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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-3章 のぞみ視点 のぞみの決断
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妹の夏美

のぞみは自宅の前で足を止めた。

ただいま、の言葉が喉の奥に引っかかったまま出てこない。玄関の明かりは温かく灯っているのに、今日だけはその色がやけに違って見える。

さっきまで心臓が弾けるように跳ねていた。電車のホームで、そして街角で。ゆう君の顔、笑顔、震える声、そのすべてが胸に残っている。


「……帰らなきゃ」

自分に言い聞かせて、扉を開ける。


中に入ると、家の空気がやけに静かで、けれど心の奥に波紋を広げていく。廊下の先からは夏美の部屋の明かりが漏れていた。


のぞみは立ち止まり、深呼吸をした。

今日こそは、話そう。ずっと言えなかったこと。心にしまい込んできた大事な気持ちを。


「夏美、いる?」

軽くドアをノックすると、中からは弾むような声が返ってきた。

「うん、いるよー」


その何気ない声に、なぜか胸が締めつけられる。のぞみは小さく頷いて、ドアノブを回した。


扉を開けると、ベッドに寝転がった夏美がいた。両足をぱたぱた揺らしながら、スマホをいじっている。画面の光が頬を照らし、妹らしい無邪気さを浮かび上がらせていた。


「どうしたの?」

スマホから顔を上げた夏美が、のぞみを見て首をかしげる。


のぞみは胸の奥で言葉を転がしながら、一歩踏み込んだ。

「ちょっと……話したいことがあるの」


夏美は意外そうに目を丸くし、スマホをそっと置いた。姿勢を正して、のぞみとしっかり向き合う。

「なんか改まって言うなんて珍しいね。何?神泉大学のこと?」


「ううん、それもあるけど……もっと大事なこと」

声が震える。のぞみはベッドの端に腰を下ろし、夏美の隣に座った。妹の横顔を見ながら、心臓がドクドク鳴るのが自分でもわかる。


「実はね……私、好きな人がいるの」


「えっ!」

夏美は目を見開き、反射的に前のめりになる。

「お姉ちゃんに好きな人!?えっ、うそ!誰!?誰なの!?」


のぞみは思わず笑ってしまう。けれど、その笑顔の奥には緊張が残っている。

「……ゆう君。夏美の同級生だった、ゆう君」


その瞬間、夏美の顔から色が消えた。動きが止まり、ぽかんと口を開けたまま固まってしまう。

「……マジで?」


のぞみは頷いた。

「うん。ずっと言えなかったけど……今日、ゆう君と付き合うことになったの」


夏美の視線が宙を泳ぎ、何度も瞬きを繰り返す。次の瞬間、彼女の全身が爆発した。

「うわああああああ!!!」

ベッドの上で転がり、両足をジタバタさせる。まるで世界の終わりでも訪れたかのように。


「ちょっと!夏美!?落ち着いて!」

のぞみは慌てて声を上げたが、妹の暴走は止まらない。


「ちょっと待って!ちょっと待って!!え!?あの中学同じだったゆう君!?あの!?1組の!?嘘でしょ!?うわぁぁぁ信じられない!!」

夏美は頭を抱え、布団に顔を埋め、次の瞬間には顔を出して絶叫する。


のぞみはその大げさな反応に吹き出してしまった。

「そんなに驚く?」


「驚くに決まってるでしょ!お姉ちゃんが恋とかするなんて、全然想像してなかったんだよ!?だって、今まで全っ然そんなそぶり見せなかったし!てかいつから!?どうやって!?なんで私に言わなかったの!?全部説明!!」


問い詰める夏美の勢いに押されながらも、のぞみは少しずつ話し出した。


――初めて同じ電車に乗るゆうに気づいた日のこと。

――毎朝、同じ時間に同じドアから乗り込むようになったこと。

――勇気を出して、カバンの脇ポケットに手紙を入れたこと。

――映画館での初デートで、手を繋いだ時のこと。

――そして、今日のこと。


一つ一つを語るたびに、夏美の目が大きくなっていった。

やがて全てを聞き終えた夏美は、ベッドに仰向けになり、天井を見つめながら呆然とつぶやいた。


「……そんなことがあったんだ……」


そして、数秒の静寂を破るように、突然身を起こして叫んだ。

「……もう、ずるい!!!」


のぞみは驚いて目を丸くする。

「えっ?」


「だって!そんなドラマみたいなことが現実に起きてたのに、私だけ全然知らなかったんだよ!?もう、お姉ちゃんのバカ!!」

夏美は頬を膨らませ、両手でのぞみの腕をバシバシ叩いてくる。


「ご、ごめんってば!」

のぞみは笑いながら身をよじった。


「ほんとにもう……」

そう言いながらも、夏美の瞳には優しい光が宿っていた。少し落ち着いた声で続ける。

「でも……お姉ちゃんが、幸せそうでよかった」


その言葉に、のぞみの胸が熱くなった。目の奥がじんわりと滲む。

「ありがとう、夏美」


「でもね!」

夏美は急に表情を引き締め、肩をガシッと掴んで揺さぶった。

「ちゃんと幸せにならないと許さないから!」


のぞみは吹き出しそうになりながら、こみ上げる笑いを堪えた。

「……うん、約束する」


「よし!」

夏美は満足そうに頷いたが、次の瞬間、いたずらっぽい光を瞳に宿した。

「じゃあ、ゆか(夏美の友達)に電話して、ゆう君に伝えてもらわなきゃ!『私のお姉ちゃんをよろしく!』って!」


「ちょっ……ちょっと待って!」

のぞみは慌てて手を伸ばす。


「今すぐLINEする!」

スマホを掴みかける夏美に、のぞみは必死で叫んだ。

「やめてーーーーー!!!」


笑い声が弾けた。姉妹の部屋いっぱいに、夜の光よりも温かな音が響き渡った。


部屋の灯りを落とすと、薄暗い天井に影が揺れた。同じベッドで横になったのは、小学生の頃以来だった。のぞみは布団に顔をうずめながら、隣に寝そべる夏美の気配を感じる。自分の中にある言葉が、今夜はどうしてもこぼれ出てしまう気がした。


のぞみ「でもさ夏美、私があんたに卒アル借りた時から、なんかニヤニヤして怪しんでたでしょ?絶対気づいてると思ってたんだよ。なのに、あんなに驚くなんて、逆に私の方がびっくりしたんだけど」


夏美は布団をぎゅっと抱え込むようにしながら、天井を見て笑った。


夏美「うーん、なんか変だなあとは思ってたけど……でも、まさか本当にそういう展開になるなんて想像してなかったんだよ。だってお姉ちゃんだよ?まじめで、恋とかあんま興味なさそうだったし」


声は軽いけど、視線だけは真剣だった。


夏美「……ねえ。もしかして関西の大学に決めたのってさ、ゆう君と離れたくなかったから、なんじゃない?」


その問いに、のぞみはしばし沈黙した。心の奥を見透かされたようで、胸が熱くなる。もちろんそれは大きな理由だった。でもそれだけじゃない。家族、特に夏美を思う気持ちが、決断の背中を押した。


のぞみ「うん……それもある。でもね、本当は……夏美と離れるのが一番辛かったんだ」


夏美「……私?」


のぞみは枕を抱きしめながら、夏美の方を向いて微笑んだ。


のぞみ「だって、ずっと一緒だったでしょ。夏美がいない生活なんて考えられなかった。関東に行ったら、夏美一人になっちゃうでしょ?それを想像すると、すごく寂しくて」


夏美は目を丸くして、何も言えずにのぞみを見つめていた。やがて、小さな声でぽつりとこぼした。


夏美「……お姉ちゃん……」


のぞみ「だからね、ゆう君のこともあるけど、それ以上に……私は夏美と離れたくなかった。それが一番大きいんだ」


夏美はぎゅっと布団を掴んだ。手の甲が少し震えていた。


夏美「実はね……私もお姉ちゃんが関東に行っちゃうの、すっごく嫌だった。頭では応援しなきゃって思ってたけど、心の中じゃ全然納得できなくて。毎日どうしようって考えてた」


その声は少し涙に濡れていた。


夏美「だからさ……お姉ちゃんが関西に決めたって聞いた時、本当に嬉しかったんだ。でも、それをゆう君のためだけじゃなくて、私のためでもあったなんて……もう、めちゃくちゃ嬉しい……!」


そう言って、夏美は手を伸ばし、のぞみの指をぎゅっと握った。体温が伝わってきて、のぞみの胸が熱くなる。


のぞみ「夏美……ありがとう」


夏美は涙をこらえるように笑いながら、布団に顔をうずめた。


夏美「……ほんとにさ、お姉ちゃんがいてくれて良かったって思う。今まで当たり前に一緒にいたけど、いなくなるかもしれないって考えたら、こんなに寂しいんだなって気づいた」


のぞみ「私もだよ。夏美がいなかったら、きっと私はもっと弱い人間になってたと思う」


少し沈黙が流れ、部屋の時計の音がカチカチと響く。やがて夏美が小さく笑った。


夏美「でもさ、こうして一緒に寝るのって、ほんと久しぶりじゃない?小学生の時、ホラー映画観ちゃって、私が怖がって泣いたら、お姉ちゃんが横で寝てくれたよね」


のぞみは思わず吹き出した。


のぞみ「あー、あったあった!夏美、布団に頭まで潜って震えてたじゃん」


夏美「ち、違うし!あれは演出が怖すぎただけ!」


のぞみ「はいはい」


二人は顔を見合わせてクスクスと笑った。懐かしい記憶がよみがえり、胸の奥に温かいものが広がる。


夏美「ねえ、お姉ちゃん」


のぞみ「なに?」


夏美「ゆう君と付き合うことになっても、私のこと……今まで通り大事にしてね?」


のぞみは迷わず答えた。


のぞみ「もちろん。夏美は私の大事な妹だもん。それは変わらない」


夏美は満足そうにうなずいて、にやっと笑った。


夏美「ならいいや!……でもさ、ゆう君にヤキモチ妬かれたりしないかな?」


のぞみは少し考えて、口元に手を当てる。


のぞみ「……どうだろうね。もしかしたら……」


夏美「その時はさ、お姉ちゃんがちゃんと言ってよ?『夏美は特別な妹だから!』って!」


のぞみは笑いながら頷いた。


のぞみ「わかった、絶対言う!」


ふたりは他愛ない話を交わしながら、だんだんとまぶたが重くなっていった。夜の静けさが部屋を包み、やがて夏美の寝息が聞こえてくる。


その寝息に耳を澄ませながら、のぞみはそっと呟いた。


のぞみ「……ありがとう、夏美」


目を閉じると、心の奥に広がるのは安らぎと幸福感だった。


――この夜、姉妹の絆はさらに深まっていった。


のぞみ視点の章 終わり

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん「うぅぅぅ……あかん……泣いてもうた……!夏美ちゃん……あんたは何者なんよ……」

カナちゃん「いやほんまやで!!もう、夏美ちゃんが重要人物過ぎる!!夏美ちゃんおらんかったら、のぞゆう成り立たんやん!!」


なっちゃん「のぞみちゃん、勇気振り絞って“好き”を打ち明けたんよね……ゆう君にやけんど、ほんまにその直前の夏美ちゃんとのやりとりがあったけん、心が支えられとったんやと思うんよ」

カナちゃん「そやそや!!“夏美がいるから、のぞみは立てたんや”ってのが、めちゃくちゃ沁みたもん!!なんやこの姉妹の絆……私まで姉妹欲しなったわ!」


なっちゃん「そしてやね……今回の文字数!過去最多ちゃう?4000文字超えとるみたいなんよ!」

カナちゃん「ほんまに!?そらそうやわ、ぎゅうぎゅうに詰まってたもん!涙で視界ぼやけて読み飛ばしかけたわ!」

なっちゃん「でもな、まだこの先100万文字以上、のぞゆうの物語あるみたいやで」

カナちゃん「100万ってか!?全部投稿するのに1年はかかるんちゃうか!!?」


なっちゃん「これでのぞみちゃん視点の章、いったん終わりなんよ……」

カナちゃん「寂しいわ!なんか修学旅行終わった翌朝の、帰りたない気分や!」

なっちゃん「うんうん……なんか胸がぎゅーってなってしもうて……」

カナちゃん「のぞみちゃん、ありがとう……ってこっちが言いたいくらいや!」


なっちゃん「ほな、ここで視聴者さんからのはがき読んでいこうかね!」

カナちゃん「よっしゃ、いったるで!!」


なっちゃん「まずはラジオネーム“恋に落ちた鉄橋の上”さん」

カナちゃん「名前からしてもうドラマチックやん!」

なっちゃん「『夏美ちゃんが最後に“ゆう君にヤキモチ妬かれたりしないかな”って言ったところ、胸が爆発しました。私も妹に同じこと言われたかった……!』」

カナちゃん「わかる!それ!爆発や!!心臓にロケット花火ぶち込まれたみたいやったもん!」


カナちゃん「次はXのコメント、“#のぞゆう尊い”より」

なっちゃん「『姉妹の絆が強すぎて、私はベッドでバウンドしながら読んでました』」

カナちゃん「跳ねすぎやろ!でも気持ちはめっちゃわかる!私も心がスプリングベッドみたいにびょんびょん跳ねとった!」


なっちゃん「ラジオネーム“夜更けのプリン”さん」

カナちゃん「かわいい名前やなあ!」

なっちゃん「『のぞみちゃんが“夏美と離れるのが一番辛かった”って言った瞬間、プリンみたいに心がぷるぷる崩れました』」

カナちゃん「おおお!ナイス比喩!!ほんまや、あそこはプリンやった!甘くて柔らかくて、でも崩れたら涙になって落ちるんや!」


カナちゃん「Xから、“布団の中で号泣中”さん」

なっちゃん「『姉妹で寝るシーン、涙でスマホ画面が見えなくなってスクショ撮れませんでした』」

カナちゃん「尊すぎて記録不能!!もう心のメモリーカードに直挿しや!」


なっちゃん「ラジオネーム“石ころのくせに号泣”さん」

カナちゃん「石ころやのに泣いとるんかい!」

なっちゃん「『私は石みたいに感情動かん方なんですが、この夏美ちゃんとの会話はダム決壊でした。気づいたら号泣してました』」

カナちゃん「そらもう天然の滝や!涙のナイアガラや!!」


カナちゃん「……なっちゃん、ほんまにさ、今回みんな共感の仕方がえげつないな」

なっちゃん「うん……視聴者さんの感情まで夏美ちゃんが揺らしとる……!まるで夏美ちゃんが読者の心の地震の震源地なんよ」

カナちゃん「震度7やな!」

なっちゃん「いや、もう観測不能や!」


カナちゃん「ほな最後に、私らから一言言わせてもらおか」

なっちゃん「のぞみちゃん、ゆう君、そして夏美ちゃん……ありがとう」

カナちゃん「ほんまにな。これでのぞみちゃん視点は一旦終わりやけど……心はまだ余韻でいっぱいや!」

なっちゃん「みなさんも、一緒に泣いて笑って……次の章を待ちましょう!」

カナちゃん「それまでハンカチとアイス用意しといてな!」

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