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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第三部-1章 のぞみの卒業 新しい日常へ
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最後のときめき通学

三月十四日。空気はまだ冬の冷たさを残しているのに、どこか春の匂いが混ざっていた。のぞみにとって、この日は忘れられない節目の日――卒業式。

ひと月前に恋人同士になったのぞみとゆうは、今日まで毎朝同じ電車に乗り続けていた。25分前からホームでおしゃべりをして、電車に乗れば隣に立ち、15分間手を繋ぎながら無言で互いの存在を確かめ合う。それは二人にとって、かけがえのない儀式のような日常だった。


だが、その日常も今日で一区切りになる。これからもLINEで繋がれる、デートの約束だってできる。頭ではそう理解しているのに、この時間が終わってしまうことが胸を刺すように痛かった。


ゆうは、まだ人影のまばらなホームに立っていた。冷えた風が制服の裾を揺らす。階段の上に小さな影が現れる。


彼女だ――。


のぞみがゆっくり階段を降りてくる。その姿を目にした瞬間、ゆうの胸は締めつけられるように苦しくなった。胸の奥から「終わらないでくれ」と叫ぶ声が響いてくる。


「……のぞみさん」


声が少し震えた。


のぞみは彼の姿を見つけると、柔らかい笑顔を浮かべた。だがその笑みには、ほんの少し寂しさの影が差していた。


「……ゆう君」


呼びかけに込められた温度が、彼の心に直接届く。


ゆうは一歩近づき、息を飲み込むように言った。

「卒業、おめでとう」


のぞみは微笑みを深めて、ほんの少し照れたように小さくうなずく。

「ありがとう……」


言葉を返しながら、彼女はまっすぐゆうの顔を見つめた。その瞳の奥には、喜びと寂しさが入り混じっていた。


「……なんか不思議だね。同じホームなのに、今日が最後って思うと……胸がぎゅってなる」


「わかるよ。僕も……すごく寂しい」


風が二人の間を抜けた。ゆうはその一瞬を逃すまいと、そっとのぞみの手を取る。冷えた指先は、触れた途端に体温を分け合い、すぐに馴染んでいく。のぞみも強く握り返した。その力が「離れたくない」と語っていた。


ゆうは目を伏せ、記憶をたぐるように言葉をこぼした。

「思い返せば……最初は偶然だったんだよね。僕がここに立ってて、のぞみさんがこのドアから乗ってきて。ほんとにただの偶然」


のぞみの瞳が懐かしむように揺れる。

「そうだね……でも、ゆう君がいつもここにいるって気づいてから、私、どんどん気になっちゃって。目が合うだけで、心臓がうるさくて……」


恥ずかしそうに視線を伏せるのぞみ。その頬は春めいた色に染まっていた。


ゆうはその記憶を胸に抱きしめるように言う。

「僕もだよ。のぞみさんが微笑んでくれたとき、ほんとに嬉しかった。胸が熱くて、ずっとその顔を思い出してた」


彼女は小さく笑った。その笑顔は、涙を隠すようでもあり、幸せをかみしめるようでもあった。


「気づいたら……毎朝が特別な時間になってたんだ。ただ、隣にいるだけで、それだけで嬉しくて……」


のぞみは、ゆうの言葉に重ねるように口を開く。

「私もそう。朝が待ち遠しくて……学校に行くのが楽しみになるなんて思わなかった。でも、ゆう君がいたから、毎日が特別だったの」


二人の視線が絡み合った。もう言葉はいらないと思うほど、深く強く。


「のぞみさん、本当にありがとう。僕にとって、この時間は宝物だった」


のぞみの目が熱を帯び、光を揺らす。

「……私も。ゆう君に出会えてよかった。ここで過ごした時間、絶対に忘れない」


「僕も」


その瞬間、ホームに列車接近のアナウンスが響いた。難法行き急行が近づいてくる音が、二人を現実に引き戻す。


二人は、離したくないと願うように手を握ったまま、ゆっくりと電車へと足を運んだ。


「これからも、一緒にいよう」


「……うん。ずっと、一緒に」


ドアが閉まる直前、二人は互いに微笑み合った。その笑顔には、涙の匂いと、未来への約束が同居していた。


電車は静かに走り出す。窓の外の景色が流れていく中、二人は手を繋ぎ続けた。言葉はなくても、心には確かなものが刻まれていた。


これからも、ずっと――。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん「……もうのぞみちゃん卒業やて。ほんまに、胸がぎゅーっとなるんよ。いつもの朝のホーム、あの空気が今日で終わりやと思うと……なんか夢みたいで現実味がないんよね」


カナちゃん「わかるわぁ。せやけど、ほんまに“ときめき通学”が今日で幕引きやなんて……あーあ、心のポケットに穴開いたみたいやで。小銭じゃなくて思い出がこぼれていく感じや」


なっちゃん「うんうん。毎朝の25分のおしゃべりに、電車ん中で15分手つないどったんやろ?ほやけん、それが途切れるんはやっぱり寂しすぎるんよ。のぞみちゃんもゆう君も、“いつもと同じ景色やのに違って見える”って気持ちでいっぱいやったんやろなぁ」


カナちゃん「せやせや。ホームの風とか、制服の裾が揺れるとか、そんなんまで切なく見えてまうねん。卒業っていうだけで、普段の景色が映画のラストシーンみたいに輝いて見えるんやわ」


なっちゃん「ほんまやなぁ……のぞみちゃん、ゆう君と目ぇ合わせて“ここでの時間は宝物やった”って。言葉の一つひとつが胸に響いてくるんよ。まるで桜が散る瞬間を閉じ込めたみたいなセリフや」


カナちゃん「わたしやったら絶対泣いてもうてるわ。しかも電車来るタイミングで“これからも一緒に”って、ドラマ超えてもうてるやん!心臓バクバクして電車のモーター音よりうるさいわ!」


なっちゃん「なあカナちゃん、こればあはがきとかXのコメント届いとるけん、読んでみよや」


カナちゃん「おっしゃ、いこか。まずははがき一枚目。“のぞみちゃんとゆう君の最後の通学シーン、私まで胸が熱くなりました。電車の扉が閉まる瞬間、涙が出そうになって職場のエレベーターで泣きそうでした”」


なっちゃん「うわぁ……エレベーターん中で泣きそうなるって、胸ん中で感情が溢れて止まらんかったんやろな。まるで心に積んどった段ボールがガサッと崩れ落ちるみたいな」


カナちゃん「次はXから。“あのホームで手を繋ぐ二人、もう恋の終電逃さへんって感じやったわ。尊すぎてわたしの心が改札通られへん”やって!」


なっちゃん「心が改札通られんて!なんか可愛いやん!Suicaかざしても“ピーッ!残高不足です”って表示されるくらい切なくて満たされとらんのやな」


カナちゃん「ほんまやで。あ、次。“朝の電車で無言で手を繋ぐ二人、あれは青春の最強必殺技やと思う。私も真似したいけど相手おらんから、スマホの充電器握って電車乗ってます”」


なっちゃん「スマホ充電器!?うわぁ、切ないけど笑える!でもな、それくらい誰もが“繋がっときたい”って思わせるシーンやったんやね。のぞみちゃんとゆう君が並んどるだけで、ホームが光っとるんよ」


カナちゃん「お次。“卒業式の朝に“ずっと一緒にいよう”って約束するなんて、まるで恋が春の切符買った瞬間みたい。私の心は定期券じゃ足りんわ、一日乗車券でも足りんくらい揺さぶられた”」


なっちゃん「比喩がすごいなぁ!でもほんまにそんな感じや。普通の朝の電車が、一生もんのチケットになっとるんよ」


カナちゃん「……あかん、読み上げとるだけで涙腺あかんわ。電車のドア閉まる音がカーテンコールに聞こえるんやもん」


なっちゃん「うん……のぞみちゃんもゆう君も、これからも一緒に歩んでいくんやろけど、この朝の時間は永遠に宝箱に入っとるんやね。視聴者さんの声も、それを証明しとるみたいや」


カナちゃん「せやなぁ。あーあ、ほんまにときめき通学終わってまうんやな……」


なっちゃん「……でもな、終わりやけんこそ、こうして物語が光るんよね」


カナちゃん「せやせや……切なさも恋のスパイスや」

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