さよなら、桜岡高校の教室で
桜岡高校の正門を、のぞみはゆっくりとくぐった。
三年間の記憶が一気に押し寄せてきて、足が自然と止まる。
女子校で過ごした日々、笑ったこと、泣いたこと、夢を語り合った時間……。
今日がその最後の日だと思うと、胸が苦しいほど締めつけられる。
のぞみは深呼吸をして歩き出し、いつもの教室へ向かう。
扉を開けると、朝の光が窓から差し込み、机や椅子を柔らかく照らしていた。
そこに立っていたのは、親友の優子。すぐに目が合った。
「……のぞみ!」
優子の声は少し震えていた。次の瞬間、彼女の頬に涙がこぼれ落ちる。
のぞみは思わず駆け寄り、その表情を見つめた。
「優子……泣いてるの?」
「だって……もうのぞみとこの教室出会うのは最後だと思うと、胸がいっぱいになっちゃって」
優子の瞳は涙で濡れながらも、確かに喜びで輝いていた。
のぞみは胸が熱くなり、言葉を詰まらせる。
「ありがとう……優子。私、高校に入ったときはね、こんなに大切な人と出会えるなんて思ってなかったんだ。優子と親友になれて、本当に良かった」
のぞみの声も震えていた。
二人は自然に手を取り合い、温もりが指先から伝わる。
「私もだよ!」
優子は涙の中に笑みを浮かべた。
「のぞみとは、どんなに離れてもずっと親友だよ。たくさん連絡するし、絶対に会いに行く!」
「うん……私も。絶対に」
手を繋いだまま、二人は窓の外を眺めた。
春の光が白いカーテン越しに差し込み、教室全体が夢のように輝いて見える。
その光に包まれながら、二人はこれまでの日々を振り返った。
授業中に回した秘密のメモ、放課後に行ったカフェ巡り、試験前に必死で徹夜した勉強会、文化祭の準備で笑いながら夜を明かしたこと――。
すべてが愛おしい記憶として蘇ってくる。
そして、優子の心に真っ先に浮かんだのは、のぞみの恋の物語だった。
「ねえ、優子……初めて私がゆう君の話をした日のこと、覚えてる?」
「もちろん!」優子は即座に答える。
「のぞみが顔真っ赤にして、“気になる人がいるの”って……あんな照れた顔、初めて見たんだから!」
のぞみは思わず苦笑した。
「あぁ……やっぱりそんな顔してたんだ、私」
言葉とは裏腹に、その時の胸の高鳴りを鮮明に思い出す。
「でもね、あの頃は本当に未来なんて見えてなかった。ただ、気になって、ただ心が揺れて……それだけで幸せだったのに。今は、こうしてちゃんと恋人同士になれてる」
優子はにっこり微笑んで、涙を拭った。
「それは、のぞみが勇気を出したからだよ。好きな人に真剣に向き合って、気持ちを伝えて……その姿、本当に素敵だと思った」
「……優子がいたからだよ。ずっと私の背中を押してくれた。もし優子がいなかったら、きっと踏み出せなかった」
「もう……そういうこと言わないでよ。ほんとに泣いちゃうじゃん……」
優子は繋いだ手をぎゅっと握りしめる。
のぞみも同じ力で握り返した。温もりが、互いの想いを確かに伝える。
「優子……本当にありがとう」
「うん……のぞみ。幸せになってね。絶対に」
「もちろん! 絶対に幸せになる」
二人は涙を拭い合い、笑顔を見せた。
笑顔の奥で、胸の奥が熱く震えている。
やがて卒業式の時刻が近づく。
のぞみはもう一度、教室全体を見渡した。
壁、黒板、机、窓――すべてが自分の青春を刻み込んでいる。
笑った日も、泣いた夜も、恋に揺れた瞬間も、全部がこの場所に詰まっている。
そして、これから待つのは新しい未来。
のぞみは胸にそっと手を当て、静かに決意を抱いた。
「……行こう、優子」
「うん、一緒に」
二人は手を繋いだまま歩き出す。
光の中へ、卒業式の会場へ。
その背中には、確かな友情と、新しい世界への勇気が輝いていた。
――桜岡の教室に、最後の春の光が静かに降り注いでいた。
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ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”
なっちゃん「うわあああああ……あかんわ、もう……涙が止まらん……!のぞみちゃん……優子ちゃん……手ぇ繋いで歩くとか、なんでこんな胸に来るんよ……!」
カナちゃん「ほんまにな!あかんあかん!わいの卒業式の時も思い出してまうやん!親友と“絶対離れても友達やで”言うて泣いたん思い出して、心臓ぎゅーーってされとる!オンオン泣いてまう!」
なっちゃん「わしもや……!だって優子ちゃん、ええ子すぎるやろ……のぞみちゃんの背中押してくれて……ほらもう……鼻水出るわ……!」
カナちゃん「うちもハンカチびっしょびしょや!“のぞみ、幸せになってね”とか、友達が言うてくれるの、恋人に言われるより胸に刺さる時あるやん!もう親友ラブレターやで!」
なっちゃん「わかるぅぅ……友情ってな、恋愛と同じくらい大切なんよ……いや時には恋より重いかもしれん……!優子ちゃんが泣きながら笑う姿、あれは青春の証や……」
カナちゃん「うわーん!誰かティッシュくれー!わい、泣きすぎてメイク全部落ちとる!でもええねん!こんなん見せられたら泣かずにおれん!」
なっちゃん「のぞみちゃんもゆう君も幸せそうやけど、実は陰で優子ちゃんが支えてたんやなぁ……あの“背中押してくれた”の一言、心臓にずんって刺さったんよ……」
カナちゃん「そうそう!恋の物語の裏側には必ず応援団がおるんや!青春って、独り占めやなくて、友達の涙や笑顔で完成するもんやねん!」
なっちゃん「ほんまやなぁ……もうな、わしらオンオン泣きすぎて番組どころやないわ……でもな!ここで視聴者のみんなの声を読んでさらに泣こうや!」
カナちゃん「よっしゃ!いくで!まずははがきから!」
――はがき紹介――
カナちゃん「『私も高校の親友と、卒業の日に“離れても絶対友達”って泣きながら誓いました。今も年一で会ってます。優子ちゃんとのぞみちゃんの姿に重なって号泣です』」
なっちゃん「うわぁぁ!これ……タイムカプセルやん!友情って腐らん缶詰みたいなもんやなぁ!年一で開けても味が変わらん……!」
カナちゃん「ええ例えや!友情缶詰、永久保存版や!」
なっちゃん「次はXのコメント読むけん!」
――Xコメント紹介――
なっちゃん「『親友が泣いてくれるって、宝石より尊いと思う。優子ちゃんの涙はダイヤモンドより輝いてる』やて!」
カナちゃん「わかるー!もう、涙の粒が宝石箱や!キラキラの友情のネックレスやで!」
なっちゃん「『のぞみちゃんの恋は、優子ちゃんの涙で完成したんだと思う』やて。うわ、詩人やなぁ……!」
カナちゃん「ほんまや!恋と友情が合体して最強ロボになった感じや!もう“友情合体ラブレンジャー”やで!」
なっちゃん「ぶわぁぁぁ!やめてぇ!笑い泣きなるわ!」
カナちゃん「次はこれ!『のぞみちゃん、ゆう君と幸せになってね!でも優子ちゃんも幸せになってほしい!』」
なっちゃん「そうよ!そうよ!わしらみんな、優子ちゃんにも幸せ届けたい!神様~優子ちゃんにええ人現れて~!」
カナちゃん「番組総出で祈願するしかないな!視聴者のみんなも一緒に両手合わせてな!」
なっちゃん「はぁぁ……オンオン泣いて笑って、今日は情緒ジェットコースターや……!」
カナちゃん「ほんまや!でもな、こうやってのぞみちゃんとゆう君の恋、優子ちゃんの友情を一緒に見届けられるんが、わいらにとっても青春やねん!」
なっちゃん「うん……これやけん“なっちゃんカナちゃん”やめられんのよ……!」
カナちゃん「オンオン泣きながらエンディングや!次回も絶対見てなー!」
――二人のすすり泣く声と笑い声が混じって、画面はゆっくりフェードアウトしていく。




