誰や!?おじさんってほんま誰や!?そしてゆう君の心はもう瀕死や!!」
なっちゃん 「次回どうなるんか、わたしらも息できんわぁ!」
カナちゃん 「ほなまた次回!“なっちゃんカナちゃん”で会おな!」




