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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-1章 のぞみ視点 出会い
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初めて交わした言葉(前編)

あれから長い一週間が過ぎた。布団に沈みこむように寝込んでいた高熱はもう去り、体はようやく軽さを取り戻した。医者からは「もう一日、自宅で安静に」と念を押されていたけれど、のぞみの心は、じっとしていられるほど落ち着いてはいなかった。


何度も夢に見た顔。あの人――電車の同じドアから乗り込んでくる少年の姿。彼は今もいつものホームで、変わらずに電車に乗っているのだろうか。のぞみが姿を見せなくなってから、もう何日も経っている。もし彼が待ち続けてくれているのなら……でも、もしかしたら別の電車に変えてしまったのではないか。そう思うたびに胸の奥がぎゅっと締めつけられる。


のぞみ(心の声)「……やっぱり、どうしても会いたい。確かめたい……」


夕方、のぞみは決心した。今日はまだ療養中で外出は控えるべきだとわかっている。でも、もうじっとしていられない。外の空気を吸えば、少しは大丈夫なはず。そう自分に言い聞かせて、のぞみは駅へと向かった。


西元山駅の階段を上がる。ここは帰宅してくる人たちが必ず通る場所。今はちょうど下校時刻で、制服姿の高校生たちが次々に階段をのぼってくる。


のぞみ(心の声)「……もし、今日来なかったら?でも、そんなことを考えちゃだめ。私はただ……待つんだ」


のぞみは人波に逆らうように立ち尽くし、目を凝らして階段の上を見つめ続けた。人の気配、制服の群れ、ざわめき。時間の感覚はどんどん薄れていく。ただ心臓の音だけが、自分の中で強く響いている。


どれほどの時間が過ぎただろうか。次々と顔の知らない生徒たちが通りすぎ、流れは少しずつ落ち着いていく。もう帰らなければ――そう思い始めたその瞬間だった。


――あ。


のぞみの瞳が釘付けになる。見間違えるはずのないシルエット。階段をのぼってくるその少年は、少し猫背で、目をこすりたくなるような眠そうな表情をしている。だけど、それは何度も夢に浮かべた姿そのもの。


のぞみ(心の声)「……来た……本当に、来た……!」


全身に電流のような震えが走った。のぞみの足は考えるより先に動いていた。心臓が胸から飛び出しそうなほど大きく打ち、息は浅く速くなる。


ゆうも、人混みの中でのぞみを見つけたらしい。階段の途中で一瞬立ち止まり、目を丸くしてこちらを見ている。驚きと、戸惑いと……それでも確かに気づいてくれている。


のぞみの視界が一瞬だけにじむ。体の奥にこみあげてくる熱に突き動かされて、彼女は駆け寄った。


「……おかえりなさい……ずっと待ってたの」


その声は、自分でも思っていたよりも震えていた。必死に押さえ込んできた気持ちが、堰を切ったようにあふれ出していた。


唇からこぼれたその言葉は、意識するより先に形になっていた。自分でも、どうしてそんな言葉を言ったのか分からない。ただ、気づけば声になっていた。


ゆうの瞳が驚きで大きく開かれる。周囲のざわめきが遠くに消え、夕暮れの空気の中、二人の鼓動だけが響いているかのようだった。


のぞみの鼓動は、もうどうしようもないほど速く、熱く、彼女を包み込んでいた。

それは、のぞみとゆうが初めて交わした言葉――そして、二人の物語が確かに動き出した瞬間だった。


のぞみが駆け寄り、勇気を振り絞るように声を出したとき、ゆうの表情は驚きから少し柔らかさを帯びていった。


「ありがとう。……今までどうしてたの?」


その一言が耳に届いた瞬間、のぞみの心臓は大きく跳ね上がる。まるで胸の奥で小さな鐘が鳴り響くようだった。


のぞみ(心の声)「え……今までどうしてたのって……それって、私のことを気にしてくれてたってこと? ずっと、ただの片思いだって思ってた。私が勝手に見て、勝手に想ってただけなんじゃないかって……でも、違った。ゆう君は……私のことを考えてくれてたんだ……!」


胸の奥がじわじわと熱くなる。のぞみは少し俯きながら、でも伝えなきゃいけない気持ちが溢れて、ゆっくりと言葉をつむいだ。


「私ね……インフルエンザになって、ずっと休んでたの。明日からやっと登校できるんだけど……その間、ずっとあなたに会えなくて……」


唇が震え、声がかすれる。自分の気持ちをさらけ出すのは恥ずかしい。けれど、それ以上に伝えたい思いが背中を押していた。


「だから……今日ちょっとだけフライングしちゃったの。あなたが帰ってくるのを……ずっと待ってたの」


言葉が出た瞬間、自分でも顔が熱くなるのが分かった。頬に夕陽の赤みが重なって、さらに火照っているみたいだった。彼がどう思うだろう。困らせてしまうんじゃないか。怖さと期待が胸の中でせめぎ合う。


のぞみ(心の声)「ゆう君……どんな顔してるの……」


恐る恐る顔を上げると、ゆうの表情は、のぞみの想像とは少し違っていた。驚きの後に浮かんでいたのは、安堵。肩の力をすっと抜いたような、優しい安堵の色だった。


その顔を見た瞬間、のぞみの胸の奥で張り詰めていたものがふっと解ける。迷惑なんかじゃなかった。ちゃんと届いていたんだ。


「……そうだったんだ」


ゆうの声は落ち着いていて、でもどこか震えているようにも聞こえた。


「……だからいなかったんだね。本当に……本当に心配してたんだ」


——え?


耳に飛び込んできた言葉に、のぞみは一瞬呼吸を忘れる。驚きと喜びと、混ざり合った感情が一気に押し寄せる。


のぞみ(心の声)「私のこと……心配してくれてたの? そんなふうに言われたら……嬉しすぎて……どうにかなっちゃいそう」


体が震える。足がうまく支えてくれないほどだった。緊張と喜びと、抑えきれないほどの幸福感がのぞみの体を支配する。


今にも涙がこぼれそうで、でもここで泣くのは恥ずかしいと必死にこらえる。指先に力を込めて、ぎゅっと握りしめる。震えを押さえつけるように。


のぞみ(心の声)「こんなに幸せになれるなんて、思ってもいなかった……」


やっと、やっと言葉を交わせた。これまでは顔を知っているだけの存在。それが、今は確かに知り合いへと変わった。


だけど、このまま「じゃあね」と別れてしまったら、また名前も知らない人に戻ってしまう。夏美の卒アルで、のぞみは彼の名前を知っている。せっかく訪れたこの瞬間を、無駄にするわけにはいかない。


のぞみ(心の声)「自己紹介……自己紹介するのよ、のぞみ!」


鼓動の速さに負けないように、唇を震わせながら言葉を紡ぐ。


「本当に?……心配してくれてたんだ。嬉しい……。……あの、あなた、ゆう君でしょ?私、のぞみって言うの」


一瞬の沈黙。夕暮れの風が二人の間を通り抜けた。


——彼に自分の名前を告げた瞬間。のぞみの中で、この出会いが本物へと変わっていく。


ゆうは驚いたように目を見開き、それから少し照れたように視線を逸らした。その顔に、不思議と嬉しそうな色がにじんでいるように見えた。


のぞみはまだ足の震えを抑えられなかった。でも、不思議と怖さはなかった。胸の奥で何かが確かに灯って、暖かさに変わっていくのを感じていた。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


なっちゃん「……ちょ、ちょっと待ってぇぇぇ!!のぞみちゃんが!ゆう君に!しゃべったんやけどぉぉ!!」


カナちゃん「ぎゃあああああ!!出たぁぁぁ!ついに、ついにこの日が!!わたしら何話待った思てんねん!?もう心臓飛び出るで!!」


なっちゃん「うち、ほんま鳥肌立ったわ……“おかえりなさい、ずっと待ってたの”って、何やあのセリフ!?愛の花火がいきなり夜空にドカンやん!」


カナちゃん「やばい、やばい!普通な、少女漫画やったら10巻目くらいの大イベントやん?それを……今やで!今ここで出してくる!?ほんでゆう君が“心配してたんだ”言うて……うわぁぁぁ死んだ!」


なっちゃん「いやいやいや、死んだらいかんよ!でもわかる、わかるんよ!胸がぎゅぅぅぅぅって締めつけられるんよ!あの瞬間、のぞみちゃんの鼓動、絶対わしらの耳にも聞こえとった!」


カナちゃん「せやろ!?鼓動がゴーンゴーンって鳴っとる!まるで寺の鐘や!108回どころやないで!一瞬で300回は突いとるわ!」


なっちゃん「ほな“のぞみ”って名乗ったとこ!あれはもう伝説よ!歴史の教科書に書いといて欲しいわ!“2025年、のぞみちゃん初めての自己紹介事件”って!」


カナちゃん「のぞみちゃん勇気すごすぎやろ!フライングで駅まで行って、心臓ばくばくで、名前まで告げて……これもう青春のオリンピック金メダルや!」


なっちゃん「そうそう!100m走の最後、ゴールテープ突き破るみたいな勢いやった!汗も涙も混ざって、夕焼けがライトアップして……舞台装置完璧やん!」


カナちゃん「ほんまや、これ1話で収まるか!?いや、2話に分けんとアカンやつや!後編まだ待ってるんやけど!頼むから次話もはよ!!」


なっちゃん「はぁぁ……胸いっぱいでお腹すいたわ……」


カナちゃん「感情と胃袋はリンクしとるなぁ……」


(しばし二人とも息を整える)


カナちゃん「ほなここで、視聴者からのはがき読もか!ほら、“Xのコメントも拾ってぇ〜!”ってめっちゃ来とるし!」


なっちゃん「おお、いくでぇ!」


――はがき1通目

『のぞみちゃんの“おかえりなさい”で泣きました。自分の初恋を思い出して、胸がぎゅうぅぅっとなりました』


カナちゃん「わかるわぁ!これな、青春の味はレモンとか言うけど、今日は完全にハチミツレモンやな!甘酸っぱくて喉にしみるやつ!」


なっちゃん「ほんで後からくる優しさよなぁ……ゆう君の“心配してた”の一言、あれはもうシロップたっぷりや!」


――Xコメント

『ゆう君の安堵の顔が、私のスマホからも見えた気がしました。のぞみちゃん、幸せになって……!』


カナちゃん「せやねん!画面越しやのに見えたんよ!これはもう電波ちゃうで、“恋の波動”が直接飛んできとる!」


なっちゃん「電波塔も泣いとるわ。“こんな甘い周波数扱ったことない”言うて震えとるで!」


――はがき2通目

『私も昔、体調崩して会えなくなった彼に、勇気出して手紙書いたこと思い出しました。のぞみちゃんの気持ちが痛いほどわかります』


カナちゃん「うぉぉ……青春って、病み上がりに爆発するんよなぁ。体は弱っとんのに、心はメラメラ燃える!これはもう“逆転満塁ホームラン”や!」


なっちゃん「おぉ、それええ例えやな!球場の観客みんな総立ちや!“のぞみちゃん!のぞみちゃん!”て声援が止まらんわ!」


――Xコメント

『ゆう君が“本当に心配してた”って言ったとこ、胸がキュン通り越してズッキュンバッキュンしました』


カナちゃん「ズッキュンバッキュンて、もはや花火大会やん!」


なっちゃん「しかも連発でな!しかも観客全員ハート型のメガホン持っとるやつ!」


(ふたり、机に突っ伏してバタバタ)


カナちゃん「はぁぁ……今日はほんま語彙力が全部飛んだわ……」


なっちゃん「語彙力なんかいらんのよ!愛の電流が走っとるだけでええんよ!」


カナちゃん「次回どうなんねん……わたし、耐えられるかな……」


なっちゃん「耐えられんよ。だから一緒に叫ぼや!視聴者のみんなも!次は伝説の第2幕やでぇぇぇ!!」

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