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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-1章 のぞみ視点 出会い
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灼熱のベッドサイド

「のぞみ、ちょっと待ちなさい!」

母の声が、台所から慌てたように飛んできた。


制服に袖を通そうとした手を止め、のぞみは居間へ顔を出す。

「大丈夫だよ、お母さん。昨日よりだいぶ良くなったから、今日は学校に行こうと思って」

声を張ったつもりだったが、自分でも分かるくらい、弱々しかった。


母は両手を腰に当て、呆れと心配の入り混じった目で私を見据える。

「なに言ってるの。昨日インフルエンザって診断されたばっかりでしょ?お医者さんにも今週いっぱいは休みなさいって言われたの、忘れたの?」

その声色は厳しかったけれど、目の奥にはただただ心配の色があった。


「……でも、本当に熱も下がった気がするし」

そう言いながらも、膝が震えて、力が入らないのを自分でも感じていた。

気持ちだけが前に進もうとして、体は正直に悲鳴をあげている。


母は言葉を遮るように体温計を手渡した。

「いいから、測ってみなさい」


震える指で体温計を脇に挟む。数十秒の沈黙が、永遠のように長い。

ピピピ……と鳴った電子音に目を落とす。


「……38.8℃」


その数字を見た瞬間、心が崩れ落ちる音が聞こえた気がした。

母は眉をひそめ、諦め半分にため息をつく。

「ほら、見なさい。そんな高熱で学校行こうだなんて、どうかしてるわ。ベッドに戻りなさい、今すぐ」


のぞみは強がる気持ちを支えきれず、項垂れたまま自室へ戻った。


布団に身を沈めると、心と体の境界線が曖昧になる。

全身がだるい。頭がぼんやりする。

だけど、涙だけははっきりと頬を伝っていた。


「どうして……どうしてこんなことになっちゃったんだろう……」

声にならない嗚咽が喉を震わせる。


彼に会いたい。ただそれだけなのに。

電車のホームで、少し言葉を交わす。それだけで心が満たされる。

でも、その時間はもう二度と戻ってこないかのように遠ざかっていく。


震える手でスマホを取り出し、メモ帳アプリを開いた。

指先だけが生きているみたいに、言葉を次々と打ち込んでいく。


――今日も彼に会いたかった。彼の顔が見たかった。

――手紙、読んでくれたかな。どんな顔してたんだろう。驚いた?呆れた?それとも……無視された?


熱のせいで視界が霞んでいく。

けれど、心だけは彼の姿を鮮明に描き出す。

あの目、あの立ち姿、電車の扉が開くときの横顔。


――私、ずっと前からあなたを見てたよ。

――最初は偶然だった。でも、気づいたら毎朝探してた。

――もっと知りたい。もっと近くで話したい。


画面に涙が落ちる。指が濡れて、打つ文字がにじんでいく。

それでも止められない。思いが溢れて止まらない。


――次に会えたら、ちゃんと話しかけられるかな。

――あなたは私のことを、どう思ってるんだろう。

――手紙のこと、気にしてくれてる?それとも、もう忘れちゃった?


熱で朦朧とする頭は、同じことをぐるぐると繰り返す。

「彼に会いたい」「声が聞きたい」その二つしか考えられない。


気がつけばスマホを握ったまま、意識がふっと途切れた。


――夢の中。


いつもの電車。いつもの車両。

そこに、彼が立っていた。

ほんの数歩先にいるのに、まるで遠い世界の人みたいに揺らめいている。


「待って……!」

声を必死に張り上げても、彼は気づかない。

ただ、電車の揺れに合わせて遠ざかっていく。


足が動かない。どれだけもがいても、体が前に進まない。

ただ、胸が張り裂けそうになる。


必死に手を伸ばした瞬間、景色が溶けて消えた。


――目を覚ますと、枕が涙で濡れていた。

頬に冷たさを感じて、そこで初めて、自分がどれだけ泣いていたのかを知った。


彼の名も知らぬまま、のぞみの胸の奥には、どうしようもない想いだけが熱よりも熱く燃え続けていた。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


カナちゃん「……あかん。もう……無理や……!」

なっちゃん「わかるわかる!うちも今、涙止まらんのよ……!のぞみちゃん、いじらし過ぎるけん!!!」


カナちゃん「38.8℃やで!?体ガタガタ震えとるのに、それでも“学校行こう”ゆうんやで?いや、学校ちゃうねん!ゆう君に会いたいだけやろ!?それ、もう恋のインフルエンザやん!」

なっちゃん「ほんまよ!体は弱っとるのに、心は全力疾走なんよ。ホームに立っとるゆう君の顔、浮かんでしまうんよなぁ。ああもう、健気すぎて胸がギュンギュンするんよ!」


カナちゃん「しかもスマホのメモ帳に気持ちぶつけるやろ?涙で文字にじませながら。“読んでくれたかな?無視されたかな?”て……もうな!その指先、恋心で燃えよんねん!」

なっちゃん「ほんとに、のぞみちゃんの指先だけが生きとる……って、詩人か!けどその表現がピッタリやと思うんよ。熱で朦朧としながらも、心だけははっきりゆう君を追いかけよるけん!」


カナちゃん「夢の中で“待って!”て叫ぶのもあかんて!足動かんのに、彼だけ遠ざかってくんやで?それもう、少女漫画の名場面やん。布団の中で大号泣や!」

なっちゃん「目が覚めたら枕びっしょりとか、もうベタやけど泣かせる王道なんよ……!こっちも枕抱えて泣きたなるわい!」


カナちゃん「いやこれ、視聴者さんも絶対黙ってへんで。はがき来とるやろ?」

なっちゃん「来とる来とる!えーっと……“ラジオネーム・ホームの鳩さん”から」

(読み上げ)「のぞみちゃん、あんたの涙で枕濡らした分、うちの胸もじんわり重うなったよ。恋って熱より高温やね」

カナちゃん「うわー!鳩さん、比喩の達人やん!ほんまや、熱より熱い!そら体温計も振り切れるわ!」


なっちゃん「ほな次はXのコメントな。“#のぞみちゃん尊い”がトレンド入りしとるけん!」

カナちゃん「ちょ、マジ!?……お、こんなんある。“38.8℃は恋の平熱”」

なっちゃん「うっわー!誰やそんな名言残したん!座布団10枚や!」


カナちゃん「もう一個、“泣きながらメモ帳に打ち込むのぞみちゃんの姿=燃え尽きる線香花火やん”て書いてあるわ」

なっちゃん「線香花火!あぁ……消えそうやのに最後まで輝こうとする姿、まさにのぞみちゃんなんよ。言葉の破壊力えぐいけん!」


カナちゃん「これ聞いてる人全員、今すぐ枕濡らしてると思うで。いやほんま、この回の感想欄、“全国的な梅雨入り”くらいの涙やろ!」

なっちゃん「いやそれどころか、“西日本豪雨”クラスかもしれんわ!あーもう、のぞみちゃん!健気過ぎて心臓が持たんけん!!!」


カナちゃん「ゆう君!あんた早よ気付いたれや!電車で待たせたらあかんのや!」

なっちゃん「ほんまよ!のぞみちゃんの想い、もう洪水警報発令レベルやけん!!」


カナちゃん「はい、今日も感情が崩壊しました……」

なっちゃん「視聴者のみんなも一緒に崩壊したよな!のぞみちゃんとゆう君、これからどうなるんやろ……うちら、命賭けて見届けるけん!」


カナちゃん「視聴者も共感爆発しとるで。ほら、はがき来てる。“ラジオネーム:泣き枕三丁目さん”」

(読み上げ)「のぞみちゃんの涙が布団を濡らした瞬間、うちの心のダムも決壊しました。もう洪水警報です」

なっちゃん「いやそれな!うちらも今、スタジオ冠水しとるけん!タオル配らな沈むわ!!」


カナちゃん「次、Xのコメント。“#のぞみちゃんインフル尊い”がバズっとる!」

なっちゃん「見せて見せて……あ、“恋はウイルス、うつされたいやつここにいる”」

カナちゃん「感染希望者続出やん!てかこれ、ラブストーリー界のパンデミックやで!」


なっちゃん「お、こっちは“泣きながらメモ帳打つのぞみちゃん=溶けかけのアイスキャンディー。けど一番甘いとこ”」

カナちゃん「わぁ!アイスキャンディーて!もうその比喩で胸キンキン冷た痛いのに、口ん中は甘ったるくなるんやな!」


なっちゃん「さらに“38.8℃は青春のボイラー室”やって!」

カナちゃん「うわぁ、ボイラー室!蒸気で曇って何も見えんのに、ゆう君だけは見えとるんや……泣けるやん!」


なっちゃん「まだまだあるよ。“涙で枕濡らす=深夜のスプリンクラー”」

カナちゃん「いやちょっと待って、家全焼やん!視聴者の共感力、火災レベルまで上がっとるわ!」


なっちゃん「結論。のぞみちゃんは尊すぎて、防災マニュアルに載せなあかん」

カナちゃん「ほんまや!“高熱と恋の洪水に注意”や!もう、ゆう君、あんた早よ気付かんと、全国民が救急車呼ぶで!!!」


なっちゃん「今日も涙と笑いでブギ切れトークやったけん!」

カナちゃん「みんな、ハンカチとライフジャケットは用意しといてな!次回も沈むでぇぇぇ!」


――スタジオは嗚咽と爆笑でまたもや水浸しになった。

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