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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-3章 のぞみ視点 のぞみの決断
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運命の試験結果

新幹線の車窓を流れていく冬の景色。ビルの群れが途切れると、突然、真っ白に雪をかぶった富士山が姿を現した。


のぞみは思わず、窓に身体を寄せる。快晴の空にくっきりと浮かび上がるその山は、今まで見たどんな写真よりも美しかった。


「……きれい」

小さくつぶやいて、スマホを取り出す。シャッター音が静かな車内に控えめに響く。撮った写真をすぐにLINEに添えて送った。


——「富士山がとてもきれいだよ」


送信のボタンを押した瞬間、胸がどきどきして落ち着かなくなる。既読がつくまでのわずかな時間が、やけに長く感じられた。


数秒後、ポン、と通知が鳴る。


——「ありがとう!とってもきれいだね!頑張ってね」


そのシンプルな言葉を見た瞬間、のぞみの心臓がじんわりと温かくなる。

唇を噛みしめながら、画面を見つめる。


「……頑張ってね、かぁ」


たった五文字。でもその裏に、ゆうの真っ直ぐな気持ちや、自分を信じて送り出してくれる優しさが隠れているような気がした。


のぞみはスマホをぎゅっと握りしめ、窓の外へ目をやる。


——ゆう君、今、何してるんだろう。


自分が試験を受けている間、ゆうはいつものように学校に行っている。教室で友達と笑ったり、休み時間に他愛もない話をしたりしているはずだ。

それは当たり前のことなのに、なぜか切なさがこみ上げる。自分がここにいない、その日常の中に自分がいないことが、少しだけ寂しかった。



入試当日。

冷たい空気が張りつめた朝。会場に向かう足取りは自然と早くなっていた。

緊張で喉が渇き、手のひらはじっとりと汗ばんでいた。


——落ちてもいいなんて、絶対に思っちゃだめだ。

ゆうがそんなこと望むはずがない。

お父さんやお母さん、夏美をがっかりさせるわけにはいかない。


のぞみは心の中で繰り返し自分に言い聞かせ、全力で答案用紙に向かった。



1週間ほど経ったある日。

夕暮れの光が差し込む居間に、家族がそろっていた。


母が、白い封筒を手にしている。

「のぞみ。今日、関東の大学から結果が届いてるわよ」


夏美が目を丸くして身を乗り出す。

「えー、やば!私の方が緊張するんだけど!」


父は黙ったまま腕を組んでいた。その表情は読めない。


のぞみの心臓は、胸を突き破りそうに脈打っている。

「……」

喉がカラカラに乾き、封筒を受け取る指が小刻みに震えた。


——とうとう、この時が来た。


静寂の中、封を開ける音がやけに大きく響く。

視線が紙に吸い寄せられる。


そこにあったのは——


「……合格」


目に飛び込んできた二文字に、全身の力が一気に抜ける。


「やったわ!のぞみ、おめでとう!」

母が歓喜の声を上げ、両手でのぞみを抱きしめる。


「すごい!お姉ちゃん、ほんとすごい!」

夏美が笑顔で飛びつき、のぞみの肩にしがみついた。


父は静かに頷いた後、低い声で言った。

「おめでとう、のぞみ。よく頑張ったな」

そして、ごつごつした手で、そっと娘の頭を撫でる。


のぞみは「ありがとう」と答え、笑顔を見せた。

けれど、心の奥底は複雑で、言いようのない不安が渦巻いていた。


——これで、本当に関東へ行くことになる。

そうしたら、ゆう君とは……。


胸の奥に小さな痛みを感じながらも、家族には悟られまいと必死に笑った。


夏美が目を輝かせて尋ねてくる。

「ねえ、もう入学届とか出しちゃうの?」


のぞみは微笑んで答える。

「うん……学校の先生と相談してからになると思う」


心の中は嵐のようだったが、表情だけは平静を装った。


——ゆう君には、まだ言えない。

言った瞬間、すべてが現実になってしまいそうだから。


「ねえ、お姉ちゃん」

夏美の真剣な声に、のぞみはハッと顔を上げる。


「……なに?」


「嬉しくないの?」


思いがけない問いに、のぞみは言葉を失った。


「え……?」


「だって、なんか全然嬉しそうに見えないんだもん。本当に合格で良かったの?」


夏美の目が、まっすぐに姉を射抜く。


のぞみは一瞬、息をのんだあと、ぎこちなく笑った。

「……嬉しいよ。もちろん」


その笑顔は少し引きつっていた。

夏美はじっと姉を見つめていたが、それ以上は何も言わなかった。


静かな空気が流れた、そのとき。


母が新たな封筒を手にして口を開いた。

「のぞみ。もう一通届いているのよ。滑り止めで受けた関西の大学の結果。まあ、第一志望に受かったから、こっちはもういいけど……お断りの連絡はしないといけないからね」


その言葉に、のぞみの呼吸が止まった。

胸の奥で、何かが大きく揺さぶられる。


——関西の大学……。


心臓の鼓動が再び速くなる。

未来は一つに決まったはずなのに、もう一つの道が目の前に差し出されたような気がして、のぞみは深く息を呑んだ。


……そうだった。関西の大学も受けていたんだ。


のぞみの視界に、母の手の中の封筒が映った。無意識に足が前へ出る。


「お母さん、ちょっと待って!それ見せて!」


母が開けようとした瞬間、のぞみは思わずその封筒を奪い取った。手が震えている。破り取るように封を開け、中を覗き込む。


——合格。


その二文字が目に飛び込んできた途端、息が喉に引っかかり、声にならない声が漏れた。


母が怪訝そうに首を傾げる。

「のぞみ?どうしたの、そんな顔して」


「……ううん、なんでもない」


唇を噛み、視線を封筒に落とす。そこには確かに、関西の神泉大学の合格通知が印字されていた。


胸の奥で、何かが大きく動いた。


——関東の大学か、関西の大学か。


今まで迷いなんてなかった。第一志望は関東、それが当たり前だと自分に言い聞かせてきた。

でも、今は違う。


のぞみ心の声 関西の大学に行けば、ゆう君と離れずに済む。


夏美が覗き込みながら、首をかしげる。

「お姉ちゃん、なんでそんなに真剣な顔してるの?怖い顔してるよ」


のぞみは深呼吸し、封筒を抱きしめるように胸に当てた。


「……ねえ、お母さん、お父さん、ちょっと話したいことがあるの」


その場の空気が一瞬で張りつめる。母も父も、そして夏美も、真剣な表情でのぞみを見つめた。



リビングに全員が集まった。いつもは賑やかな食卓の部屋が、今はまるで裁判所のように静かだ。のぞみの心臓はどくどくと脈を打ち、耳の奥でその音が反響している。


のぞみは座卓の前にきちんと正座し、覚悟を込めて口を開いた。


「私……関西の神泉大学に行きたい」


空気が止まったように感じた。母が目を見開き、父は黙ったままのぞみを凝視する。


「……でも、あなた、関東の大学が第一志望だったんじゃないの?」

母の声は驚きと戸惑いが入り混じっていた。


「うん。そうだったんだけど……」

のぞみは言葉を選びながら続ける。

「でも、関西にいたいって思ったの。向こうでの生活を想像したら、なんだか違うなって。こっちで学びたい、暮らしたいって気持ちが強くなってきて……」


もちろん、本当の理由——ゆうの存在は言えない。

でも嘘ではなかった。心の底から、この街に、この場所に、残りたいと思っていた。


しばしの沈黙。


「……そうか」

父がようやく口を開いた。低い声が部屋に響く。

「自分でそう決めたなら、それでいい。父さんは反対しない」


母もふっと息をつき、表情を緩めた。

「のぞみが考えて出した答えなら、私も尊重するわ」


夏美はぱっと顔を輝かせ、両手を叩いた。

「やった!お姉ちゃん、関西に残るんだ!本当にうれしい!」

その声は部屋の緊張を一気にほどき、明るい笑い声が広がった。


のぞみは大きく息をつき、微笑んだ。

「ありがとう……お父さん、お母さん」


心の奥で、そっと囁く。

——これで、ゆう君と離れなくて済む。



次の日から、のぞみの心には新しい悩みが芽生えていた。

この重大な決断を、どうやってゆうに伝えるか。


LINEで簡単に済ませるようなことではない。

朝のわずかな通学時間に切り出すような話でもない。


だから、のぞみは意を決して、朝の電車でゆうに声をかけた。


電車が終点の難法駅に着き、人波がゆっくりと流れ出す。

のぞみは少し勇気を振り絞り、ゆうの横顔に言葉を投げた。


「ねえ、ゆう君……今度の土曜日、空いてるかな?また予備校が午前で終わるから、そのあと一緒にごはん食べに行きたいな」


一瞬の間。

ゆうが振り向き、柔らかな笑顔を浮かべる。


「うん、大丈夫だよ」


その言葉に、のぞみの胸が一気に軽くなる。肩から余計な力が抜け、深く息を吐いた。


——これで、ちゃんと伝える時間が作れる。


同時に心臓が高鳴る。声が出ないほどの緊張と、未来への期待が入り混じっていた。


のぞみ心の声 関西の神泉大学に進学することを伝えたら、ゆう君はどんな顔をするだろう?驚くのかな、それとも……喜んでくれるのかな。


彼の反応を思い浮かべるだけで、頬がほんのり熱くなる。


——土曜日、ちゃんと伝えよう。


ゆうにとって自分の選択がどう映るのかはわからない。

けれど、この決断に後悔はないと胸を張れる。


のぞみ心の声 土曜日、ゆう君に伝えたら……きっと、もっと幸せな気持ちになれる気がする。


そう信じながら、のぞみは改札を通り抜けていった。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん 「きゃーーー!ついに入試よ!?もう、のぞみちゃん秀才やけん絶対受かるって思いよったけど…ほんまに合格やって、うち涙出そうやわ!」


カナちゃん 「せやろ!?『合格』の二文字出た瞬間な、わたしも心臓ドカーンいったで!お父さんが『よく頑張ったな』って頭ポンポンするんも反則やんか!父親版キラーカードやで!!」


なっちゃん 「わかるんよ!父さんの無骨な手が、のぞみちゃんの頭撫でるときの重みよ!もう、ここでエンドロール流れてもええくらいやった!」


カナちゃん 「でもな、そこで急展開や。関西の神泉大学も合格しとるとか!え?なにそれ!?恋と進路の二重スパイやん!」


なっちゃん 「ほんまに!『関東いくけん』って思わせといて、『やっぱり関西に残る』言うた瞬間な、わたし椅子から落ちかけたよ!」


カナちゃん 「わたしもソファで正座したわ!もう裁判所シーンやんか!『被告、関西に残りまーす!』みたいな(笑)」


なっちゃん 「でも心の声よ!“これで、ゆう君と離れんで済む”……もう死ぬって!なんでここで爆弾落とすんよ!」


カナちゃん 「ほんまやで!わたしらの心臓、受験より先に試験突破してもうてるわ!あかんあかん、のぞみちゃん可愛すぎる!」


なっちゃん 「しかも次の土曜日、ちゃんとごはんに誘って伝えるんよ!もうこれ、告白みたいなもんやん!」


カナちゃん 「そうそう!『また一緒にごはん』=『運命共同体宣言』や!ゆう君、絶対腰抜けるって!」


なっちゃん 「ほやけん、これはもう恋愛ドラマ超えて、青春裁判劇よ!判決は“二人幸せになりなさい”って!」


カナちゃん 「異議なしやな!」


なっちゃん 「ここで視聴者さんからのお便り読むけん!」


——ラジオネーム「受験票に涙」さん

「のぞみちゃんが関西に残るって決めたとき、私も自分の進路決めたときのこと思い出しました。好きな人の近くにいたい、それも立派な理由だと思います!」


カナちゃん 「出た!青春応援団!ほんまやで、理由に点数つけるんちゃうんや!恋心も立派なパスワードや!」


——Xコメント「#心臓持たん」

『富士山の写メからの“頑張ってね”で泣いたのに、その後関西残留で号泣した。二段階爆撃やん』


なっちゃん 「ほんまそれ!富士山で胸打たれて、次の瞬間新幹線から心臓飛び出すレベルやったけん!」


カナちゃん 「もうこれ、恋愛花火大会やな!一発ドーンどころか、連発スターマインや!」


——ラジオネーム「カフェオレ片手に泣いてます」さん

「土曜日に伝えるってシーン、呼吸止まりました。ゆう君の『うん、大丈夫だよ』があまりに優しくて、もう電車の中で倒れるかと思いました」


なっちゃん 「わかるわぁ!あの“うん、大丈夫だよ”って、ただの返事やないんよ。心にエアバッグつけてくれる安心感なんよ!」


カナちゃん 「ほんでそれを土曜にぶち込むんやろ!?あかん!わたし心臓の定期券買わなあかんわ!」


——Xコメント「#神泉大バンザイ」

『ありがとう神泉大学!お前がいてくれてほんまによかった!』


なっちゃん 「大学に感謝する日が来るとは!神泉大学、わたしらのラブストーリー守護神やけん!」


カナちゃん 「うちら立ち上げようや、“神泉推し隊”!」


なっちゃん 「結論、のぞみちゃんの選択は正義!ゆう君との未来は無限大!」


カナちゃん 「そやそや!入試はただの関門や!ここから先、青春大本番の開幕やでー!!」


なっちゃん&カナちゃん 「はぁぁぁぁーー!もう胸いっぱいで死ぬーーー!!!」

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