期待は確信に
西元山駅、1月11日。午前7時10分。
冬の冷たい空気がまだ街に残っていて、吐く息が白く立ち上る。朝の通勤・通学の人々が改札から絶え間なく流れ込み、ホームには出発を待つ人のざわめきが広がっていた。
ゆうは、いつも通り前から2両目の2番目のドア前に立っていた。
左手でカバンのベルトを握りしめ、右手でポケットの中の定期券の存在を確かめる。
心臓はすでに通常のリズムを失っている。
(……来るだろうか。のぞみさん、今日も来てくれるかな)
昨日の光景が何度も脳裏に蘇る。
定期券売り場での偶然の邂逅。
そして、忘れられない瞬間――彼女からの微笑みと会釈。
(もう僕らは……ただの赤の他人じゃない。そうだ、きっとそうだ)
遠くで電車の接近を告げるアナウンスが響く。
ホームの人の流れが前へと詰まり、緊張感が一気に高まった。
やがて急行がホームに滑り込み、ドアの前に停車する。
車体の窓ガラスに反射する人影を、ゆうは無意識に探していた。
(……いた!)
反射するガラスに映る姿。
少し後方、自分の二人後ろに並ぶのぞみの姿が確かにそこにあった。
肩にかかる黒髪、静かに立つ姿。その存在だけで、胸が大きく波打つ。
(……よかった。今日も、来てくれたんだ)
ドアが開き、一斉に乗客が流れ込む。
混雑の中で、ゆうは吊り革を掴むのがやっとだった。
のぞみは、いつもの場所――ドア横の手すりの定位置に立ち、鞄を胸の前に抱えている。
(ど、どうしよう。もし僕から挨拶したら……返してくれるかな?)
視線を泳がせ、落ち着かない手つきで吊り革を握るゆう。
胸の奥では鼓動が爆竹のように弾け続けていた。
そして、その時。
のぞみがふと顔を上げ、まっすぐゆうの方を見た。
ニッコリと、微笑んだ。
続けて、昨日と同じように小さく会釈をする。
(――っ!!)
心臓が跳ね上がり、呼吸が止まる。
視界が一瞬白くなるほどの衝撃だった。
(の、のぞみさんが……! また僕に……!)
目を大きく見開き、言葉を失うゆう。
だが遅れて、必死に笑顔を作り、小さく頭を下げて返した。
ぎこちなく、頼りない動きだった。
しかし――それでも、返すことができた。
のぞみはさらに柔らかい笑みを浮かべ、それから鞄を開けた。
取り出したのは、いつもの英単語帳。
ページを開き、指で文字をなぞりながら黙々と確認を始める。
その自然な仕草に、ゆうは胸を締めつけられる。
(……間違いない。のぞみさんは僕をちゃんと認識してくれてるんだ)
胸の中で何度も繰り返す。
その15分間、電車がいくつ駅を過ぎたのか、ゆうはまるで覚えていない。
ただ彼女の笑顔の余韻と、自分の高鳴りだけが支配していた。
電車は難法駅に到着する。
ドアが開くと、波のような人の群れがホームに吐き出される。
のぞみはいつものように、右手側の改札へと歩き出す。
背筋を伸ばし、人の流れの中でしっかりと進んでいく。
ゆうも少し遅れてホームへ。
彼の改札は反対側、左手だ。
しかし足を運びながらも、つい彼女の後ろ姿を探してしまう。
(……行っちゃう。けど、見ていたい)
人の波に逆らいながら、チラチラと視線を向ける。
その瞬間、前から来た人にぶつかってしまった。
「わっ……す、すみません!」
慌てて頭を下げ、再びのぞみを探す。
しかしすでに彼女の姿は、人混みの中へ溶け込んでいた。
それでも――胸の鼓動はまだ収まらない。
歩きながらも、心臓は高鳴り続けていた。
(今日も……ちゃんと、会釈してくれた。僕はもう、ただの“知らない人”じゃないんだ)
その確信だけが、ゆうを支えていた。
ここからは、
清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん
ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんのレビュータイム
なっちゃん「はい来ましたー!西元山駅7時10分!昨日定期券売り場で会った次の日やで〜!」
カナちゃん「いや〜これ、もう“恋の連続ドラマ”始まってるやん!しかも舞台はラッシュの駅やで?最高のシチュエーションやんか!」
なっちゃん「ゆうくん、もうさ、ホームでドキドキしすぎて心臓の鼓動聞こえてそうやもん。“のぞみさん来るかな…”って。かわいすぎん?」
カナちゃん「うんうん!しかもガラス越しに発見した時の“いた!”って声!マンガの主人公か!って思ったわ(笑)」
なっちゃん「わかる〜!で、2人後ろに並んでるのぞみちゃん、ドア横の定位置にサラッと立つわけやん?もうこの“定位置”って言葉がさ、生活感と特別感を同時に出してるよね!」
カナちゃん「ほんでやな、来たよ来たよ!ニッコリ微笑んで会釈するのぞみちゃん!!いやもうこれ、完全に“認識済み”やから!」
なっちゃん「そうそう!ゆうくんの“もう僕たちは赤の他人じゃない”って心の声、ズキュンって来た!いや〜青春っていいなぁ〜!」
カナちゃん「でもさ!返す会釈が“ぎこちない笑顔”って!かわいいな〜ゆうくん!100点中、正直45点くらいやけど、逆に好感度120点やわ!」
なっちゃん「でやでや!のぞみちゃんがまた英単語帳出すの!ここがまたリアルやん。“恋は恋、勉強は勉強”っていう姿勢!ギャップ萌えやん!」
カナちゃん「そうそう!ゆうはもうドキドキしすぎて、15分間の記憶ゼロやしな(笑)恋のタイムワープやん!」
なっちゃん「ラストもいいよね。難法駅で人混みに消えるのぞみちゃんを見て、“まだドキドキしてる”って。もうこれ、絶対また明日も会うやつやん!」
カナちゃん「うん、これ“名前を知らん2人の、最初の15分”って感じ。続きが気になるやつやわ!」




