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のぞみとゆうの物語 ~こんな恋をしている二人が羨ましい  作者: 播磨 颯太
第二部-1章 のぞみ視点 出会い
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想定外の感染

のぞみは一日中、勉強しているふりをしながら、心はずっと同じところを彷徨っていた。

頭の中にあるのは、今朝そっと彼のカバンに忍ばせた手紙のこと。


気付いてくれたかな……。

でも、もし見つけても、「だから何?」って思われたら……?


浮かんでくるのは、期待よりも不安ばかり。自分の書いた文字が滑稽に見えたり、彼が読み終えて無表情で閉じる姿を想像してしまったり。胸の奥で何度も「だめだ」と打ち消しても、負の思考は次から次へと押し寄せてきた。


のぞみは思わず机の上に置いたスマホを手に取った。指先が震える。こんなときに頼れるのは――。


通話ボタンを押す。


「もしもし、優子?」


受話口から弾む声が返ってくる。

「おっ、のぞみ! どうしたの?」


優子の明るい声を聞いて、少しホッとしたのぞみは、すぐに本題に入った。


「……今朝、彼のカバンに入れた手紙のことだけどね……」


優子はのぞみの不安に気づいているようだった。


「……うん……」


のぞみは思わず眉をひそめる。

「彼……まだ読んでくれたかどうか分からないし。気付いてすらいないかもしれないし……。それに、もし読んでくれても、反応なかったらって思うと……どんどん怖くなってきちゃって」


電話越しに小さな息づかいが聞こえた。優子が真剣に考えているのが伝わる。しばらくして、落ち着いた声が響いた。


「……のぞみ。あんた、よく頑張ったよ。勇気出して行動したんだから、それだけでもすごいんだって。あとはもう彼に任せるしかないよ。どう思われたとしても、のぞみの気持ちはちゃんと伝わったんだから」


「……うん」


「それにね。もし彼がまだ気付いてなかったとしても、またチャンスはあるんだし。そんなに落ち込むことないって!」


「そう……だよね」


優子の声が背中を押すように響き、胸の重さが少しだけ軽くなる。


「それにさ!」


「ん?」


「明日の朝さ、彼がいつものドアからちゃんと乗ってきたら……それって、手紙を意識してる証拠かもしれないじゃん?」


のぞみの胸が跳ね上がった。

「えっ……」


「だからさ! 明日の彼、しっかり観察しなきゃダメだよ。表情とか、仕草とか。わかる?」


「……わかった!」


会話を切ったあと、のぞみはスマホを胸に抱きしめる。

――明日の朝、彼はどんな顔で現れるんだろう。いつもと同じかな、それとも……。


その期待が胸の鼓動を速める。だけど、同時に妙な感覚が身体を走り抜けた。背筋にひやりとした寒気。


「……あれ?」


のぞみは額に手を当てる。少し熱い気がする。体がゾクゾクして、落ち着かない。これは恋のせいじゃない。もしかして――。


慌てて体温計を取り出し、測る。数字がじわじわと上がっていく。


「……37.4℃? うそ、ちょっと熱あるじゃん……」


喉の奥も少し痛む。体のだるさが波のように押し寄せてくる。嫌な予感が頭をかすめた。


「明日休むなんて絶対やだ……。彼の反応、見たいのに……」


焦りながら、布団に潜り込む。時計はまだ早い時刻を指しているが、のぞみにはもう選択肢がなかった。


「お願い、ただの風邪であって……」


目を閉じる。けれども、寒気は強まるばかり。


――夜中。


体が熱に焼かれるようで、眠りから何度も引き戻される。額は汗で濡れ、喉はひりつき、体の節々が痛む。ふらつきながら体温計を覗き込むと、表示は無情に光っていた。


「……38.9℃……」


のぞみは力なく笑う。

「うそ……もう動けない……」


布団から抜け出そうとするも、足に力が入らず、膝が震える。観念して、スマホを手に取る。

「……お母さん……助けて……」


翌朝。


病院の白い診察室で、医師が冷静に告げた。

「インフルエンザですね」


その言葉は、冷たい刃のように胸を突き刺した。


「えっ……じゃあ、学校は……?」


「今週は休んでください。他の人にうつすと大変ですから」


――終わった。


頭の中が真っ白になる。昨日の自分が必死に願った「明日休みたくない」という想いが、無惨にも打ち砕かれた。


「嘘……そんなの嫌だよ……」


ベッドに横たわりながら、熱で滲む視界の中に涙が浮かんだ。彼に渡した手紙、その反応を待ち望んでいたのに。もしかしたら奇跡のような瞬間が訪れるはずだったのに。


「神様……なんでこんなときに……」


答えのない問いを胸に抱えたまま、のぞみはただ力なくまぶたを閉じた。


こうして、のぞみの「ドキドキ通学」は、思いがけない熱病によって、唐突に遮られることになったのだった。

◾️◾️◾️◾️◾️

ここからは、

清楚系、松山弁コメンテーターなっちゃん

ピチピチ系、関西弁インフルエンサーカナちゃんの振り返り番組“なっちゃんカナちゃん”


カナちゃん「ちょっと、ちょっと!なっちゃん!!今のぞみちゃんが手紙入れて……そっから“ドキドキや〜!”って盛り上がっとったらやで?……インフルエンザ!?えええ!?どんな急展開やねん!!」


なっちゃん「ほんまよ……あんな胸キュンからの、いきなり病院で“インフルエンザですね”やけん。ドラマや思たら脚本家の気まぐれかい、てツッコミ入れたなるがね」


カナちゃん「のぞみちゃん、そら泣くわ……手紙の反応、見たかったんやで。次の日の電車で“ゆう君がどんな顔してるか”それを想像して眠られへん夜やったのに、熱でうなされる夜になってもうて!」


なっちゃん「わかるわかる。熱計って“37.4℃”の時点で嫌な予感しとんよ。あれはもう、ただの風邪やなくて“物語を揺さぶる嵐の前触れ”やったんやな」


カナちゃん「ほんま、数字が階段みたいにカンカン上がってくねん。“38.9℃”って見た瞬間の絶望感よ。あの子の声で“嘘でしょ……”って聞こえたら、うちらまで布団の中で泣きたなるわ」


なっちゃん「しかもや、彼のこと考えて胸いっぱいやったのに、体調悪うて涙出る……“恋のドキドキ”と“高熱のドキドキ”がごっちゃになってしもうて、ほんま切ないがね」


カナちゃん「いやもう!“インフルエンザ”って四文字、こんなにも恋を邪魔するとは思わんかったわ!ほんま悪役みたいやん!」


なっちゃん「ドラマで言うたら、せっかくの主役二人に、いきなり横槍入れてくる“疫病の刺客”よ」


カナちゃん「おのれインフル!って感じやな。せやけど、ここからどうなるんやろ。のぞみちゃん、会えへん間、ゆう君の気持ちが冷めてもうたらどうするん……?」


なっちゃん「いやいや、逆に募るんちゃう?“いつもおる子が急におらん”てなったら、ゆう君、めっちゃソワソワするがね。ホームで時計見ながら“あれ?のぞみさん……”て探すんやない?」


カナちゃん「うわぁ〜〜!そう考えたら、ちょっと救われるわ!“不在が存在を際立たせる”ってやつや!」


なっちゃん「そやけん、今は辛抱の時期。でも……ほんま、タイミング悪すぎやろ……」


カナちゃん「神様!なんでこの瞬間に熱を与えたんや!って、のぞみちゃん叫んどったけど、ほんまやで。神様も恋の邪魔すんなや!」


カナちゃん「はい!ここで視聴者さんからのお便りいきます!」

なっちゃん「おお、届いとるんやね」


カナちゃん「ラジオネーム“ホームの隅っこから愛を込めて”さん。『インフルエンザって、恋の花火を打ち上げる直前にバケツで水かけるみたいなもんですね』」


なっちゃん「おお!ほんまや!せっかく火花散りそうやったのに、冷水かけられて“シューッ”て消えた感じがするがね」


カナちゃん「続きまして、Xのコメント。“@yume\_miru17”さん。『のぞみちゃん、ドキドキとゾクゾクの区別つかんのマジで共感。恋と発熱って、どっちも体揺らすやん』」


なっちゃん「わかるー!胸ドキドキして体震えて……普通なら恋の病やのに、ほんまもんの病気やった、っていうこの残酷さよ」


カナちゃん「ラジオネーム“電車の扉前待機勢”さん。『インフルは恋の急行電車に石投げ込むみたいなもん。脱線せんかっただけ奇跡』」


なっちゃん「比喩が鋭いわ〜!ほんま、二人のラブストーリーが急ブレーキかかった気分よ」


カナちゃん「ほんで、最後に“@kaze\_wo\_matsu”さんのコメント。『でも、会えない時間があるからこそ、再会の電車ホームは特別な舞台になるんだよ』」


なっちゃん「うわぁ……泣けるわ……!そうやね、のぞみちゃんが戻った朝、ホームはきっと光に包まれとるんや」


カナちゃん「ほんまや……のぞみちゃん、今はしんどいやろけど、その時のゆう君の顔見たら、全部報われるんちゃう?」


なっちゃん「インフルエンザに負けるなよー!って、全国のぞみちゃんにエール送りたいわ」


カナちゃん「うちらもホームで待ってる気持ちで、続きを見守るで!」

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