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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-2章 のぞみ視点 新しい景色
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新しい景色

翌朝

家を出るとき、のぞみは心臓がせわしなく跳ねるのを抑えられなかった。

いつもならギリギリに駅へ飛び出して、肩で息をしながら電車に飛び乗る自分。

けれど今日は違う。10分も早く家を出て、まだ冷え残る朝の空気を胸いっぱいに吸い込んでいた。


廊下で靴を履くとき、夏美がじっとこちらを見ていた。

夏美の目は「ふふん」とでも言いたげに細まり、頬がにやりと上がっている。

「お姉ちゃん、なんか今日やけに早いじゃん?」

何気ない一言だったけど、のぞみの耳には図星を刺されたように響いた。

「べ、別に……」と言いながら玄関を出た瞬間、顔が熱くなるのを感じた。


西元山駅のホームに立つ。

いつもの場所。いつもの景色。

けれど、今日の空気はまるで違っていた。

ホームに射す朝の光が、少しだけ眩しく感じられる。足元を通り過ぎる風がやけに柔らかく感じられる。


のぞみ心の声 だって、今日は“彼”を待っているんだもの。

もう「名前も知らないただの人」じゃない。

昨日、やっとつながることができた“ゆう君”。

私はいま、ここでその人を待っている。


落ち着かない。胸が暴れる。

のぞみはスマホを取り出しては、画面を一度見て、すぐにしまい、また電光掲示板へ目をやった。

「7:15発」の文字がやけに遠く感じる。

のぞみ心の声 ああもう、完全に挙動不審……!誰かに見られてないよね!?


そんなときだった。

階段の上から、見覚えのある影が降りてくる。

制服の肩の落ち方、背丈、歩き方……一瞬で分かる。


のぞみ「……ゆう君だ」


思わず小さくつぶやいた瞬間、胸の奥がぎゅっとつかまれたように痛くなった。

呼吸を止めてしまう。まるで時間がそこで止まったみたいだった。


階段を降りてきたゆうは、のぞみの姿を見つけると、一瞬だけ表情を揺らした。

驚いたように目を見開き、それから少し照れたように笑みを浮かべる。


ゆう「お、おはよう……のぞみさん」


のぞみの中で、世界が一気に光に包まれた気がした。

のぞみ心の声 わあ……!たったひとつの「おはよう」で、こんなにも心臓が暴れるんだ……!どうしよう、朝からもう心が大変なことになってる!


けれど、ここで黙り込んではいけない。

せっかく昨日、勇気を出して一歩踏み出したのだ。

ここでまた距離を戻してしまうなんて、絶対にいやだ。


のぞみ「……おはよう、ゆう君」


声は自分でも驚くほど上ずっていた。

言葉に震えが混じっているのを感じる。


少し間を置いて、のぞみは思い切って口を開いた。

のぞみ「ねぇ、昨日は……よく眠れた?」


一瞬、ゆうの動きが止まる。

ゆう「えっ……」


のぞみは慌てて笑うように続けた。

のぞみ「私ね、全然眠れなかったんだ。ゆう君と今日またお話できるんだって思ったら……わくわくして、ドキドキして……」


頬が赤くなる。けれど、もう止められなかった。

昨日からずっと胸の奥で温めてきた言葉が、今あふれ出していた。


すると、ゆうが少し視線を落としてから、真っ直ぐこちらを見る。

ゆう「僕も……実は眠れなかったんだ」


のぞみ「えっ、本当に?」


ゆう「うん。明日からまた……のぞみさんに会えるんだって思ったら、楽しみで……」


その言葉を聞いた瞬間、のぞみの胸が一気に熱を帯びる。

胸の奥に隠していた不安が、ぱっと霧のように晴れていく。

彼の瞳の奥にある真剣さが、のぞみに伝わってくる。


のぞみは嬉しさを隠すことなく、ぱっと笑顔を浮かべた。

のぞみ「ふふっ……やっぱり。だから今日は早く来ちゃったんだよね?」


ゆうは一瞬慌てたように視線を泳がせた。

ゆう「そ、そんな……いや、まぁ……」


頬をかきながら、必死に照れ隠しをしている。

その姿を見て、のぞみの中にあった緊張の糸がふっとほどけた。

心臓はまだ騒がしいけれど、それでも彼と並んで立っているだけで、安心感に包まれていくのだった。


——そして、ホームに吹き抜ける朝の風が二人の間をやさしく撫でていった。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん「ちょ、ちょっと待ってやカナちゃん……!わし今、胸の中が爆発しそうなんよ……!なにこれ、のぞみちゃん、普段ギリギリで駅着く子が……今日は10分も早よ出て行っとんよ!それだけでドラマの開幕ベル鳴った気がするわい!」


カナちゃん「せやねん!普段“ゼーゼー”しながら乗り込む子が、今日は余裕かましてホームで待っとるんやで!?ほんで理由が“ゆう君を待つため”とか……うわああ!たまらん!二人とも早くホームに来てる!」


なっちゃん「わしもう悶絶や……!夏美ちゃんに“早いやん?”てツッコまれて、顔真っ赤にして家出るのぞみちゃん……かわいすぎるわい……!妹にバレとるのに認められん感じ、青春の醍醐味すぎる!」


カナちゃん「分かる!でな、その後ホームに立つのぞみちゃんの描写よ!光がちょっとまぶしく見えるとか、風が柔らかく感じるとか、完全に“恋する乙女フィルター”かかっとるやん!もうホームがテーマパークに見えとる!」


なっちゃん「ほんでや!来たんよ、階段から!ゆう君!影見ただけで即わかるんよ!“……ゆう君だ”ってあの小さな声!あそこでわしは正座したわい!」


カナちゃん「せやせや!あんなん声に出してもうたら、心の中じゃなくて現実に“好き”漏れてもうてるやん!ほんでゆう君も“お、おはよう……のぞみさん”て!ちょっと声震えとるんや!青春か!?いや青春や!」


なっちゃん「のぞみちゃんの心の声も最高やったわ。“たった一言のおはようで心臓が暴れる”て!わしもう机ドンドン叩いて叫んだわ!わかる、わかるんよ!」


カナちゃん「せやけどすごい勇気やな!練習してたセリフ出したんや。“昨日眠れた?”って!普通聞かんで!?初期段階やったら“電車混んでるね”ぐらいやん!?いきなり“眠れんかった”トークぶっ込むとか!」


なっちゃん「けんどな、それにゆう君が答えるんよ。“僕も眠れなかった”って!……お、おい!言うんかい!互いに眠れんかったんかい!これもう両想い証拠やん!」


カナちゃん「ほんでや、のぞみちゃんの顔がパッと笑顔になるシーン!あれな、花火上がった瞬間くらいパッて光っとるんや!胸の不安ぜんぶ吹き飛んだ笑顔!もう読んどるこっちも抱きしめたくなる!」


なっちゃん「いや〜最後の風よ。ホームを吹き抜ける風が二人の間をなでるって……なにその詩的演出!わしら観客まで包み込まれとる気持ちになったわ!」


カナちゃん「いやほんまやで。電車来る前の25分が永遠に続いてほしい、そんな気持ちになったわ!」


——


カナちゃん「さてさてここでや、視聴者の皆さんから届いたはがきやXのコメントも読ませてもらおか!」


なっちゃん「おっしゃ、読むで!」


カナちゃん「“大阪府・ペンネーム恋に落ちたいさん”からのお便りや。『二人のやり取り、まるで朝ドラ観てるみたいで泣きそうになりました。ホームが聖地に思えてきます』……ああ、分かる!ホームが聖地!」


なっちゃん「わしらもう巡礼したい気持ちやわ!“西元山駅に行って空気吸いたい”ってなっとる!」


カナちゃん「ほな次な、Xのコメント。“#西元山カップル尊い”ってタグできとる!『眠れなかった告白合戦は世界一かわいいバトル』って書いてある!」


なっちゃん「かわいいバトルって表現最高やな!ほんま、戦場の銃撃戦より心臓撃ち抜かれる威力あるわい!」


カナちゃん「次のコメント。“のぞみちゃんのスマホちらちら見てるの、完全に『開演前の楽屋で落ち着かんアイドル』みたい”って!分かるわー!そわそわ感!」


なっちゃん「わしも見えたわい!スマホがマイク、掲示板が観客席に見えとるんよ!スターの登場待ちよ!」


カナちゃん「ほんまや!ゆう君が階段から降りてきた瞬間は、まるで幕が開いた舞台やった!」


なっちゃん「そやけん視聴者のみんなも一緒に立ち会っとる気持ちになっとるんやな……!ええわい!」


カナちゃん「ほんま、今日のシーンは“尊さで呼吸困難注意報”やで!」


なっちゃん「わしもう救急車呼びそうやわ!」


——


ここで番組の二人、声をそろえて


なっちゃん・カナちゃん「のぞみちゃん!ゆう君!あんたら……尊すぎるんじゃ〜〜〜!」

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