窓に映るふたり
西元山駅 1/14 7:13 ――
冷たい空気がまだ吐息の白さを隠せない時間帯。
駅の時計は7:13を指していた。
ゆうは息を整えながらホームへ駆け込む。
家を出るのが少し遅れ、いつもより焦っている。
ちょうどその時、急行のライトがトンネルの奥から迫ってくる。
ギリギリ間に合った――そう胸をなでおろし、ゆうはいつもの定位置、前から2両目の2番目のドアに並んだ。
電車のブレーキ音。ドアが開く。
人々が慌ただしく乗り込んでいく中、背後に柔らかな気配を感じた。
――彼女だ。
ゆう(心の声)
「来てくれた……のぞみさんだ……」
わずかに微笑みそうになりながらも、顔は正面に向ける。
嬉しさが胸の奥で爆発しそうだった。
最後の最後、ドアが閉まる寸前でのぞみが小走りで飛び込んでくる。
髪が揺れ、頬が赤い。
電車が動き出した瞬間、彼女は肩で息をしながら安堵の表情を見せた。
混雑した車内。いつもののぞみの定位置――ドア横の手すりはすでに誰かが立っている。
のぞみは一瞬迷ったように視線を巡らせ、そして……
彼女はゆうの横に立った。
ゆう(心の声)
「……っ! の、のぞみさんが……僕の隣に……!」
鼓動が速くなる。
吊革を握る手に力が入りすぎ、手のひらに汗がにじむ。
のぞみの左側には、まだ多少空間がある。
それなのに彼女は、ゆうのすぐ横へ――触れそうなほどの距離まで近づいてきた。
ゆう(心の声)
「の、のぞみさん…どうして……? 僕の方に寄ってきてくれてるの……?」
思わず彼女を見た。
すると、のぞみもこちらを見ていた。
目が合う。
一瞬の沈黙。
そして――のぞみはふわりと笑った。
小さな笑みなのに、胸の奥に響く音は雷鳴のよう。
ゆう(心の声)
「……笑ってくれた……! 僕に……微笑んでくれた?」
のぞみはすぐに前を向き直ったが、その横顔はほんのりと赤く染まっているように見えた。
ゆうの心臓は跳ね続け、耳まで熱を帯びる。
二人は並んで吊革を掴む。
揺れる電車の中、ふたりの影がガラス窓に映る。
ゆうの視線がその反射に気づく。
ガラスの中ののぞみが、ふと彼の方を見ている。
「み、見てくれてる……ガラス越しに映った僕を……?」
そしてまた――のぞみはガラス越しににこっと笑みを浮かべた。
「夢みたいだ……こんなこと、本当にあるのか……」
胸の高鳴りは止まらない。
手のひらの汗は、吊革を握る指をじっとりと濡らす。
電車は難法駅に到着した。
いつものようにのぞみは改札口へ向かって降りていく。
その背中は、まるで春の光に包まれたように鮮やかで、ゆうの目には焼き付いた。
ゆうはまだ心臓の鼓動が落ち着かないまま、ホームを歩く。
人々が慌ただしく行き交う中、自分だけが別の時間にいるような感覚だった。
「のぞみさん、もしかして…僕のことを意識してくれてる?あんなに近くに立って、しかも笑ってくれて…いや、そうに違いない…!」
自分に都合のいい想像だとわかっている。
けれど――それでもうれしい。
周囲では、急ぐ人々の足音とアナウンスが交差し、慌ただしい朝が流れている。
その中で、ゆうの世界だけが、熱に浮かされたように――のぞみで埋め尽くされていた。
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんのリアタイ実況タイム
カナちゃん「はいっ!今日も始まりました〜“朝の電車ラブウォッチング”!1月14日、西元山駅からお届けします!」
なっちゃん「おお、ほんま寒そうやねぇ。息が白いがね。時計は7時13分、もうギリギリやんか!」
カナちゃん「あー!ゆうくん走ってきた走ってきた!あんた寝坊か!?」
なっちゃん「ふふ、めっちゃ息切れとるわ〜。ほいでも間に合うんよな、こういうときって」
カナちゃん「ほら見て!トンネルの奥からライトきらーんや!ギリセーフ!」
なっちゃん「胸なでおろしよる顔がかわいらしいわい」
カナちゃん「で、ここで来ましたよ!背後からの“ふわっ”とした気配!」
なっちゃん「おぉ〜、これはもう彼女の登場じゃろ〜」
カナちゃん「正解っ!のぞみさんや!」
なっちゃん「“来てくれた…”って心ん中でつぶやきよる。あんた彼氏気取りかいな(笑)」
カナちゃん「ほんまやで!まだ名前も知らんのに!」
なっちゃん「お、のぞみさん飛び込んできた!ドア閉まるギリギリやん!」
カナちゃん「うわぁ〜!髪ふわって揺れて、頬ちょっと赤なってるん見えた!?」
なっちゃん「あれは反則やわい。そりゃ心臓ドキドキするがね」
カナちゃん「で、問題はここからやで!いつもの定位置、手すり横は埋まってる!」
なっちゃん「ほいたら、のぞみさん、迷いながらも……おぉ?おぉ!?」
カナちゃん「きゃーーーっ!ゆうの横ーーーっ!」
なっちゃん「なんで?左に空いとんのに、なんであえて横来るんよ!」
カナちゃん「これ、完全に脈ありやろ!なぁなっちゃん!」
なっちゃん「わしもそう思うわい!」
カナちゃん「あー、見た見た!ゆう思わず視線向けてもた!」
なっちゃん「で、そこで目ぇ合うんよね〜。静止しとる時間みたいじゃ」
カナちゃん「そして笑ったあああ!にこって!」
なっちゃん「おぉ……心臓に雷落ちたような笑顔やわ」
カナちゃん「もう完全にアウト。ゆう、即落ち2コマ状態やん」
なっちゃん「ガラスに映る二人……おぉ、これはまた映画みたいなシーンやねぇ」
カナちゃん「うわー!ガラス越しにまた見てる!しかもまた笑った!」
なっちゃん「もうこれ夢どころか、現実が夢みたいな状況やわ」
カナちゃん「ゆう、吊革びっしょびしょやろな(笑)」
なっちゃん「難法駅着いたぞ〜。のぞみさん改札のほう行きよる」
カナちゃん「その背中まで眩しいん見えるわ!ゆうくん視点やと、もう光の女神やろ!」
なっちゃん「ほいでも手汗すごそうやねぇ。吊革ぐちゃぐちゃなっとるんちゃう?」
カナちゃん「しかも“もしかして僕に気がある!?”って!都合よすぎやけど…」
なっちゃん「いや、今回はほんまにあるかもしれんよ!」
カナちゃん「うんうん!これはもう両片想い確定や!」
なっちゃん「いや〜朝から心臓に悪いがね」
カナちゃん「ほんまやわ、通勤通学どころやないわ!次回は告白せなあかんで!」
なっちゃん「ほんなら次の展開も楽しみじゃね〜!」




